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紙の本
いろんなファンがいるけれど…
2006/09/09 19:14
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ISH - この投稿者のレビュー一覧を見る
ここに収録されてる「世界の終わりという名の雑貨店」だけ読んだことがあります。すごく感動しました。
「素晴らしき絵画はポスター!しかし、額縁には凝りまくる!」とか、直視したくないけど共感する部分が多く。
映画になったあれもあらすじだけ知ってますが、少女時代トイプードルそっくりの犬リュックをイタリア雑貨店で見かけて「こ、これは…!誰がなんと言おうと子供だけが身につけるものではございません!買って下さい!」「あらあなたが物を欲しがるなんて珍しいわね」…なんて思い出が蘇り、即座に封印したくなりました。
大人になった今でも雑貨屋に行くと考えます。
「お金を使って自分のものにできます。けれど、その必然性は?ここは美術館同然です。本当に好きなら眺めるだけで十分です。けれど、店の人に悪いから云々…」
ファンは服装や持ち物にうるさい人ばかりと思ったら大間違い。ごく普通のしっかり者で、ただ「俗物が気に入らない。面白みのある友人を求む」という方をお見かけしたことがあります。
この一本読んで「これが面白くて…で、作家さんこんな人らしい」と語ったところそこクソヤン店員の溜まり場の美容室で、
店員「殴りたくなります」。
…髪切ってる最中でしたがピンとか全部外して金叩きつけて「貴様がレジに持って行け」とやってしまった覚えが。
世の中いろんな人がいますが、とにかく『一般的にこういう部類はこういう扱いになっている』でOKな奴は問答無用でボコる。
そんな人は大好きかもな作家さんです。
紙の本
非現実の王国でーヴィヴィアン・ガール達
2003/05/13 22:33
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:栗山光司 - この投稿者のレビュー一覧を見る
サリンジャーの「ライ麦畑のキャッチャー」モードになってしまったのか、昔々、忘れ果てた無垢の美心(ミシン)について、愛憎こめて思いやると、どうしても、ホールデン君は好きになれず、妹のフィービーが大きくなったら、どんな風になるだろうと、考えていると、嶽本野ばらの【乙女心】にヒットした。
サリンジャーの書評投稿を見ても皆さん、昔を懐かしがっている。現役の同世代の少年、少女達の声が少ない印象を受けました。若者達は野ばらを読んでいるのだろうかと、そんな興味から、手に取ったのでした。
初体験なのに違和感はなかった。角田光代が「パンクを聴かず、ロックを聴かず、もしくはホールデンに出会わず」、成長しきってしまった人を私はなんとなく信用しないと書いているが、パンクロッカー・ミシンから【乙女心】を引き算すると、角田さんになるのかと、強引に「フイービー」→「ミシン」→「角田光代」と勝手な成長物語を編んでしまった。
『世界の終わりという名の雑貨店』(この本に収録)の僕はホールデン君にそっくり。
ねぇ、君。雪が降っていますよ。世界の終わりから出発した僕達は、一 体、何処に向かおうとしていたのでしょうね。
この言葉から、物語が出発する。
『絶望から出発しよう』の宮台真司は読んだのかなぁー。映画批評にもコストをかけているので、映画の方は見たであろう。彼の野ばら評を聴きたいものだ。世代を問わず、今、みんな、この事を考えていると思う。
【矜持】という言葉を胸に生きる君はVivienne Westwoodであれ、MILKであれ、矛として服を身に纏う。それはペニスを持った少女=ファリック・ガールに接続して、ヘンリー・ダーガーの『非現実の王国で』(作品社)に誘うかもしれない。
そんな夢の王国に背を向けて、入れ替え可能で結構、クソリアリズムで生きるもんね。パターン化された俗であろうと、動物化であろうと、結構ではないか、そうでないと、需要の拡大は望めないもんね。
でも、そんなコンセンサスは徐々に通用しなくなっているのではないか。そんなのは否で、「かけがえのない私」がすべてと、「自己の謎」に挑む若者が増えてきたことも事実である。
嶽本野ばらが、社会のクソリアリズムに対して闘う乙女心は彼が男だから、可能なのか、女の方に尋ねたい。もう一歩、足を踏み出して、「世界の謎」に挑む【乙女心】を期待したい。
シカゴの郊外にあるヘンリー・ダーガーの墓には「子供たちを守り続けた芸術家」という銘が刻まれていると聞く。野ばらもダーガーも、又、「ライム麦畑のキャッチャー」なのだ。
ただ、ミシンのメッセージは容赦しない。
貴方が死を望むなら、私は貴方を殺してあげましょう。不変の存在にしててあげましょう。だって貴方は私にとって、何より大切な人なのですもの。
「世界の謎」に挑まないと、袋小路で出口はありませんよ。
紙の本
『少女』は別の星で
2002/07/13 17:40
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あさの - この投稿者のレビュー一覧を見る
お洋服にはメッセージがあるのです。そのメッセージは、全ての盟友へと放たれてます。そのメッセージを受け取った少女は、もうのお洋服以外を着ることはできません。みえざる意志。それを受け取った少女は、高潔に、生き続けます。この世界のルールではなく、受け止めたメッセージの示すルールに従うのです。
『このお洋服を着ることは、矜持なのだ』と言い切る少女の言葉に頷く少女たちは、『世界の果て』を目指して進み続けます。そのためにどれだけ身体を、心を強打され、頭の半分から血を流しても、進み続けるのです。
この小説の主人公は、『乙女』ではありません。彼は乙女の声を聞き、姿を認め、手をさしのべ身体を抱くことはできますけれども、決してその魂と重なることはできないのです。だから主人公は取り残されます。『乙女=真の少女』だけが、頭をまっすぐにあげ、自分の目指す地を目指す事ができます。少女は責めません。ただ柔らかく、憐憫のまなざしで主人公を振り返り、そして一人逝くのです。
『ミシン』の中で、主人公の憧れの少女、ミシンは、主人公に向かって言います。『あなたのお洋服、みんなわたしとおそろいね、素敵』。その瞬間に、二人は魂の盟友となったのです。
『少女』が幸せになれる場所は、この星の上にはないのかもしれません。
紙の本
大切にすべきものは…
2001/12/10 19:26
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:HA-NA - この投稿者のレビュー一覧を見る
取り返しのつかない、本当にどうしようもない後悔。助けを求められているのを感じながらも、なぜか動けなかった自分。そのために愛するものを永遠に失ってしまったことに気付いたときにはすでに遅い。遅いけれども、どうしようもないけれども、それでも一生抱えつづけるであろう研ぎ澄まされた美しい気持ち。
本書に収録された「世界の終わりという名の雑貨店」は、そんな切実で哀しい、そして大変まっすぐな物語である。
日々、忙しさにかまけて、私たちは近くにあるささやかながら大切なものを知らずに失っている。また、周囲の目であったり、表層的なできごとなどに惑わされて、本当に手に入れたいものに手を伸ばす勇気が出せずにいる。そんな日常の代償の痛さを体感し、失いながらも生き続けなければならない人間の切なさに涙した。