紙の本
戦争のきずあと
2016/04/15 20:26
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:JM - この投稿者のレビュー一覧を見る
むかし、どこかで読んだ覚えのある漫画誌「ガロ」
そこに載っていた作品がなつかしく、読みたくなって買いました。
1970年代には、人々の中にまだ太平洋戦争のきずあとが生々しく残っていたのだと知りました。子どものころに読んだのとはまったく違った読後感を持ちました。
紙の本
『赤色エレジー』はいまなお新鮮だ。
2000/12/05 15:25
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:竹内オサム - この投稿者のレビュー一覧を見る
1970年から『ガロ』に連載されたマンガ。アニメーターの一郎とサチ子がアパートに同居、その鬱屈した生活を様式化したタッチで描く。上村一夫の『同棲時代』とともに、“同棲”なる風俗を生み出した。この作品にもとづいたあがた森魚の歌も大ヒット。
『赤色エレジー』はいまなお新鮮だ。学生運動、アングラ劇、ドラッグ、フーテン、ミニコミ、自主上映と、60年代後半は若者を中心に、カウンター・カルチャーが勢いをもった時期。この作品も、当時の雰囲気を色濃くもつ。しかし、いまでもふしぎな魅力が。デザイン化された描線は、当時話題のつげ義春の影響を受けつつ、より都会的に洗練されていた。その点、古さを感じさせない。イラストとして見ても、自律した構図をもつ。
作品には、若者のせつない生活風景が切々と描き出されていた。一方には、かすかな希望も。そのふたつの感情が、布団と星という素材に象徴化されている点もおもしろい。
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「小梅ちゃん」の絵を描く人、くらいの知識で読んだら、やられた。最後のコマの絶望加減がすごい(それをこっちに余すことなく伝えられることも含めて)。
短編数本入り。昭和の時代にこんなに斬新なデザインが生まれていたのか、と感嘆。
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子供のころに感じた漠然とした不安感でもって寂しい悲しいとかわんわん泣きたくなった
後ろ向きな希望の強さというかこのままじゃないはずだっていうエネルギーも感じた
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2011 5/22読了。Amazonで購入。
アメリカの大学図書館で最も購入されている日本のマンガの一つ、と紹介されていたのを見て買ってみた本。
ガロに連載されていた林静一のデビュー作に、短編5本をまとめて一冊にした本。
なにがなんだかわからないうちに一気に読みきってしまった。
そうしてあらためて適当にページを開いてみるとどのページも凄く印象的であらためて驚く。マンガってとんでもないな、とあらためて思った。
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◆Twitterで漫画家の江口寿史さんが、〈尊敬する人〉と、イラストの画像付きで紹介しているのを見かけ、そのイラストの美しさに興味を持ち、手に取った。闇のような深い黒にハイライト。省略の美。◆ぐうの音も出なかった。エレジーというのに、私には無音に聴こえた。誰かといる場面でも、眠れないひとりぼっちの夜のようだった。どこかで聞いた当たり前のセリフひとつひとつが存在感をもって胸をえぐる。現状を打開したいのに先が見えない。苦しい。切ない。息ができない。
◆折しも村上龍『限りなく透明に近いブルー』(1976) 読了に続いての読書だったので、象徴的に描かれた蛾や大きな黒い鳥の登場には驚いた(『赤色エレジー』は1970〜71)。時代の不安を表す象徴として興味深い。
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ちょうど『ひよっこ』と同じ時代が描かれていて、どちらも貧しくて慎ましい。時代の標準で、東京での大半の若者がこうだったのかな。
中卒のアニメーターがアニメでは食えなくて漫画を描こうとしているけど才能があるのかないのか不明で、彼女がいて、気持ちがすれ違って、でもセックスはしていてというような物語が、とんでもないセンスで描かれる。主人公は横顔しか描かれない。最初から設計されたような美意識で一貫していた。センスに対する確信に満ちた傑作で、特に身もだえしてのたうちまわるところがすごい。やってる場面ものたうちまわっているように描かれる。見開きや大ゴマの鮮烈さがすごい。若さが苦しそう。
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然るべき時代を、のたうち回るアニメーターのいろいろ。
なんかずぎゅううんとくる。
あとは短編。デビュー作らしいのと他。
短編の一つが、なんか。
後家とその息子と後家の義理だかなんだかの弟と、その近所にゐる発達障害の娘さんを持つ親がどうたら。この話が、「被差別者いびり」としては衒ひのないものなのだが、なんか、お話の抽象性と他で、後味が悪い。
「水木しげる氏の妖怪マチコミ」って。
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サニーデイ・サービスの1st 『若者たち』のブックレットに、インスパイアされたマンガのタイトルが列挙されているのだが、そのうちのひとつだったので読んでみました。
1970年くらいの作品らしくて、ガロに連載されていたとの事。 知ってる作品だと水木しげる先生に似ていて、なんだがおどろおどろしい感じ。 全然理解出来ず。
オムニバス作品なのだが、反戦がテーマっぽいのが多かった。
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難しい……!
これをまた読んだ時に理解度が上がるように生きていきたい、と思った。
私の親が生まれてない時代の作品で、もしかしたら祖母祖父なら何かわかるかもしれないが想像もつかない。
だが、男女の情というものが少しだけわかった気がした
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読んでいて、なんだか、ポカーンとしちゃった一冊(^^ゞ
たぶん。ノスタルジー?
なんだろーなーと思うんだけど……。
例えていうならば、川瀬巴水の絵を見た時のような、記憶にない光景なのに、なぜか湧き起こってくる、あのなんとも言い難い感情とよく似ている。
ただ、川瀬巴水の絵に描かれている情景というのが、記憶にありようがないくらい昔なのに対して、この『赤色エレジー』は微かにその情景を思い描ける時代の情景だ。
と言っても、たぶん、直接記憶しているのではなくて。
おそらく、子供の頃に見たテレビでやっていたドラマや映画、あるいはドキュメンタリー等の映像を介しての記憶なんだと思う。
この本はある方の本棚に著者の別の本があったのを見て知ったのだが、やはり、その方の本棚にあった『俺たちの勲章』で出てきた当時の街の風景や、登場人物たちの心象と重なっているような気がする。
(『俺たちの勲章』は、この本の時代よりも5、6年以上後だと思うが、それでも風景や心象は繋がっているように思う)
あるいは、子供の頃、今のテレビ東京で土曜日の夜にやっていた日本映画のそれこそATGで描かれていた情景とか。
あと、去年再放送していた『新日本紀行』のあのテーマ曲を聴いた途端、沸き起こってくる心のさざめきとか。
そう。曲と言ったら、この本が描かれたのは「はっぴいえんど」があった時と重なっているが。
この本で描かれているそれは、あの時代より後を向いている2ndの『風街ろまん』よりも、1stの「はっぴいえんど(いわゆる「ゆでめん」)」に近い。
ていうか、「はっぴいえんど」よりは、『神田川』や『22才の別れ』の世界なんだろうけどさw
ただ、その辺となると、ラジオから流れていたのを聴いたくらいなんで、よくわからない(^^ゞ
そんな、たんに「昭和」って言うんでない、もっとピンポイントな“その時代”のノスタルジー(?)が、夜中に布団の中で外の豪雨を聴いている時のような何とも言えない安堵感をくれる。
そんな本(^^)/
ただ、1回読んだくらいじゃ理解出来ないのかなーとも思った。
ま、“コンテンツ”なわけで、理解出来る/出来ないっていうのも変で、要は自分がいいと思うか/そうじゃないか感じれば、それでいいことなんだけどさ。
とはいえ、「赤色エレジー」以外の話はよくわからなくて。
なんだか、昔見た「ツィゴイネル・ワイゼン」を思い出した。
読んでいて、ポカーンとしちゃったのはそういうこともあるのかもしれない。
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林静一の絵が好きで漫画と読んでみようと思った。
ガロど真ん中でびっくり。
小梅ちゃんとはまた違う世界だけど、この内面世界の毒っぽさや寂しさや怒りが色気を生み出しているのだなと、どこか納得した。
赤色エレジーもすごくよかったし、赤とんぼもとても好きだった。