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カセットテープの組み立て工場の生産ラインで働く労働者である主人公の許に、幼馴染でいじめっ子だったかっての同級生が10年振りに現れ、主人公の部屋へと転がり込んでくるコトに。気まずいながらも共同生活を始める二人に時折、主人公の彼女も加わって・・・といった流れ。2人ないし3人はデニーズへ行き、またラーメンを食べに行き、河原を散歩してみたり、酒を飲んだり、近所のパン工場の火事の様子を眺めてみたりして、取り留めのない会話を繰り返す。例えば過去や現在の生活について。そして将来と不安。時折頭の悪い哲学じみた話も交えつつだ。プロレタリアートな正に青春小説。けど、決してビルドゥンクス・ロマンではない。ココには何の教養も教訓も描かれず、例えば3人の人生の方向性を決定付ける様な決定的な事件や出来事なんてのは何一つ起こらない。始まりも終わりも全く同じ調子のままだったりする。小説は淡々と彼らの日常の輪郭と彼らの刹那的な交流とを綴って進んでいくだけだ。そして最後に幼馴染は主人公の部屋を出て行く。予定通りに。けれど決して予定調和を感じさせず、さながら奇跡の跡を思わせるような余韻を感じさせる当たり前と言えば当たり前のような日常的なラストが描かれている。。書かれた文法はあくまで三人称であるものの、実際は一人称であるかのように主人公の周辺が綴られていく。けど、この三人称の文体から生み出される言葉の距離感が、彼女に「よく言えば素朴で牧歌的。悪く言えば無気力で怠慢型。そ、よーするに牛みたいな人なのよ」と形容される主人公の、どこか冷めたような対外的な興味のなさや、その対外的な距離感に重なってイイ感じだったりする。文庫版には解説に高橋源一郎の文書が掲載されており、そこには本書と同様に何も事件を描かない保坂和志の作品を指して「その徹底した事件のなさによって逆に日常の「凄味」を表現した。」と説明し、対して本書をその「凄味」すら回避した、とある。補足して説明すれば、保坂和志の「凄味」というのは日常の隅々にまで視点と思考を張り巡らせることによって日常における緊張感を事件と同等にまで引き上げ描いたことにあり、鈴木清剛におけるソレは思考を表現することを登場人物らの言動に委ね、その輪郭を確実に押さえることにある。故に人によっては素っ気ない、何もない薄い(洒落た)文書だと感じることもあるだろうけど着目すべき点はソコではなく、その俯瞰的な距離感とソコから見た全体像である。その姿が一体どんなモノなのかは、是非一読して感じ取って欲しいトコロ。
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淡々と流れる今を、形を変えた友人と共に。 ありふれた感情を生まれたままの言葉で表現してるなぁと。好みの小説のひとつです。
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レビューはブログにて。
http://tempo.seesaa.net/article/14263005.html
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<小学校時代の友人が、突如オレの六畳にころがりこんできた。断りきれずに始まった男二人の生活。そのうちなぜか居候に親切な彼女のチカも加わり、奇妙な一週間が始まって…胸をしめつけるあの文芸賞受賞作がついに文庫化。>
ミステリーのような非日常が繰り広げられる世界(作品)も好きだけれど、特別なことは起こらないもの・ちょっとだけ変わった日々を描くものも好き。これは恋愛の部分がいまいち解せなかった。
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一週間、他人が自分の領域で生活する。けれども、一向に変化せず、時は流れていく。その一週間は特別変わったことでもないのに、やたらと印象に残る。
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ジャケ買い&タイトル買い。
なんてことない若者の日常。大きな展開もなければ、大したオチもなし。
けど、面白かった。なんだろう、このサラっとした感じ。
主人公の彼女の存在感が◎
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特に大きな山場もなく(キスしたかしてないかのところが唯一の山場?)
淡々と話が進んで、ちょっと拍子抜け。
でも、読みやすかった。
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・1/18 「ロックンロールミシン」につづいてこの人の2作目だ.どっかで聞いたようなタイトルだし、オレンジデイズと間違えてるのかも知れないし、なんだか分からないけど衝動買いしたから読んでみる.
・1/19 あっという間に読了.何しろいまどき(といっても結構前だけど(1998年))の言葉遣いな会話が多く、考えさせる山場もそれほど無く終わってしまったから、結構ページをめくるのがあっという間だった.
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大きな波もなく、びっくりするくらい淡々と続くお話。夢を追うサキヤを見て主人公が変わるわけでもなく日常に帰るだけ。そんなもんだよな人生って。何に魅力を感じたと言われたら少し返答に迷ってしまう。ただ、今の自分にはとても等身大である物語だと思った。他人事とは思えなくて、ああ、わかる。そういうことってあるよなあ。とみんなの言葉に耳を傾けていた。
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表紙の写真をたよりに物語の舞台の構築をみまもっていくと、おどろくほどすんなり入ってきた。青くさいポリシーと生活の実態間に横たわるアンバランスさも若者ならではなのか。
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何気ない生活に転がり込んだ謎多き闖入者がトラブルを持ち込むかと思いきや、何の事なしにおわる。そんな感じがデビューから鈴木清剛
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◇巻末
文庫版へのあとがき(二〇〇〇年・夏)
解説:高橋源一郎「フツーの人たち」
(『週刊朝日』98年3月20日号より)
解説:清水鱗造「行為の輪郭を描く視点 確実に優れた小説への入口がある処女作」
(『読書人』98年4月3日号より)
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主人公「カズキ」が10年ぶりにあった苦手な友人「サキヤ」を家に一週間泊めることなる。そこにカズキの恋人「チカ」も加わって。
カズキが抱くサキヤへのイメージとサキヤそのものの存在は、同じではないような。それは、日常的に私も誰かに抱くイメージというのがそれだけではないんだろうと思わされた。
日常的な雰囲気がすっと入ってくる読みやすい小説だった。
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ふんわり、ぬるく、でも、イラつく事もない流れ・・・何が起こるのかなぁと期待して読み続けても、特に何も起こらない・・・まあ、それでいいか!と思った小説。^^
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初めて読む作家さんですけれども、非常に良かったです! 確かにデビュー作ということもあって文章的に拙い部分もあるにはあるのですけれども、それを上回る魅力が本作にはあるかと存じます…!
ヽ(・ω・)/ズコー
どこがどう…と言うよりもなんでしょうねぇ…若者三人の間に漂う微妙な空気? 触れちゃいけないような空気を表現するのがとにかく上手い!
と僕などは思いましたねぇ…特にこれといったことは起きない小説なんですけれども、一見普通っぽく見える日常でも実は数々の事件が…主に登場人物の内面に…起こっているんですねぇ…ということが丸分かりな小説でした! 了…。
ヽ(・ω・)/ズコー