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突然消息を断った恋人、英理の行方を追って彼女の郷里を訪れた忠。彼女の姿を求めて「入らずの山」へ入っていく。そこで目にした彼女の姿は・・。巨人の血をひくという山の民たち、英理の実家に伝わる巨人伝説、考古学者の祖父が持ち去った巨人の骨・・・。九州の秘境を舞台に謎は深まる(「山の音」)。他4篇収録。解説 山上龍彦
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表題作もよいが、「カットバック」にはやられた。さすがは大林世代、外園昌也の「10月27日に...」に通ずるものがある。940916
やはり「山の音」はよくできているなあ。あのとりみきがこのようなマンガを描くようになるとはね。「石神伝説」とか最近の作品も読みたい。思わずこの後「ヤマタイカ」を読み始めてしまった。980914
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巻末にオリジナル版が1989年刊行と記されているので、
恐らく1980年代に発表されたシリアスな中短編群。
全編、画風が共通しているが、
ほとんど黒ベタの塗り潰しもスクリーントーン貼りもない、
偏執的カケアミ地獄の様相。
しかし、それがストーリーを薄めずに
マイルドに表現することに貢献していて見事。
だが、お馴染みのポップな画風とは
同じ作者が描いたとは思えないほど懸け離れていて面食らった。
収録作は
①山の音
②カットバック
③羽根の塔
④憑かれた男
⑤砂浜のメリークリスマス
で、①は諸星大二郎チックな民俗学ホラー。
帰省したまま連絡を絶った恋人に会うため、
九州の山間の僻地「裔村」を訪れた男が見たものは――
というストーリー。
架空の地名は末裔の「裔」の字だがルビがなく、
何と読ませるのか不明。
https://dictionary.goo.ne.jp/word/kanji/%E8%A3%94/
恐らく読者が勝手に決めていいのだろう。
「すえ」がしっくり来る気もするが、
私は渡辺温のせいで脳内で「ちすじ」と変換していた(笑)。
https://booklog.jp/users/fukagawanatsumi/archives/1/4488407110
②③⑤は叙情的SF短編。
④は妻に惚れ込み過ぎて常軌を逸した男と刑事の対決。
捜査にやって来た刑事を迎える容疑者宅の扉が
「いらっしゃい…坊や…」と言って開くコマ(p.204)、
その玄関のビジュアルが女性器を表現しているのが
エグイけれど象徴的で、上手い演出だなと感心。
山上龍彦(たつひこ)の解説付き。
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表題作は民俗系の不思議。『石神伝説』と同系統。他4編は抒情的SF。(石神の続きを含めてとり・みきのこういう系統の作品をもっと読みたいもの)
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諸星大二郎御大の「暗黒神話」の方で「ヤマトタケルのアレを襲う」ネタがさういへばあったが、個人的にアレへ「野蒜」を投げる「山の音」のアレがマントラのごとく頭に響いてをる。
戦後マンガの中で、山上たつひこ大先生は異常な地位、
「影響受けたマンガ家の名前がでない」
ギャグマンガの世界で、時紡ぐ御名を讃へるごとくマンガ家が影響を受けたと叫ぶてふ、奇怪なポジに君臨する大先生が、シャレの効いた解説文を書いてをる。