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銀河英雄伝説 Vol.1 黎明編 上 みんなのレビュー
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紙の本
SFの頂点、歴史小説のひとつの到達点
2004/08/30 15:33
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:佐伯洋一 - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公は二人。ヤンとラインハルト。ヤンは、東洋的英雄の一つの結晶であり、ラインハルトは西洋的英雄の結晶であろう。戦術的にはヤンが、戦略的にはラインハルトが優れている。諸葛孔明とアーサーが戦えばこういう構図が出来上がるかもしれない。魔術師ヤン、奇跡のヤン。常勝ラインハルト。主人公として、どの歴史小説に比較しても恥ずかしくない。
この銀英伝は両者が単純に戦うというスケールではない。ヤンは民主共和制に育ち、ラインハルトは専制政治で育つ。そして、ラインハルトはヤンだけではなく、自国の貴族主義とも戦う。対するヤンも、腐った衆愚政治と成り果てた民主社会の中で苦悩している。「軍人なんて最悪の職業、早く年金生活がしたい」といいながら、専制政治から民主主義を守ろうとしている。
登場人物も魅力十分。ラインハルトの下には多くの勇将がいるが、物語が進むにつれ、陣営は寂しくなってくる。死なないで!と叫んでもいなくなってしまう。そう思わせるに足る登場人物の豊かさは、群を抜いている。
ネタばれは避けたいが、「魔術師、還らず」の章は久しぶりに心に響いた。誰もが、うすうす先を予測しうるような筆致をしてくるので、多くの方は「まさかな…」と思ってはいるのですが。
この本を分類するならば、歴史小説とすべきだろう。多くの作家(たとえば、水野良とか)、また田中芳樹さん本人は、この本は「架空歴史分野」であるとおっしゃっている。一言でSFとは言えないのである。歴史設定は非常にしっかりしており、どんなひねくれ者もつっこみを入れるのが難しい。
残念なのは、イラストが少女マンガ風になってしまったことです。これでは恥ずかしくて買いづらい人が多いと思います。しかし、その内容は堅牢重厚、非常に深いです。最悪の民主主義と最善の専制、どちらが優れているかが一つのテーマであり、その結論は主演の最期のひとことに込められている。憲法の修士論文とはいかなくとも、卒業論文には匹敵します。
オンラインで買えば恥ずかしくないので、購入を自信を持ってお勧めします。読まずにおけば、きっと人生損をしている、とは多くの方が指摘するところである。
紙の本
人気シリ−ズの二回目の新装
2000/09/01 16:46
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:榎本秋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本SF界に一つの流れを作った「銀河英雄伝説」の二回目の新装版である。
今回は漫画版『銀河英雄伝説』の絵師の方のイラストをふんだんに盛り込んでおり、決定版というふれこみである。
銀河英雄伝説は、スペ−スオペラ版三国志というものでもあり、三つの勢力の、表裏でのぶつかり合いと、生き生きとした人物がぶつかり合う作品である。
最近、スペ−スオペラも沈滞ム−ドからの復興が始まっているようである。
本シリ−ズの再刊がその流れの一つを形成すると思われる。願わくばまだ未完の短編集の続編も期待したいのであるが。
紙の本
お手ごろな値段でどうぞ
2001/05/19 16:57
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:さかな - この投稿者のレビュー一覧を見る
壮大なスケールでおくるスペースオペラ、と言ってしまえば簡単かもしれないが、こんなにも色々なことを含んだ作品をどう表現すればいいのだろう。ただのSF小説ではないのだ。
私はこの作品で善悪とは表裏一体なのだということを教わった。一方から見た善はもう一方から見れば悪にもなる。簡単なことかもしれないが、気付くのはなかなかに難しい。この他にもこの作品の中には私を感動させた様々なことが入っている。全巻読む中で何回涙を流しただろうか。こんなに深い作品を語り尽くすことなど出来ない。是非是非一度読んで頂きたい。
文庫化して一冊あたりの値段も安くなり、挿絵も可愛くなったことだし、「創竜伝」で田中芳樹先生を知ったお嬢さんがたもこれを機会に読んでみてはどうでしょうか。