紙の本
深い自然理解、野生動物に対する温かい視点が嬉しい。
2021/09/30 09:35
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投稿者:ナミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
深い自然理解、野生動物に対する温かい視点が嬉しい。冒頭でのヒグマを自在に操る謎の女性でまず引き込まれ、続く無節操なキャンパーの人身事故で一気に加速。あとは自然と人間との関わり合いにある哲学を持ってるらしい著者の独壇場。そうかそうかと一気読み。多くの人に読んで欲しい作品ですね。
アツ、個人的感想としては、まずは「可愛いから」「可愛そうだから」といった理由で子グマ2匹を育ててしまった小山田玲子に最後まで決断を迫った著者の迫力に脱帽。確かにアイヌも子グマを育てが、それは「イオマンテ」つまりヒグマたちの魂を神・カムイの元に送り届ける「熊送りの祭」の為であり、決して人間とヒグマとが犬のように友達になれると思っていたわけではない。発端はいざ知らず、結果的に人間馴れしたヒグマを野に放ってしまった小山田玲子にその最終責任を全うさせた結末に私個人としては賛同するが、多分多くの読者は異論をはさむだろう。キツネに餌付けする人々、可愛そうと言ってアライグマを野に放った人々など、似非動物愛護者の非難の声が聞こえる気がする。だからこそ、このような本物の作品が求められてるのだ。
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7/2読了
写真家の人が熊に殺されそうになったところを
謎の女が超能力のように熊を操ってなんやかんや。
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若々しいと思ったらデビュー作だったのね〜
「邂逅の森」を読んだ後ではかなり物足りない・・でも著者の作品これがお初だったら、「邂逅の森」や他の作品に手がのびたとはとは思わないので、よしとしようか。
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相克の森を読んだ後だったので、
吉田と小山田はコレからだったのかと。
この人の文章はぐっと来ます。
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まあまあ面白かったけど、シャトゥーンと比べると(比べるな)パンチ不足。でもコレから熊谷達也は続けて読み始めることになったから悪くなかったのだろう。
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熊にもいい熊、悪い熊がいるらしい。
アイヌの言葉で、いい熊は「キムンカムイ(山の神)」悪い熊は「ウエンカムイ(悪神)」。
たとえいい熊だとしても、山の中でばったり出会ったら、怖いはず。熊は熊。
それもでかいヒグマならなおさら。
都会で生活しているとそんなシチュエーションは想像しにくいけれど、この「ウエンカムイの爪」を読むと、熊の息遣いを耳元に感じるような気がします。
駆け出しのフォトグラファー吉本は、北大の熊の研究チームのフィールド調査を取材する。
自然と対峙する世界へ踏み出した吉本と、金色に輝く毛並みの巨大な熊「カムイ」との出会い。
日本最大の野生動物であるヒグマを取り巻く自然環境の変化と人間社会との関わり。
自然と人間とがどのように関わっていくべきかを問いかけながら、シンプルかつ力強く、ヒグマとの緊張感あふれる対決を描いています。
子供の頃に「シートン動物記」を読んだときのドキドキ感を思い出しました。
この「ウエンカムイの爪」は熊谷達也のデビュー作。
文庫本はとても薄くて、すぐ読めちゃうのですが、「俺はこういう小説を書くんだ!」という作家自身の宣言のような小説です。
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野生のヒグマの話
ではない
アイヌ語(アイヌ文化)が
あまりにも適当に描写されている
のが気になるが
入門編としてはあり
なのか
な・・・
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北海道の山に登る予習も兼ねて読んでみた。”野生と人間の壮絶な闘いを通して、生命の尊厳と自立を描いた傑作”との紹介文は大げさだが、ストーリーは面白かったし、熊の生態やアイヌ文化に関していろいろ勉強になった。いろんな要素を盛り込みすぎたせいでテーマが薄まっている点、科白のやりとりや人物設定にリアリティに欠ける点は多少あったものの、別の著書を読んでみたいと思った。今度は、東北の山に行くときに『漂泊の牙』を持っていこうかな。
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熊谷達也ならではの野生の描き方。
人を喰ってしまう悪い熊『ウエンカムイ』は、自然への畏敬の念を忘れている現代人に警鐘を鳴らす存在なのではないでしょうか?決して説教臭い作品ではないけれど、根底にはそんな思いが込められているような気がします。
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アイヌの言葉で、カムイとは神のこと。人間を食ってしまう悪いクマのことをウエンカムイというらしい。ヒグマと共存してきたアイヌたちとは違い、現代人たちは、ヒグマの生息地を荒らし、生活圏を分断している。中途半端な環境問題を描くのではなくて、もっとリアルにこの本は心にせまってくる。作者は人よりもクマの方に親近感感じてるんじゃないかと思うくらい。初期の作品ということで、人物の描き方などは荒い気もするが、でも、そうした欠点以上に内容がおもしろい。でも、クマに襲われる大学生たちはバカすぎてちょっとどうかと思うけどね・・・
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例によってクマは大暴れしていたけれども、1時間程度で読了してしまうというちょっと物足りないボリューム。
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熊谷さんはやっぱり浸かっていると思う一作だった。熊に対する並々ならぬ執着心と山の神に対する畏怖。ここぞとばかりに散りばめられている。
前半よりも後半の方がよめてしまうのと、カムイとの対峙にはもう少し余韻を持たせて欲しかったなどと思ってしまった。山で暮らす人達に魅入られた想いは十二分にも伝わった気がする。
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第10回小説すばる新人賞受賞作にして、『邂逅の森』で直木賞を受賞した熊谷達也氏のデビュー作。
マタギ系の古風な狩猟モノではなく、現代風のクマ小説。
登場人物の描写が甘いのと、展開が早過ぎ&終盤がアッサリし過ぎの感もありつつ、良い意味でサラッと読める。
巻末の阿刀田高の解説が、かなりの上から目線。
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著者名が記されていなければ『山背郷』と同じ作家だとはわからなかっただろう。直木賞作家・熊谷達也氏の処女作。ストーリー展開等さほど気に掛けず、東北という風土の断面を無作為に抜き取って、無造作に並べた様な構成であるにも拘わらず、限りなく魅力的であった『山背郷』に比べ、本作は全く以て普通の文体である。まあ、その分、非常に読み易く数時間で読み終えた。羆版『サンダ対ガイラ』みたいな話。古く遡れば『海彦山彦』のテーマか?二本足で立ち上がって咆哮する、ウェンカムイらしい金毛羆を描いたイラスト(写真?)が結構お気に入り。
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「ヒグマと人間」は私の好きなテーマ。つまりは人間にとっての神、人間にとっての恐れるべき存在というもの。ただつくりとしては単調。新人っぽいともいえるが。「邂逅の森」を書いた重厚な熊谷達也とは思えないほどの軽さ。もうちょっと主人公及び准教授の内面を描くべきだ。一方でどうでもいい大学生たちの描写が細かかったり。