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紙の本
2000/11/5朝刊
2000/11/10 21:15
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:日本経済新聞 - この投稿者のレビュー一覧を見る
フェミニズムという概念が内蔵するパラドックス(逆説)を、著者は大きく二つの視点から論じ分ける。一つはフェミニズム理論が現実を変えるだけの力を発揮するに至らず、逆に女性を追い詰めてしまいかねないような矛盾だ。
例えば「仕事も家庭も」というけれど、その掛け声に乗ってしまえば、苦労するのは多くの役割をしょい込んで息切れ状態の女性の方。少子化対策で、表向き女性に優しいスローガンをまぶした支援策などが登場しているが、うっかり乗れないぞと反発を募らせる。そんなフェミニズム離れがことに若い女性の間で顕著だ。
もう一つは、フェミニズムを成立させるに至った「近代主義的言説」自身が、実は矛盾に満ちたものだったという視点。その言説の中心的人物に著者は政治学者・丸山真男を据える。丸山政治学の「知」の仕掛けは、まずスタンダードとして「西欧近代」の理念を掲げ、そこに日本を「等値」させる。
男女の問題も同じような流儀だ。「人間の基準を男性に置き」、女性がその基準に適合する時のみ「人間であることを認める」というのが近代の平等観。つまるところ「女性も人間」という言説は、丸山の知の仕掛けに補足された一種のポーズでしかないというのである。
ざっとこんな視点に立って、セクハラ、家族問題などに巣くうパラドックスをえぐりだす。テーマ設定は新鮮だが、なにぶん専門的すぎる。もっと一般読者に読ませる工夫はできなかったのだろうか。
(C) 日本経済新聞社 1997-2000
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