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紙の本
観念の世界へ
2001/02/21 23:43
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投稿者:ブランカ - この投稿者のレビュー一覧を見る
言葉には言霊が宿るのだ。それは、古く、東西全ての世界でいわれてきたことである。言葉には「力」がある、と言い換えてもいいだろう。
この本の著者、宮沢和史は知る人ぞしる「THE BOOM」のボーカルをつとめるアーティストである。もちろん、彼のつむぎだす歌詞は様々な音と絡み合い、音楽としてわたしたちに届けられている。何年か前に「島歌」で爆発的なヒットを見せたといえば、おわかりの方もいるかもしれない。
彼は、売れるための曲を作らないアーティストである。ただ、その興味の向くままに様々な音作りに挑んでいく。この書もまた、そういう、宮沢和史の姿勢が感じられるものだ。
詩というものをなめてはいけない。ただ、闇雲に語を並べればできるもの…だったりもするし、そうでなかったりもする。言葉は遊ぶものであり、思いを込めるものであり、単なる記号だからである。
彼の選んだ詩は、千差万別でありながら、一脈通じるところがある。そんな言葉達であった。同じ、言葉を生業とするその詩人達に、共感を覚えるようであり、郷愁を覚えるようであり、戦いを挑むようである。
己の中にも、いつしか、同じ感覚が宿る。
言葉には言霊が宿っているのである。
紙の本
心の中の砂漠を潤す一冊として、手にとってみて欲しい。
2001/02/07 15:17
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:伊藤竜太 - この投稿者のレビュー一覧を見る
宮沢和史というアーチストを、個人的にはとくに好んでいなかった。しかし本書を見て、彼の物事を見る視点の鋭さを感じた。
本書に収められている詞の数々は、宮沢自身の詞ではない。彼が好きな、詩人たちの詞だ。竹内浩三、谷川俊太郎、中原中也、寺山修司、友部正人など、選ばれた詞は脈絡なく並んでいるようにも見える。だがそこには、宮沢和史のシンガーソングライターらしい内省的な一面、自己と自分を取り巻く世界との対比の中に真実を見出すきっかけを求める姿が、はっきりと見て取れる。
付録CDの朗読はいただけない。それは彼がこれらの詞と向き合ったままでいて、表現者になり切れていないからだろう。でもだからこそ、歌の中で彼が見せて来なかった心の中の一面が吐き出されているのだ。宮沢和史ワールドをより深く知るためでもいい。日本のすぐれた詞の数々に触れるきっかけでもいい。
心の中の砂漠を潤す一冊として、手にとってみて欲しい。
●●●●著者からのコメント●●●●
詩は、詩人がその詩を書くのに費やした時間をはるかに過ぎるくらい、読む人の時間をゆたかにしてくれるものです。
僕の人生の中で、永久に心の中で鳴り響き続けることば、そんなものもこの詩集には含まれています。
一度詩集を開いて、ことばと出会えた時、その詩集を通して、そのことばは一生心の中で鳴り響きます。
それはそれは、ゆたかなものしてくれるものです。
ことばと出会うことによって、未来の歩き方を教えてもらっているのかもしれません。
この詩集をきっかけに言葉の宇宙、詩というものを身近なものに感じてくれることがあればこの上なく幸せです。
宮沢和史
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