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中盤まではどういう展開になるかがまるで読めないでどきどき。でも、最後の方になってやっと冷静に物語の稜線をたどると、なんだ、はじめから一貫したことを述べていたのではないかと気づく。ミステリじみた詮索をしていて本筋、軸となる意味のつながりを見失っていたたことに気づきちょっと恥ずかしくなった。「自分の外側をとりまく世界」と「自分の内側に広がる世界」を結びつけること、について述べている。重なり合う現象の隙間から世界の真実を垣間見る。芥川賞受賞作。
<こっからねたばれかも>
すべてが終わった後、彼との一期一会に思いを馳せる。もうその人格は散っていく霧のように自然へ回帰し、溶け込み、徐々に薄まって、じゃああの3ヶ月にできた結び目はなんだったのだろうか。おもいでは得てしてそういうものなのか。去っていった彼はたまたま形をとった自然、世界そのものだったのではないかというところまで意識は遠ざかる。そして星を見上げる。いつかまたチェレンコフ光は人生の海にきらりと存在を示すだろう。こんな結論に至る経験は、主人公をどこへ導くだろう。
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世界はきみのためにあると思ってはいけない。
文庫で買いなおしたので、会社に置いておこうとおもう。
目の前の仕事に囚われ過ぎたら、ひらくこと。
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淡々としていてすいこまれるような小説。「雪が降るのではない。雪片に満たされた宇宙を、ぼくを乗せたこの世界の方が上へ上へと昇っているのだ。静かに、滑らかに、着実に、世界は上昇を続けていた。」こういう記述がちりばめられていて、おもしろい。
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スティル・ライフとヤーチャイカの2編
久しぶりに小説を読んだ。この長さなら何とか読める。池澤夏樹の小説は、文体が重くなくて佳い。
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ずらり並んだ古本の中から、この本を手にして良かったと思います。
寒い空気の描写は、
音もなく降り積もる雪が地面と触れ合うときの感触を想像させました。
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高校の時の思い出の一冊。
何だか親しい人にプレゼントしたくなっちゃう本。
本なんか、滅多に人に贈らないのに。
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物理学はよいですよ。
っていう、それだけが萌えたので買いました。
謎のあるひと、っていうのはなんていうかかっこいいですね。
ヤー・チャイカは話そのものがなぞめいていたけど、
嫌いではない雰囲気。
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<poka>
最近、池澤夏樹をよく読んでいます。
これは芥川賞受賞作ですが、前に読んだ「すばらしい新世界」の方がよかったですね。
<だいこんまる>
君が住む星はよんだけど。
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この人の文章が好きだ。繊細で、説明的なんだけど、こちらを引き込む強さをもっていて。
そして、話の内容が好きだ。神秘的で、スケールが大きくて。非現実なようで現実的で。
いつでも取り出せて、読めるようにしておきたい一冊。
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まるでスライダーという球種でストライクからアウトコースに逃げる玉。てを出すと当てられない。そしてバットも止められない。
恐竜を飼う人の話。氏の独特な文章が独特なつり玉を呼ぶ。名投手なのは確かな作家。
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『初版 1991年』。18年前って、7〜8歳の頃だ。
想像力をかきたてられて、でも風景がちゃんと届いて、
本のヴィジョンが伝わって、いろんな言葉が深さが、心地よくなってって。
池澤夏樹さん。
久しぶりに、「この作者の本をもっと読んでみよう」と思わされました。
今、私の中で最も旬な人です。
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この世界がきみのために存在すると思ってはいけない。世界は君を入れる容器ではない。
世界ときみは、二本の木が並んで立つように、どちらも寄りかかることなく、それぞれまっすぐに立っている。
君は自分のそばに世界という立派な木があることを知っている。それを喜んでいる。世界のほうはあまりきみのことを考えていないかもしれない。
でも、外に立つ世界とは別に、きみの中にも、一つの世界がある。きみは自分の内部の広大な薄明の世界を想像してみることができる。きみの意識は二つの世界の境界の上にいる。
大事なのは、山脈や、人や、染色工場や、セミ時雨などからなる外の世界と、きみの中にある広い世界との間に連絡をつけること、一歩の距離をおいて並び立つ二つの世界の呼応と調和をはかることだ。
例えば、星を見るとかして。
(スティル・ライフの冒頭部分より)
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二重人格といっても2つの人格。互いに抵触して混乱のある二重ではなく、完全に別れた相互に独立した人格の佐々井は、世界の全体を見ているような宇宙的な存在であり、その彼に興味を持ち、共感し、一緒に仕事をする男は、翻弄されているようで、実は心優しき伴走者として彼を理解する。
男同士でしかありえない関係が少し羨ましく思えた。
文章が美しく天空を突き抜けるような清々しい気持ちになる。
他、「ヤー・チャイカ」も独特の雰囲気に引き込まれながら読んだ。
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少し宇宙酔い(?)をした。
果てしない闇の広がりから私という存在を見たときに、くらくらっと。
私もこの宇宙に属しているのだと思った。
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1行目からしびれました。
こんなに素敵な本をどうしてもっと早く、手に取らなかったんだろう。
何度でも読み返したい一冊。
《所持》