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渋谷・公園通り。風俗最先端の街に通う映写技師オヌマには、5年間にわたるスパイ私塾訓練生の過去があった。一人暮しをつづけるオヌマは、暴力沙汰にかかわるうち、圧縮爆破加工を施されたプルトニウムをめぐるトラブルに巻き込まれていく。ヤクザや旧同志との苛烈な心理戦。映画フィルムに仕掛けられた暗号。騙しあいと錯乱。ハードな文体。現代文学の臨界点を超えた長編小説。
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阿部さん苦手なんだよね。授業で大作かつ傑作の「シンセミア」を扱ったんだけど内容がハードなんです。よってシンセミアに関してはちゃんと読まず。そんな抵抗感もあったんですが、こっちのほうは意外とするっと読めてしまいました。「渋谷系」のルーツなのかな。舞台は渋谷それも裏社会って感じ。後半内容についていけなくてちょっと解読できず腑に落ちないところもあるけど、引き込まれてしまったので★4つ。ちなみにカバーと内容はまじ関係ない。よくわからんこのカバー(笑)
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途中から何となくラストはこうなるんだろうな、と思ってはいましたが、
最後のアレは、誰なのでしょう。
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2005年の芥川賞作家の初期の作品。
渋谷文学のはしりと言える。
文体が特徴的だった。
才能を感じる。
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これがJ文学か、といった感想。村上竜とか山田詠美がこのカテゴリーに属するのかどうかは知らないけど、(消費される文学という意味では、この2人はぴったりだと思うが。)阿部和重の作品を始めて読んだが、とても構成がおもしろい。シチュエーションやデティールというよりは、全体の仕掛けが楽しくて、解説で東さんが書いていたが、読み返すたびに異なる感想を、テーマを発見する気がした。初めて呼んだときのぼくの感想は、主人公は薬物かなんかで、酩酊しながら日記を書いているのだと思っていた。酩酊と覚醒が交互に入れ替わり、リアルとフェイクが溶け合っていくような不思議な世界を日記という、主観的かつある意味で客観的なフィルターを通して描いているように感じた。そこが面白く、最後のMの感想で締めくくられるあたりは、日記というフィルターの上位にMの感想があり、読み手のぼくの混乱を招く。なんか、かなり薄ぼんやりとした印象を持った。でも、そこにはフェイクならフェイクなりの確かな手ごたえを感じる作品でもあった。渋谷という雑多で、何かありそうで、実はハリボテのような街をを舞台にして、アイデンティティーなんて、適当にその辺に落ちているもんで代用しちゃえよ的な偽者を、いかにホンモノっぽく見せるかという時代のアンチテーゼにも思えた。これを書いている時点で既に、こういう読み方も出来るかな?、と思っているので、近いうちに読み返そう。
071113読了
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インディヴィジュアル・プロジェクション(個人的な投影)。このタイトルを掘り下げていった作品。読んですぐ感想として記しておくべき作品。アイデンティティーなんてものは人に写して反射してきたものだ。人は人に育てられ、人を育てるものだ。こんな感想です。
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『シンセミア』内に登場し、レポートを書く上で参考になるかと一読。
『シンセミア』よりは内容的にも読みやすかったのだけれど、日記形式で進んでいくために主人公に違和を感じてしまうとアウトだと思う。結局何が言いたかった作品なのか良く分からない。構成は少し面白かったけれど、レポートを書く上で特に必要でもなかったために多少拍子抜け。
奥付についてる著者の顔写真の胡散臭さがある意味いちばん面白かった。まだ40歳か…若いなぁ。
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2008/9/4〜9/6
阿部和重氏の1冊。
これはすすめられて読みました。
最初、表紙を見たときは「・・・汗」といった感じでした。
内容は、元スパイ私塾訓令生の主人公が過去を闇に包もうとする一方、暴力事件やある事件をきっかけに昔の事件にかかわるトラブルに巻き込まれていく、、、といった内容です。
感想としては
とってもおもしろかった! 本構成としては主人公がひたすらつづった日記帳がストーリー展開をしていくのですが、
読みやすかったし、臨場感あふれる1冊でした。
しかし少し難儀してしまったのが、登場人物が多く、んでもって似たような名前、名前がすべてカタカナ表記だったので
覚えながら読むのに少し手間取りました。
でもストーリー展開はとっても面白かったです。
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さらっと読めるが疑問が残る、
つかみどころがなくて評価しにくい。
軽い読み物としてはとても面白かった。
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阿部和重ももちろんですが、東浩紀ですよ。すごいです。彼は解説書いてるんですが、その解説がすごいんです。この小説が虚構であると言うことを、自身の以前書いた批評と現在の批評とを比べることで上手くあぶりだしてる。過去と現在の批評はまったく逆の読み方をしており、また未来についても違う読みをするだろうと書いてる。つまり個人的な投影は読者自身にも当てはまると。まあ言ってしまえば、自分の希望を加味して読んでるでしょ?小説を自己肯定のツールに使ってない?ってことです。理論だてて読んでる「つもり」が、本当に「つもり」でしかなかったことを痛感。
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裏切られたー! エンタメ的な結末なんだろうけど、文学性がある新手法なのではないでしょうか。
それから、スニーカーやアメカジの話が織り交ぜられている所が凄く好きです。
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「グランド・フィナーレ」で芥川賞を獲った時から、阿部和重は読んでみたかったのだけども、なかなか積読のまま消化できず、先日ようやく1冊読むことができた。作品紹介に「ハードな文体。現代文学の臨界点を越えた長編小説。」とあって、そう言われればそうなのだが、どこか違和感を感じる。一見ハードに見せていて、設定や起きる出来事や事件も確かにハードボイルドなのだが、読んでいるとそこはかとなくどこか軽々しい、実は正常の判断力を持ってすればそれほど大したことではないことを、錯乱状態に陥った視点から表現することで、大げさに誇張するような印象。最後が近づくにつれて、自分の中では夢オチとか「シークレットウインドウ」みたいな錯乱オチが来るんじゃないか、とドキドキしていたのだが予想はある意味では的中した。
あまり内容について言及するというのは感想を書く上でやってはいけないことなのだろうが、この最後のオチにはどうしても言及せざるを得ないくらいのインパクトがあった。最後まで読み進めてきた読者に「?」を抱かせるに十分なインパクトがある。おそらく、これがあるかないかで、この作品は全く別のものになる。なければ読み進めたまま、合っているにせよ間違っているにせよ意外とすんなりと自分なりの理解ができたのかもしれないが、最後のオチがあることで、読者は今まで自分で形成してきたこの作品の世界観というものをある意味でぶち壊されてしまい、宙ぶらりんの状態になる。ただ、これはいわゆる夢オチのような一般的にタブーといわれる手法とは一線を画している。
この何ともいえない気持ち悪さ(作品としての読後の気持ち悪さではなく、自分の理解が追い付かないという意味での気持ち悪さ)を抱えたまま、解説を読んでみると、なるほど、と自分の感じている気持ち悪さを少なからず埋めてくれることとなった。解説でもあるように、この作品について書くのは難しい。しかし、最後のオチとスパイが持つべき多様性、自己と他人の関係性、そして日記部分の最後のシーンから読み解くと、案外すんなりと体に染み入ってくるような気がした。小説を読む際に、「この作品ではこのように感じるのが正解」という国語の授業のような読み方をする必要は全くないし、むしろ学校の勉強の慣習からそのように作品を読んでしまうことはある意味悲劇だ。ただ、この作品のように、自分が作品から感じたことを表現するのが難しい小説を読んだ後の気持ち悪さを、解説という他人の手を借りるにせよ、最終的に消化できたと感じられた時には、本はやはり面白いと思わざるを得ないのだ。
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東浩紀の解説も素晴らしい。というより、東浩紀の解説を読んでやっとこの小説のすごさが分かりました。
日記かつ報告の形式にしたために、分散する自己を統合する物語であることが効果的に伝えられています。文体も過不足無いかつリズム感があって読みやすいです。読み返してみたい。今まで読んだ中では一番の傑作の阿部和重本。
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BOOKOFF100円コーナーで購入。短いのですぐに読み終えた。表紙も中身も自分好みではなかった。気持ち悪かった。
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5/1/10
いま読んでる
友達から借りて。ラストのどんでん返しが面白いらしい。映画畑の人なので描写が映画的で面白いらしい。
5/2/10
読み終わった
素直な感想を。人によってはネタバレに感じるかと思いますのでご了承ください。
初期の段階で誰が誰だったかよく分からなくなる。でもこれは作者一流のぼかしで、最終的に主人公=他の誰か、みたいなことかと予想。何せ友達に、ラストの大どんでん返しが!なんてことを言われたもんだから。こいつか?いやむしろこいつなのか?等等、ワクワクしながら読み進めて行くと、確かに最後に大どんでん返し。自分の予想の完全に別ベクトルからのオチが待っていた。
しかし自分としてはこのオチは斜め下方向へのベクトルで、それはちょっといただけないと、違和感を感じてしまった。友達に吹き込まれた風呂敷の所為なのか、作者との相性の所為なのか。
因みにこういうオチの弱い作品を読むときにいつも陥るのが、物語も終盤に近づいてきた時に次のページにこそ大オチが、次のページこそ、次のページこそ、とずっと思ったまま最後の一行を迎えてしまうということ。今回もそうで、今読んでるところってもしかして核心?それとも…??くらいの核心しかなかった…と思った矢先のどんでん返しで、それはちょっと溜飲が下がった。しかしそれも腑に落ちるものではなかったので結局もやもやは収まらなかった。
ともあれ、本作品の重要な要素である、あの「スパイの二律背反」を考えた時に、主人公=他の誰か、と考えて読むことは全くの徒労ではなく、むしろ的を射た読み方だと実感した。と考えると、読み方としては悔いが残らないのに内容には疑問符をつけざるを得ない本書は、イマイチ、若しくは自分には合わなかった、という感想を持つしかないんだろう。
特殊訓練の描写や、主人公のスパイ特有の殺伐とした心理は、何だか原田宗典の「平成トム・ソーヤ」を髣髴とさせた。あれの方がわくわくしたな。