投稿元:
レビューを見る
憧れた職業の男性を模倣する(吸い取る)天才の女性・十村十四子。
女優、デザイナー、小説家、などなど。
彼女が多くの男を惑わし、破滅へと向かわせる話。
ただの悪女ものではなく、十四子自身が悩み苦しむさまが描かれているのがとてもよい。
田舎のひなびた家に「かあちゃん」の蝋人形を作り、裸でそれに甘えかかる姿や、うまく落とせない男を前に歯噛みする姿など。
したたかで強い反面、赤ん坊のように欠如を抱えた彼女の姿が新鮮だった。
だからこそ彼女の漏らす、
「私……さみしいわ……ふきとばされそう……」
という空しい言葉が生きてくる。
非常にリアルな手触りのある漫画だった。
手塚治虫の真骨頂は大人漫画だね。
投稿元:
レビューを見る
2017.11/06
本を売ろうと思い内容が曖昧なものを読み返してるけど、総じて手塚治虫おもしろすぎて売れない 模倣することにまったく悪びれがなく、昆虫の脱皮のように本能でやっているのがいい
投稿元:
レビューを見る
恐らく男性が読んだらあまり良い気分のしないものかもしれない。
なので女性が読むことをお勧めする。
手塚先生は「戦後の混乱期にたくましく生きる女性を描きたかった」と言っていたようで、
なるほどー、、と納得したものだ。
女性がゆえに弱者がゆえに、虫をくらって綺麗に羽ばたく蝶という生き方しか出来ない。
(この時代は)
成功を手にしても、最後にはあのセリフ。
女は羽虫のような蝶としてたくましく生きて、そしてバラバラになって散ってゆく。
男からすると、蝶であらねばならぬがゆえに「虫」として食い潰される恐怖に駆られる訳だから、こういう姿には不快な思いを抱くだろう
----------------------------------------
女の持つ弱さを分かってあげて、というメッセージと
女という弱者だからってあなどるなよ?というメッセージと。
ふたつのものを、あえてコレを読んだ男性読者に伝えたい。
投稿元:
レビューを見る
模倣し化けて吸収し自分のものにする主人公十村十枝子
彼女に翻弄され食いつくされ吸収された人達か哀れだなと思った。彼女自身が生きていく術を身につける為に選んだ
模倣は彼女自身が何もないことを対極させている。
模倣し続けることによって彼女自身は空っぽな存在であることを強調付けている。
人間は生きていく為に色々な人を真似て成長していくが
行き過ぎると自分を見失い空っぽな存在になってしまうのだと感じさせてくれた作品。
投稿元:
レビューを見る
十村十枝子一代記。成り上がりの物語でもあるが、主人公が抱える心の空洞を埋めるための物語だったような気がする。
関わった人間から、才能を吸い取り自分のものにして、名誉栄光をほしいままにする十枝子。才能を吸い取られ落ちぶれていった人間は見捨て、新たな人間へと拠り所を移してゆく十枝子。
心の空洞を埋める唯一の存在だった水野とは、絆を深めることができず。おそらく、空っぽのまま人生を送ってゆくのだろう。
多くの登場人物が、空洞を埋めることができずにいる物語であったなぁ。救いのない物語だったと思う。しじみぐらいではないだろうか。空洞を埋めることができたのは。
投稿元:
レビューを見る
出会う人の才能を模倣し吸収していく女の立身出世一代記。しかし、模倣するがゆえに自分を見失い空虚になる。ちょうど戦後の欧米を模倣して、日本としての存在を見失った空虚感につながる。