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紙の本
ひみつの階段
2000/10/23 14:11
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投稿者:秋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
古い校舎と寄宿舎がある祥華女学院を舞台に、少女たちの宝石のような日々を描いたお話です。
祥華女学院では、不思議なことがよく起こります。だれかが、さみしがっていたり、心を閉ざしていたり、とまどっていたりすると、ふっと魔法のような不思議な出来事が起こります。今はもうないはずの階段が現れたり、座敷童が出てきたり、時には時間だって越えてしまうこともあります。
魔法使いの正体は、どうやら、祥華の古い校舎のようです。何年もの間、たくさんの少女たちを見守ってきた祥華女学院の校舎には、いつかしら魂が宿ってしまったのでしょうか。まるでいたずら好きの少女のようです。くすくす。
16、7の少女の頃は、誰にでも訪れる魔法の時。少女たちの宝石のような時を見守ってきた校舎は、それをいちばんよく知っている「常若の国(ティル・ナ・ノーグ)」の案内人です。だから、おせっかいにも、そこらじゅうで魔法をかけまくって、楽しい笑いをふりまいたり、もう一歩が踏み出せない少女の背中をちょんと押してあげたりするのです。
この作品は、どこかにありそうでなさそうな祥華女学院を舞台としています。主要となる登場人物は何人かいますが、毎回のエピソードは独立していて、さまざまな少女の揺れるキモチを描いています。作者の素敵な絵とお話がとてもよくマッチしていて、少女たちの日常とファンタジー世界の微妙なバランス上に、独特の世界を描き出しています。この作品は、本物の少女たちの現実とは違っていて明らかにファンタジーなのですが、異世界物のファンタジーのように私たちの現実とかけ離れたものでもありません。このような絶妙なバランスの取り方があるからこそ、この作品は、一つの世界を感じさせてくれるのかもしれません。
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