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わが家への道 ローラの旅日記 新版 みんなのレビュー

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みんなのレビュー9件

みんなの評価3.6

評価内訳

9 件中 1 件~ 9 件を表示

紙の本

旅の終わりに。

2011/11/02 16:05

8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:きゃべつちょうちょ - この投稿者のレビュー一覧を見る

災難つづきの新婚生活が過ぎ、ふたりは果たしてどうなったのか。
「はじめの四年間」の、その後のローラの日記。シリーズ番外編。
本書はローラの遺稿から見つかった、彼女の旅日記に、
娘のローズが最初と最後の章を書き加えて出版されたものである。

ローズは世界を飛び回ったジャーナリストであり、作家であった。
そして、ローラの編集者でもあったのだ。
ローラがインガルス一家の物語を書き始める前に、
ローズは文筆業で世にひろく知られていた。
ローズの存在なくしてはこのシリーズは生まれなかっただろうといわれている。
ローズはローラの文才をいちはやく見抜き、励まし、指導し、支えてきた。
それに応えてローラも出版社からの締め切りを守り、
「大きな森の小さな家」から「この輝かしい日々」まで、8冊の本を書き切ったのだ。

しかし、本書でローズの書いた最終章を読んで、すこし残念に感じたことがある。
一家の永住の地をついに見つけて土地の契約に行こうとしたその日のこと。
ローラ、アルマンゾ、ローズのワイルダー親子3人にちょっとした事件が起きた。
大事にしまっていた100ドル札がなぜか出てこない。
動揺した母のローラが、ローズに訊ねる。
『うちがお金を持っていること、よその人に喋ったりしなかった?』と。
馬車での長旅の食事はいつもキャンプで、他の移民予定者たちとの接触も多かったからだ。
みなが条件のいい土地を求めて旅をしていた時代だった。
両親はよもやローズが隠しているとは思わなかっただろうが、
小さいなりにそのお金がどれだけ重大な意味を持つのか、ローズはわかっていた。
もちろん誰にも喋ったりはしない。そのあと結局お札は見つかった。
ローズとしてはとくに母親に傷つけられたという心情が書き込まれている。
7歳のローズの気持ちを推し量ってみると、たしかにこういった思い出は
多かれ少なかれ誰にでもあるだろう。絶対的弱者である子どもが、親に感じる恐怖。
少女の、息苦しいような締め付けられるような思いは、じゅうぶん理解できる。
けれども、ローズはもう7歳の少女ではない。
りっぱにプロの文筆家として、母親とすばらしい仕事を成し遂げているのだ。
ローラの死後、娘のローズにローラの物語のつづきが読みたいという手紙が殺到した。
不動産のセールスマンとして、宣伝文も書いていた経験を持つローズは、
人の心をすばやく読み、何を望んでいるかをつかむことに長けていたはずだ。
母に傷つけられたという思いは、何もここで語らなくてもよかったのではないか。
ローラのファンに、娘としての余裕を見せてほしかったというのは、贅沢だろうか。
「はじめの四年間」にあるが、ローズは生まれる半年前に名前が決まっていた。
安定期に入ったローラが、アルマンゾと一緒に馬車でドライブに出かけた草原には
色とりどりの野ばらが咲き乱れていた。ローラは野ばらが好きだった。
その甘いにおいを嗅ぎながら、お腹の子は女の子だとローラは確信したのだ。
予想どおりに女の子を出産してまもなく、『12月のバラは、6月のバラより貴重』と
さりげなく娘への愛情を込めた、ウィットのある一行を書きつけている。
ローズの誕生が「はじめの四年間」のなかでどれだけ希望を与えていたかが伺える。

ローラの日記は、絵のように細やかな描写が光る。風景が浮かんでくるようだ。
事物や人に対しての観察眼にはおどろかされるが、感情は書かれない。
日記がこうなのだから、これがローラの本来のスタイルなのだろう。
現代、ブログ文化が栄えているが、当時の人々もよく日記をつけていたらしい。
開拓移民だったインガルス一家の娘であったローラにとって旅は日常だったが、
新しいことを発見する興味は尽きなかった。
ワイルダー一家としての旅でも、見知らぬ土地で見聞きするすべてに興奮していた。
夜はキャンプの焚火のそばで、アルマンゾの助けを借りながら、
どんな小さなことも洩らさないようにローラはノートに記していた。
青い罫線の一行に、ローラはこまかい字で三行ぶんを書き、ページを節約していた。
そしてこの日記をとても大切にしていたそうである。
インガルスのとうさんが言っていたように、大きくアメリカが変る時代だったので、
そのときの暮らしを克明に書いておけば、
歴史的に貴重な資料になるのではないかと考えていたためだ。
「わが家への道」には当時の写真も何枚か添えられていて、
馬車でぎっしりの大通りなど、現代とは異なった生活様式を伝えている。

晩年、ローラとアルマンゾは馬車ではなく自動車で、西部へむけて旅に出た。
ローラが物語に書いた、ふたりにとっての思い出の詰まった大草原へも行った。
このころにはすでに、とうさんもかあさんも姉のメアリーも永眠。
結婚した妹ふたりのそれぞれの家に立ち寄って思い出を噛みしめたという。
旅から戻って数年後に、デトロイト公共図書館の分館が設立され、
ローラ・インガルス・ワイルダー分館と名付けられた。
ローラは開館式に招待され、アルマンゾもこのことをたいへん喜んだが
92歳という高齢の彼の体調を気遣い、ローラは出席しなかった。
まもなくしてアルマンゾは心臓発作を起こし、二度と目覚めることはなかった。
ふたりが結婚してから60数年の時間が経っていた。
その後ローラは寂しいけれども穏やかな日々を淡々と過ごす。
ローラが90歳の誕生日をローズと一緒に迎えると、たくさんのお祝いの品や手紙が届いた。
アメリカのあちこちで、ローラの誕生祝いが計画されていたのだ。
それから3日後に、ローラはアルマンゾのもとへ旅立った。人生に終わりを告げる旅へ。

シリーズを読み、関連本にも目を通してローラ自身に触れてみて思ったことは、
豊かな人生、ということだった。
1日は24時間、ひとりの人間に体はひとつ。これは絶対に変えられない。
自分がなにを持っているのかに気づき、工夫し、持っているものを味わい尽くす。
物質的なことにかぎらずに。
そんなローラの生き方は、この先もずっとわたしを魅了しつづけるだろう。

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紙の本

大人向け

2020/12/15 20:25

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:earosmith - この投稿者のレビュー一覧を見る

子どもの時には、「お話」ではないのであまり面白くなかったのですが、大人になってから読むと当時の移動や生活の様子がとても興味深いです。

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2010/02/26 12:39

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2011/01/17 16:38

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2013/09/17 09:35

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2016/07/02 00:44

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2019/08/07 12:24

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2020/11/30 22:30

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2024/03/21 21:54

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