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スティル・ライフ みんなのレビュー

文庫 98(1987下半期)芥川賞 受賞作品

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みんなのレビュー259件

みんなの評価4.1

評価内訳

259 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

耳の底に硬く澄んだ水晶の音が聞こえる

2003/06/30 14:06

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:べあとりーちぇ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 この話の何がどう素晴らしいのか、的確な言葉で短く表現するのは難しい。けれど読んでみれば間違いなく何かきらきらした美しいものが、あなたの胸に降り積もって宿るであろう。昭和62年度中央公論新人賞および第98回芥川賞受賞の、決して埋もれさせ忘れ去ってはならない珠玉の名作。

 染色工場でアルバイトをしながら暮らす「ぼく」は、自分の外側に立つ世界と自分の内部に広がる世界との調和をうまく取ることができないでいる。自分の長い生涯を投入すべき何かを探し続けているのだが、それはなかなか見つからない。見つからないながらも特に焦るでもなく、淡々とアルバイトする日々を送っている。今で言うフリーターである。
 彼はある日職場で佐々井という男に出会い、話すようになる。佐々井は「ぼく」と同じフリーター生活をしているものの、「ぼく」が探しているような何かをもう既に見つけているような人物、ちゃんと世界の全体を見ているように思える人物である。
 佐々井と「ぼく」は、とある事情のために三ヶ月限定で同居するようになる。佐々井が話す言葉に「ぼく」は魅了される。三ヶ月が過ぎ、佐々井がまたふらりといなくなった後も、佐々井の語った言葉と彼の気配は「ぼく」の周囲に確かに漂い、「ぼく」の中で何かが変わるのだった——。

 作中に散りばめられた叙情的で美しい文章を、いとおしむようにできるだけゆっくりと読んでほしい。夏の夜、星空の下で宇宙に想いをはせつつ紐解くのが相応しいだろう。同時収録の「ヤー・チャイカ」も合わせてどうぞ。

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紙の本

この本との出会いは私の人生の財産

2018/03/16 19:02

7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:まり - この投稿者のレビュー一覧を見る

いま苦しんでいる人に読んでほしい本。
「世界が君のためにあると思ってはならない。世界は君を入れる容器ではない。...」
高校時代、苦しい受験勉強や部活動の顧問によるいじめが原因で自分らしさを見失っていた。一本のまっすぐなレールに乗って進んで行く周りの人たちとも反りが合わないでいた。「スティル・ライフ」はそんな生きづらさを受け止められる私にしてくれた。80年代に書かれたこの本は、バブル経済に沸く社会の中でそっと静かに世界を見ていた。
本を読んで人生が豊かになるとはどういうことか、これを読めばよくわかる。

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紙の本

スティル・ライフ

2013/08/03 00:36

5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:gb10 - この投稿者のレビュー一覧を見る

絵画では静物画のことを Stil Life という。
著者は別な意味を込めたのかもしれない。

本を開くと冒頭に詩がある。そして星の話。
次第に物語に引き込まれていってしまう。
美味しい水を飲んだときのような清涼感あり。
この本もよく友達に勧めたかなあ。

1997年、芥川賞受賞。
当時、ニューノヴェルと評価された作品です。

もう一篇「ヤー・チャイカ」が収録されている。

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紙の本

透明感のある文章でつづる、不思議さ『スティル・ライフ』

2011/01/23 17:31

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:惠。 - この投稿者のレビュー一覧を見る

池澤氏の文章には、どこか大好きな絲山秋子さんと通じるものを感じる。平易で、単純で。無駄な装飾を排除した隙のない文章。なのに、やわらかい。色で表すとしたら、透明。そして無色。

装飾を排除した文章には、何通りかがあるように思う。ひとつは、全体から少しずつ無駄を削ぎ落としていく方法。ボクサーが体内の水分を一滴一滴絞り出すように、無駄と徹底的に削っていく。1000字で描かれた内容を100字まで削る。この手の文章には、「凝縮」という言葉がしっくりくる。

しかし池澤氏の文章はこのタイプではない。彼の文章には、削ぎ落とした形跡が見られない。最初っから、そぎ落とすべきものは何一つ「ない」、そんな文章だ。

これまで読んだ池澤作品はたったの三冊だけれど、そのどれもに明確な「ラスト」はない。ジャンルで言うと純文学にカテゴライズされるのだろうか。ミステリでいうところの「種明かし」や「犯人さがし」という「解」のない作品だ。

わたしはその手の作品は基本的に苦手だったはずなのだけれど、絲山さんと池澤さんに関しては、自分でも不思議なくらいその魅力に取りつかれてしまっている。しかし具体的にどこがどういう風に好きとは言えないのだ。ただ、全体的に見て、好き――それだけしか言えない。


アルバイト先で知り合った佐々井は、ぼくに宇宙や星の話をする。ぼくはすっかり佐々井の話しに夢中になる。しかし佐々井はある日を境にアルバイトを辞める。それから一カ月後、唐突に佐々井から僕に電話がかかってきた
「まだそこにいたのかい?」と彼は言った。
「いたのだ」とぼくは答えた。


この「まだそこにいたのかい?」、「いたのだ」という会話がたまらなく好きだ。なんなんだろう、この不思議な感じ。この会話を目にしたとき、梨木果歩の『家守綺譚』で交わされる次の会話を思い出した。
――どうした高堂。
――逝ってしまったのではなかったか。

――なに、雨に紛れて漕いできたのだ。


『家守綺譚』ではこの世とあの世との会話だから不思議なのもうなずけるが、佐々井とぼくは共にこの世の人間だ。

それにも拘わらず佐々井とぼく会話は現実離れしていて、どこか不思議な印象を与える。このとらえどころのない感じが心地よい。

あぁ、なんだかうまく言えないや。たぶんわたし自身、この作品の魅力をちゃんと理解していないのだと思う。ただ感覚的に、もしく本能的に、好きだと思った。そんなあやふやな感想がこの作品には合っているような気がする。

ちなみに本書にはもう一編『ヤー・チャイカ』という短編が収録されている。「ヤー・チャイカ(Я чайка)」とは、「わたしはカモメ」という意味で、世界初の女性宇宙飛行士テレシコワ(ロシア人)が地上に向かって呼びかけたコール・サインである。



『スティル・ライフ』収録作品
・スティル・ライフ
・ヤー・チャイカ


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紙の本

池澤夏樹氏による芥川賞受賞作で、しなやかな感性と端正な成熟が生み出す青春小説です!

2020/07/19 13:57

2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る

本書は、小説家であり、詩人でもあり、翻訳や書評も手がける池澤夏樹氏の作品です。同氏は、文明や日本についての考察を基調にした小説や随筆を発表されており、翻訳は、ギリシア現代詩からアメリカ現代小説など幅広く手がけられています。各地へ旅をしたことが大学時代に専攻した物理学と併せて、同氏の作品の大きな特徴となっていると言われています。同書は、芥川賞受賞作でもあり、アルバイト先で知り合った年上の男・佐々木との短時間の奇妙な共同生活を描いた物語となっています。佐々井が現われたことで、ぼくの世界を見る視線は徐々に変わっていくという、しなやかな感性と端正な成熟が生みだす青春小説です。表題作の他に、ロシアの材木商との交流を描いた「ヤー・チャイカ」も収録されています。なかなか面白く、池澤氏の小説世界が垣間見られます!

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紙の本

例えば星を見るとかして

2001/11/07 00:38

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:naka-m - この投稿者のレビュー一覧を見る

 自分は競馬が好きであるが、例えば自分が競馬を好きなのは「勝てないから」なのである。

 だっていつでも勝てるようになってしまったら、予想する楽しみもなくなってしまうし、ハラハラドキドキも出来ない。やっぱり私にとってお金というのは手段であって目的ではないから。

 きっと「ああ、そういうものなんだ」と分かってしまったところというのはひとつの引き際なのだ。幸か不幸か競馬に関して自分がそこに行き着くことはなさそうだけど。

 「星を正しく見るのはむずかしいが、上手になればそれだけの効果があがるだろう。星ではなく、せせらぎや、セミ時雨でもいいのだけれども。」(スティル・ライフ 池澤夏樹)

 確かに佐々井のような生き方はうらやましくもあるけれども、星の見方が分かるのは、多分そこに行き着いてからでもいいはずなのだ。

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紙の本

スティルライフ

2001/11/03 20:42

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:333 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 株式取引を話題した小説。すらすら読めて、読み応えがあり、面白い小説。株式取引人の男に出会って自分が変わっていく青年を描いている。芥川賞受賞作。

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紙の本

文章が魅力

2021/06/08 09:24

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:いくやま - この投稿者のレビュー一覧を見る

「ぼく」と佐々井、二人の会話での内容と掛け合い、地の文の硬くてひんやりした書き方がどこか理系らしさを感じとても素敵。

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紙の本

小説自体はとても好き

2019/12/17 09:34

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:楓の葉 - この投稿者のレビュー一覧を見る

静謐さと透明感に満ちた小説。内容とは関係ないが、そんな物語を包む表紙は水色など涼やかで穏やかな色がいいのではないかと思う。

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紙の本

スティルライフという英語には「静物」「静物画」という意味があるらしい

2019/08/31 22:38

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

スティルライフという英語には「静物」「静物画」という意味があるらしい、この小説に登場する天体や微粒子や山岳がすきな男・佐々井の静かな佇まいはまさにスティル・ライフだと私は思った。その佐々井のバイト仲間だった主人公は、彼に株取引の仕事を手伝わせられることになる、どうして静かな男・佐々井がそんな生々しい現実感のある仕事に手を染めるのか、そこには深いわけが・・・というのがこの小説の筋なのだが、すじのことよりも私には佐々井という男の不気味ともいえる存在感に圧倒されてしまった。でも、私の近くに彼のような男が現れても、私は彼には気かづこうとしないだろうし、彼の方も俗物の典型のような私の存在は無視するだろう

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紙の本

この透明感が大好きなのです.

2002/07/31 14:16

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ムラタ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 主人公がアルバイト先で不思議な男・佐々井と出会い仲良くなるが,やがて佐々井はアルバイトをやめてしまう.しばらくして佐々井から電話があり,あることを手伝って欲しいと頼まれ事情を聞くが,その裏には大きな金と犯罪の影が……と書くとたいへんスリリングに聞こえますが,文章はいたってクールというか淡泊に流れます.そんな犯罪のことなどたいしたことじゃなくて,それよりも地球の地形のできかたとか,星の並びとか,染色の化学反応のことを考えて二人が話をしていることの方が大切だから,とでも言っているような.これを読んでからというもの,飲み屋とかでグラスの中にチェレンコフ光(宇宙線が水分子にぶつかって放出される光)が見えないかと思ってじっと見つめてしまうくせがつきました.

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紙の本

透明にして鮮やかな

2017/06/04 20:10

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投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る

なんとも不思議な読後感。トラブルからのサバイバル生活話かと思ったら奇妙なほど 穏やかな物語。鮮やかな色彩が澄み切った空気に包まれているようだった。

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紙の本

疾走

2016/05/29 18:43

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投稿者:redman - この投稿者のレビュー一覧を見る

スピード感ある展開なので一気によんでしまいました。
こういう生き方もあっていいんだ。

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紙の本

理科っぽい文学作品?

2001/05/26 21:26

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投稿者:みやぎあや - この投稿者のレビュー一覧を見る

 純文学というほど硬くはなく、けれど物語全体に漂う硬質で透き通った感じはまさに「文学作品」です。主人公と佐々井の淡々として理科っぽい会話がふとした拍子にとても深いものを感じさせてドキリとします。
 穏やかに進んできた物語が、佐々井が過去を明かしたあたりから急にスリリングになります。

 「ぼくは、きみの5年の最後の数週間だけを共にするんだ。マラソンでいえば、最後の千メートルだけの伴走者」

 主人公のこの言葉と、佐々井とのあっさりした別れがとても鮮やかに印象に残りました。

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紙の本

近いけど遠い世界のはなし

2015/06/05 03:38

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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る

池澤夏樹は1988年本書で芥川賞を受賞した。主人公は工場でアルバイトをしながら、静かに暮らしている。「フリーター」という言葉がなかった時代に発表されているので、どこか現実感がうすく感じられる。翻訳家として活躍している著者の作品なので、遠い国の話に思えてしまう。他人とのつながり方がわからない青年の姿を、先駆けてえがいている。今読んでも新しく感じる一冊だ。

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