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高い評価の役に立ったレビュー
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2001/03/28 22:10
机上の経営書とはまったく一線を画した経営バイブル
投稿者:サトケン - この投稿者のレビュー一覧を見る
経営者、経営者候補生、起業家のバイブルとすべき実践(実戦)の書。企業のトップとしていかに権力を正しく行使するかについて、著者がその豊富な経営者経験をもとに、実例を交えて、明確に語る。経営とは意思による行為そのものである。本書は、机上の経営書とはまったく一線を画している。こういう人こそが、本来実践(実戦)の学であるべき経営学の教授(現在、多摩大学客員教授)になるのは当然である。超おすすめ。
低い評価の役に立ったレビュー
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2000/12/26 15:28
社長は権力者でなければならない。それを正しく理解し体現した社長が率いる会社のみが発展を保証される
投稿者:阪口 昭 - この投稿者のレビュー一覧を見る
かつて日本で大学の経営学部新設ラッシュが見られた頃,半ば笑い話として,しかし半ば真をうがった話として交わされた会話がある。−「経営学の先生,特に高名な学者が会社を興すと,その会社は必ずつぶれる」。実際,そんな事例を評者も2,3,見聞した覚えがある。
経営学は実践の役に立たないと言われてきた。さすがに近年,経営学もやや改革され,実践の学へと少しは変身したようにも見えるが,この本の著者に言わせれば,とんでもない,まだなっていない,ということになる。
この落差は一体,何によるものか。いまの経営学のどこがいけないのか。著者によれば,その理由は,例えば会社の頂点に立つ社長を論じる場合,その職務にまつわる機能的側面を平板に分析することに終始し,社長の最高権力者としての側面−全知を傾けて戦略,戦術を練って采配を振り,結果責任を一手に引き受ける−ダイナミックな人間像についての分析を軽視,ないし無視しているところにある。著者のこの視点は本の題名に「権力」の2字が付されていることに明快に表れている。評者は著者の見方に同意する。
日本で社長は絶大な権限を持つ存在である。それは法律や規則あるいは成分化された社内ルール等によって保証されている。しかし,「権限」は実態としての「権力」と同義語ではない。実力会長とか実力相談役といった言葉が飛びかうのはそのことを物語る。
では社長が握って行使すべき「望ましい権力」とはいかなるものか。実はこの説明は平坦には行かない。何故か。著者は言う。−社長はすべからくワンマンでなければならないが,しかし,ひとの意見に耳を傾ける謙虚さと度量を持たねばならぬ。他方,情報収集に万全を期すべきだが,決断は速やかに。時は経営者を待ってくれないのだ。−こんなふうに,相矛盾する要素を含むからだ。
著者は大都市銀行で,秘書室長,総務部長等を経て常務にまで進み,退任後は米国と日本でいくつかの会社のトップに立った人。このキャリアは著者が実際に多くの経営者のけいがいに接し,補佐し,また自ら経営の指揮をとるという,経営者の権力を書くのにきわめてふさわしい体験を積んできたことを物語る。この本は経営者の持つべき権力の条件を多角的に,また整然と体系的に述べており,その面では教科書的とも言えるが,著者が接した経営者のエピソードが織り込まれたり,トップに立った時の自らの決断と実行を語っているあたりは,著者ならではのキャリアを示すもので,本全体にいろどりを添えている。
著者は見聞と体験に基づく見識をもとに,権力者が陥りやすい落とし穴(保身,会社の私物化など)とそれへのチェックの有りようについて書くことも忘れない。その内容は「読んでのお楽しみ」とここでは略すが,評者にはたちまち例のそごうの経営者の姿が浮かんできたことを付け加えておく。
(C) ブッククレビュー社 2000
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紙の本
机上の経営書とはまったく一線を画した経営バイブル
2001/03/28 22:10
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投稿者:サトケン - この投稿者のレビュー一覧を見る
経営者、経営者候補生、起業家のバイブルとすべき実践(実戦)の書。企業のトップとしていかに権力を正しく行使するかについて、著者がその豊富な経営者経験をもとに、実例を交えて、明確に語る。経営とは意思による行為そのものである。本書は、机上の経営書とはまったく一線を画している。こういう人こそが、本来実践(実戦)の学であるべき経営学の教授(現在、多摩大学客員教授)になるのは当然である。超おすすめ。
紙の本
経営と権力
2000/10/15 04:09
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投稿者:ふみくん - この投稿者のレビュー一覧を見る
“経営と権力”という題名。そして筆者は、“住友銀行専務取締役から東京総合信用保証社長に就任。多摩大学大学院客員教授もつとめる”という経歴を持つといわれると、この本にはなにかとても厳しいことが書いてあるような気がしてしまう。
しかし、東京総合信用保証とは、“トーソーシン”、のことであり、現在は日本総合信用と合併し会社名が“クオーク”であるということがわかると、その印象も変わるのではないだろうか?
ハードカバーの裏表紙を開いてみると、思わずこちらも笑ってしまうようないい笑顔で、微笑みかけてくれている写真がある。
では、中身のほうはというと、その笑顔とは逆に、人の良さよりも厳しさのほうが前面に出ている。しかし厳しいとは言っても乱暴な厳しさではなく、理論がしっかりしている故の厳しさであり、こちらも身が引き締まるような思いがする。
筆者がこの本を書くきっかけとなったのは、多摩大学名誉学長の野田一夫氏との出会い。「企業経営者にとって、いまの経営学は役に立っていますか?」との質問からすべてが始まった。
この本が他の経営理論書と決定的に違うところは、筆者が経営という実務の経験者であり、ケーススタディが中心に書かれている点。特に第6章ではサラリーマンにとっても身近に感じる問題であるだけに、思わずうなずきながら一気に読み進ませる。
全体的なまとまりがとてもよく、筆者の人柄もにじみ出ている本であり、読んでいてとても面白い。
紙の本
社長は権力者でなければならない。それを正しく理解し体現した社長が率いる会社のみが発展を保証される
2000/12/26 15:28
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投稿者:阪口 昭 - この投稿者のレビュー一覧を見る
かつて日本で大学の経営学部新設ラッシュが見られた頃,半ば笑い話として,しかし半ば真をうがった話として交わされた会話がある。−「経営学の先生,特に高名な学者が会社を興すと,その会社は必ずつぶれる」。実際,そんな事例を評者も2,3,見聞した覚えがある。
経営学は実践の役に立たないと言われてきた。さすがに近年,経営学もやや改革され,実践の学へと少しは変身したようにも見えるが,この本の著者に言わせれば,とんでもない,まだなっていない,ということになる。
この落差は一体,何によるものか。いまの経営学のどこがいけないのか。著者によれば,その理由は,例えば会社の頂点に立つ社長を論じる場合,その職務にまつわる機能的側面を平板に分析することに終始し,社長の最高権力者としての側面−全知を傾けて戦略,戦術を練って采配を振り,結果責任を一手に引き受ける−ダイナミックな人間像についての分析を軽視,ないし無視しているところにある。著者のこの視点は本の題名に「権力」の2字が付されていることに明快に表れている。評者は著者の見方に同意する。
日本で社長は絶大な権限を持つ存在である。それは法律や規則あるいは成分化された社内ルール等によって保証されている。しかし,「権限」は実態としての「権力」と同義語ではない。実力会長とか実力相談役といった言葉が飛びかうのはそのことを物語る。
では社長が握って行使すべき「望ましい権力」とはいかなるものか。実はこの説明は平坦には行かない。何故か。著者は言う。−社長はすべからくワンマンでなければならないが,しかし,ひとの意見に耳を傾ける謙虚さと度量を持たねばならぬ。他方,情報収集に万全を期すべきだが,決断は速やかに。時は経営者を待ってくれないのだ。−こんなふうに,相矛盾する要素を含むからだ。
著者は大都市銀行で,秘書室長,総務部長等を経て常務にまで進み,退任後は米国と日本でいくつかの会社のトップに立った人。このキャリアは著者が実際に多くの経営者のけいがいに接し,補佐し,また自ら経営の指揮をとるという,経営者の権力を書くのにきわめてふさわしい体験を積んできたことを物語る。この本は経営者の持つべき権力の条件を多角的に,また整然と体系的に述べており,その面では教科書的とも言えるが,著者が接した経営者のエピソードが織り込まれたり,トップに立った時の自らの決断と実行を語っているあたりは,著者ならではのキャリアを示すもので,本全体にいろどりを添えている。
著者は見聞と体験に基づく見識をもとに,権力者が陥りやすい落とし穴(保身,会社の私物化など)とそれへのチェックの有りようについて書くことも忘れない。その内容は「読んでのお楽しみ」とここでは略すが,評者にはたちまち例のそごうの経営者の姿が浮かんできたことを付け加えておく。
(C) ブッククレビュー社 2000
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