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紙の本
篠山紀信の写真は物語でないが、ひとつひとつが時代の証言者である。
2001/02/07 14:32
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投稿者:伊藤竜太 - この投稿者のレビュー一覧を見る
篠山紀信の写真は多くを語らない。つまり、アラーキーの写真のような、ひとつひとつに物語を含有するタイプの写真とは根本的に違うのである。
篠山紀信の写真は物語でないが、ひとつひとつが時代の証言者である。この写真集に写されている被写体のひとりひとりが、それぞれの時代を代弁する「顔」をしているからだ。
この写真集の中には、日本のアイドル歌謡の歴史がまるごと収まっている。最初のページをめくると、山口百恵のアップが強烈に心を射る。その一枚の写真に、なぜ彼女があれほどまでに「永遠のアイドル」として愛されたのかが語り尽くされていて、彼女の奥深い魅力と当時の世相の両方が、一瞬の中に見事に切り取られている。
どんな有名なアイドルも、山口百恵の前では色褪せて見えるのは、やはり時代のパワーの違いなのだろうか。篠山紀信はひたすら、70年代のパワーそのままにその後の時代を駆け抜けて来たように思われる。それだけに、90年代にもなると、篠山紀信と被写体との距離感が不自然さを醸し出しているのも感じられる。
その不自然な距離が実は、日本の歌謡界が抱える矛盾をそのまま表していると思うのは、私だけだろうか。
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