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奇跡の脱出を得意とする天才奇術師・有里匠幻がショーの最中に殺された。しかも遺体は、霊柩車から消失。 幾重にも重なる謎に秘められた真実を犀川・西之園の理系師弟が解明する。S&Mシリーズ第6弾。
周りにはマジシャン、マジックの小道具がいっぱい。その中での事件となれば、どんなトリックが・・・とワクワクせざるをえない(笑)
終盤、そんなのあり?と思ってしまったけれど、文中で本人(S&M)が非現実的だと言っているのだから仕方がないか? それにしてもTMコネクションっていったい・・・これこそ、そんなのあり?まぁ、事件とは関係ないことですけど。 平行して起きたもう一つの事件については「夏のレプリカ」をお読み下さいませ
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今回の主要テーマは、「名前」だった。
「名前」や「言葉」や「固有名詞」は普段思われている以上に特殊で特別な意味を持つ存在らしく、「名詞の概念」は人間だけが到達した、複雑な思考らしい。
京極夏彦は同じことについて「呪(しゅ)」という言葉で表現している。「名前」というのは、自分自身の存在そのものにも深く係わりのある、哲学的にはかなり根源的な命題である気がする。きちんと理解出来るようになりたいと思う。
この、森博嗣氏のS&M(犀川創平と西之園萌絵)シリーズを読んでいる時には、ストーリーや謎解きの部分はほとんどスッ飛ばしてしまっている。あまり重要視していないし、理論的に破綻があるのか無いのかというところもどうでもいい。
ただひたすらに、そこに出てくる言葉(特に犀川先生のセリフ)にしびれるという読み方になってしまう。言葉を求めて本を読んでいることが多い自分にとっては、このシリーズは本当にたまらない。
物理の難しい法則を理解したとき、森の中を散歩したくなる。そうすると、もう、いつもの森とは違うんだよ。それが学問の本当の目的なんだ。人間だけに、それができる。ニューラルネットだからね。(p.283)
それが「桜の木」だと人々が感じるのは、一年のうちの数週間で、残りのほとんどはそれはただの「木」でしかない。
同様に、人はアウトプットするときだけ、個たる「人」であり、それ以外は、「人々」でしかない。(p.417)
君がどんどん賢くなって、立派な人格になって、君が望むとおり成長したとしよう。外的に変化するのは、君の西野園萌絵という名前の概念だけだ。少なくとも、外部から観察した場合、具体的な変化はそれしかない。つまり、君は、自分の名前の概念を変えるために生きていることになる。(p.511)
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今回は相も変わらぬ妙な建物は出てこない。脱出奇術の話で、後書きを書いているのが引田天功。ぴったり合っているというより、絶対にモデルだと思う。登場する女性奇術師は、あんまり魅力的ではないけれど。
ミステリとしては、一見派手だが実は地味、というあたりがおもしろかった。確かに奇術を絡めていかないと書けない話である。最後の方に出てくる意外な話は、どこかでみたような話のような気がして、もう一つ意外には思えなかった。
で、例によって探偵役である二人の話。とにかく個人的にはこの二人の魅力に引っ張られてこのシリーズを読んでいる。が、この間読んだのとこの作品の間に2冊あって、その間に二人の関係に大きな進展があった(ようだ)。そこをとばしてしまったのが非常に悔しい。やっぱり順番に読むべきであった。これは思い切り後悔。二人の内面が少しずつ書かれていく。シリーズが進むにつれて盛り上がってくるだろうなって予感がする。
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この本は次巻『夏のレプリカ』と同時間軸で語られている作品です。なのでこれを読み終わったらすぐに『夏のレプリカ』を読むことをお勧めしたいなあ、と思う次第であります。思わぬ伏線にしてやられたな、という感じ。何げないシーンがあとあと大きな鍵を握っていたのですね。
「ものには名前がある」というくだりが印象的でした。名前を呼ぶのが遅すぎたことに後悔を覚えた犀川先生の心境にせつなさを覚えました。
あと、犀川先生が萌絵に「最高に綺麗なスイッチだね」っていうところが好き。犀川先生らしいなあ。
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シリーズ第6作目。
マジシャンがショーの最中に、衆人環視下で殺されます。
この作品は、次の『夏のレプリカ』と対になっているため、奇数章しかありません。
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魅了される作品。森博嗣の作品は彼自身の考え方をトレースできるからおもしろい。今作は「名前」に関しての考え方が明らかになった。名前のために生きるか、なるほどね。
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この後の作品『夏のレプリカ』と2つで1つな作品。勿論単品で読んでも良いが、次も読めばオモシロさ倍増は間違いなし。
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S&Mシリーズの7作目?
これでS&Mシリーズは全部読んだと思うんだ(苦笑)
脱出マジックの最中、マジシャンが殺され、その葬儀の時には遺体が消える…。
犀川と萌絵の関係、これが一番面白かった。つか、この恋愛してるけど、してないような、でもしてる、って微妙な感じをよく書けたなぁと感心した。
と、今までにないストレートさを感じたのだけど、一体何ゆえにそう思ったのか、どこを根拠としているのか、自分でもわからないところが歯痒い。って、これがマジックを題材にしている効果なのだろうか?
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'05-08-02読了
『物理も科学も、そもそも人間の認識の仕方じゃあないですか? 自然現象を理解するためのプロトコルでしかありません』
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S&Mシリーズ第6弾。
マジックショーを舞台に、謎めいた殺人が。
奇数章しか存在しない一風変わった作品。
作品解説は引田天功!
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犀川・萌絵シリーズ?。脱出トリックを得意とする、かつて天才奇術師と呼ばれた有里匠幻が、大観衆の見守る中、殺された。誰か、どうやって、ありえない状態で、彼の胸には剣が深々と付き立てられていた。葬儀場に奇術師の声が響く、「諸君が、一度でも私の名を呼べば、どんな密室からも抜け出してみせよう」。そして、彼の遺体は密室の霊柩車から消え去った。
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今回は、犀川先生と萌絵の会話がいつにも増して小気味よくて、満足。この会話の癖、絶対理系の大学研究者ならではっ!って思います。なぜなら、シュウゾーもよく似た思考と発言をするから。ミステリーのトリックとしては、まぁまぁでしょうか。私は、基本的にトリックは凶実がない人間なので^^;。このシリーズは、事件の動機とか裏づけとなる心理に「うむむ」とならないのが残念。
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S&Mシリーズ6作目。次の「夏のレプリカ」と時系列が重なっています。手品のタネ明しが参考になりました(笑
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個人的にはミステリ部よりも日常の話が面白いS&Mシリーズ6冊目。Gシリーズの主人公はここに出てきてるんですね。
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天才奇術師がショーの最中に殺されます。それを目撃していた萌絵はいつものごとく推理に奔走します。
この作品と次の「夏のレプリカ」は対になっています。なので奇数章のみという変わった仕掛けになってます。テーマは名前です。ある人に取っては重要な意味を持ち、またある人には飾りでしかない「名前」。自分の「名前」にはどれほどの意味があるのでしょうね。ちなみに解説はあの引田天功です!!
まぁあまり興味はないですが(笑)
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夏のレプリカと交互の章構成なので奇数章だけしかない。故にセットで読むことをおすすめする。とはいえ単体で読んでも成り立つ。犀川先生はああやっぱり大学の序今日だなぁと思える一作。