電子書籍
大人だって弱い
2018/05/16 12:21
3人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:pope - この投稿者のレビュー一覧を見る
ネタばれあり。
オスカーがギムナジウムに入るまでのお話。
オスカーの父も母もどちらも人間として弱いところがあり、大人のダメな部分がリアルに描かれています。
紙の本
100ページ作品2本入りの贅沢な一冊
2001/12/02 00:55
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:mikako - この投稿者のレビュー一覧を見る
「訪問者」
オスカーの両親の心の弱さが招いた家庭の不和と母親の死。そしてオスカーと父親との放浪の旅が描かれる。ストーリーの底流には、オスカーがかつて父親から聞いた神さまと子供の話が流れる。オスカーはその話の中に出てくる子供でありたいと願うのだが、父親には(多分母親にも)別の存在として映っている、という悲しさが表現されている。大人びてはいても、まだ9歳の少年であるオスカーが父親を心配し、必死に父親にすがろうとする姿がとてもいじらしい。
「エッグ・スタンド」
第二次大戦中のドイツ占領下のパリが舞台。共に家族を失った3人の出会い。戦争の哀しみを引きずった男女マルシャンとルイーズ、そして14歳くらいの素直な少年ラウル。マルシャンはレジスタンス活動の中で、ラウルの恐るべき一面を知る。暗い時代と時代に愛された少年を卵の中のヒヨコになぞらえて、悪夢のような世界で暮らす苦しみを表現する悲しいストーリー。
他に「城」「天使の擬態」が収録されている。「城」はココロを白い石と黒い石で積み上げるという例えがとても印象的。
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表題作もいいが、短編のエッグスタンドに胸が痛くなる。
萩尾望都の短編。2次大戦中の占領下のパリが舞台。
キャバレーの踊り子、少年、レジスタンス。
萩尾作品の中でかなり好きな話。
ひとつひとつのシーンが夢のように張り付いてくる。
すごい完成度だと思う。
救いが無い事がよくとりあげられているけど、
そうかな?と思う。
確かに救いの無い話かもしれないけど、
読んでいてみょうにすうっとするのはどうしてなんだろ。
救いの無さをあんなやさしいかきかたをしてくれる
ってのが救いなんじゃないだろうか。なんて思ったり。
わたしは、切なく夜道を目隠しで走って明日は無いと
いうような少年少女が好きで好きでたまらないんだけど、
原点はこの辺かもなあと思う。
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▼名作『トーマの心臓』の名脇役、オスカー・ライザーの母の死から全寮制ギムナジウム・シュロッターベッツに入学するまでの1年間を綴った佳品。
▼父グスタフとの逃避行に至福の喜びを感じる少年オスカー。出生の秘密や母の死因の真実を察しながらも、自分がそれを言い出さなければ今の生活が保証されると思う感受性を、きめ細かく柔らかい筆致で描きあげています。
▼愛蔵版で持つのが吉。
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トーマの心臓のオスカーが主人公。
こっちのほうが好きかもしれない。
「エッグ・スタンド」も好き。
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“遠回り”はすてきなことばだ だって旅行が長くなる------でもそれから パパは急に------凍った海を見に行く興味を失ってしまったようだったパパは一度切ったハンドルをもどさなかったのだそしてぼくたちは長い遠回りを続けることになった------
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父に愛されたかった少年の成長を描いた「訪問者」、少年の心の善悪の揺れ動きを描いた「城」、殺人と愛を同義として時代の波にのまれた少年を描いた「エッグスタンド」、翼が欲しい少女とその心の昇華を描いた「天使の擬態」…名作揃いです。
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久々に読み返したら「うわ〜、これってこんなに深い事だったんだ〜」と感動。また何年かたって読み返すと全然違う印象になるんだろうな。
ってかせつなすぎる。こういう話には特に弱いんです。トーマの心臓も読み直さなきゃ!
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萩尾望都作の「トーマの心臓」の登場人物オスカーの少年時代を描いた物語。表題作はおもしろいけど、他の作品が微妙だったので、星一個減らしました。
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トーマの心臓のオスカーがギムナジウムに来るでの話。
もちろんトーマの心臓を読んだあとに読んでいただきたい。オスカーがもっと好きになる。(わたしはなった)
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せつない。オスカーにもこんな頃があったのか、と思った。かっこいいオスカーも好きだけど、弱い過去もいい。
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オスカーの原点。
どのくらい好きかって言うと、何度見てもきゅんとしちゃうからもういっそ見ないようにしてるくらい好き。人間てみんな脆いけどその分とっても優しい。作者あとがきの「親子のギャップ」話は、初めて読んだ思春期のころも大きくなった今も変わらず身につまされるなあ。
この本は私の宝物です。
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萩尾望都さんの短編作品集。
ヨーロッパを舞台にした、父親と息子の物語など、3編を収録。
『訪問者』が好きです。
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再読。
欲しいものが得られないときに、孤独を感じる。オスカーの愛情の求める先を知ると、後の「トーマの心臓」で一層切ない気持ちを抱く。求める先が神なら尚さら祈らずにはいられない。
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表題作は、親子関係の話。「あなたが神だとしても、子供がいる家には来てはいけないんだよ…」母を殺した父を必死に庇う少年。暖かいはずの家庭を、愛おしい記憶を、不器用な父を守ろうと必死になるその姿の愛おしさと切なさ。世界を放浪せざるをえない、魂の放浪者であるフリーカメラマンの父も、その父を引き止めるために母が犯した罪もなんとも人間臭く、切なく胸に響く。