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処刑の方程式 みんなのレビュー

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みんなのレビュー6件

みんなの評価4.0

評価内訳

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6 件中 1 件~ 6 件を表示

紙の本

長さを感じさせない超大作

2001/01/28 13:18

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:エンドルフィン - この投稿者のレビュー一覧を見る

 ヴァル・マクダーミドという人は小生の評価が高いミステリ作家の一人だ。心理分析官を主人公にした、いわゆるサイコ物として「殺しの儀式」、「殺しの四重奏」を発表しており、いずれも出色のできだった。「殺しの四重奏」はそれなりに完結してはいるのだが、いかにも続きがありそうな終わり方だった。だから次回作を楽しみのしていたのだが、この「処刑の方程式」はまったく趣が異なる、別の作品になっている。本も分厚いが、中身も重厚だ。

 時は1963年、イギリスの寒村スカーデールで13歳の少女アリスン・カーターが行方不明となる。この村は人里離れた場所にあり、住民のほとんどがカーターかローマスという姓を名乗る閉ざされた世界をかたちづくっていた。担当のジョージ・ベネット警部は、外部の人間を信用しない村民達に手を焼きながらも捜査を続ける。そして死体が見つからないまま、いくつかの証拠をもとに殺人事件として犯人を逮捕し、事件は解決したかに見える。しかし、それから35年後、一人の女性ジャーナリストがこの事件を本にしようと思いたった。単なる回顧録になる予定だったが、やがて思わぬ真実が明らかにされる。

「強い人だよ、ルース・ホーキンは。スカーデールみたいに自然の厳しいところで育つと、折れるより、たわむことを学ぶんだろうね」

 行方不明になったアリスン・カーターの母親ルース・ホーキンについて(姓が違うのは再婚したため)、ジョージ・ベネット警部が語るセリフだ。しかし、そのたわむことを学んだ人たちがこの事件の裏で深くかかわっていたことが判るのだが…

 事件全体はありきたりで、大きな展開があるわけではないが、捜査の過程、そして裁判の様子が実に丹念に描かれている。そして何年もたってから、その真実が明らかにされるというストーリーも決して目新しいものではない。真実に行きあたるきっかけもやや安直かもしれない。にもかかわらず、十二分に堪能できる面白さだ。わたしの中ではますますマクダーミドの評価が上がった。未読のマクダーミドの作品も読んでみたくなる一作だ。

なお、海外ミステリに関心のある方は、小生のホームページThe day of wine and mysteryを一度のぞいてみてください。

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紙の本

相殺的な人生への洞察力に満ちた筆致

2001/05/18 05:38

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:旅歌 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 『殺しの儀式』『殺しの四重奏』によって、マクダーミド=サイコ・スリラー作家みたいなイメージを持ってしまったが、この方はとんでもなく奥の深い作家だった。良い方向に裏切られた珍しい例といえるかも。最悪のタイトルは置いといてね…。

 スカーデールというイギリスのひなびた村から14歳の少女が失踪する。探すのは29歳の新米警部ジョージ・ベネットだ。二部に分けられた前半の一部で、1960年代半ばに起こった事件の一部始終が漏らすことなく語られる。折りしもイギリス北部では、少年少女の連続失踪事件がマスコミを賑わせていた。この部分は、もう女性ならではの細かさで、新米警部の焦燥、閉ざされた村の様子、などが当時の世相を交えながら細かに描写される。事件の進捗や排他的な村の様子が、いかにも英国ミステリといった趣でノロノロと進む一部の前半部は退屈の一言。事件の全貌と行く末もなんとなく見えるし。これが中盤から一気に加速する。あとは一気読み。このギアの入れ替えは見事としか言いようが無い。

 ただ、すれっからしの読者のほとんどは真相がわかっていたんじゃないかな? そのへんの危うさは作者も重々承知していたようで、結果こんな構成になったんだろうし、前半にあれだけの力を入れたんだろうけど、やっぱり瑕疵が目立ってしまう。途中で想像した真相に一捻りが加わった程度で、周囲から聞くほどの衝撃はなかった。っていうか、作者はこの小説にミステリ的な驚きは最初から考えていなかったようですね。まあオカズ程度っていうか、それが主眼ではないから。結果としてみれば、美点でもあり、欠点でもありだろうか。もうちょっとミステリ的妙味を効かせれば、もっと衝撃的な作品になったと思うのだが。

 突き詰めて考えたことを書いてしまうとネタバレになりそうなので、あまり深追いはしないが、法の普遍的な無力さというか、近年のミステリに多く見られる傾向というか。買えるのが、そこに横たわるのが、一方に有利で一方に不利、というか一方が幸福で一方が不幸といった画一的な白黒判断ではなく、相殺的な人生に対する洞察力に満ちた作者の筆致でありますね。最後には、全部善人、みたいなのがちょっと鼻についたけど、感動的な作品ではあった。

 でもねぇ、変に物分かりのよろしい女性ジャーナリストは余計だったんじゃないかな。背景や人物に工夫を凝らしてあるにも関わらず、物足りなかったのが残念。後半が駆け足過ぎたのでは? 個人的には、あのジャーナリストをそっくり息子に置き換えてはどうだったかなと。かなりきつい物語になったかもしれないけど。

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紙の本

たしかに読ませる力作

2001/02/24 08:04

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:OK  - この投稿者のレビュー一覧を見る

 やたら閉鎖的な田舎の小村で起きた少女の失踪事件を、英国作家らしい重厚な筆致で描く。長い年月を経た「過去」と「現在」とを結びつける発想には、ロバート・ゴダードあたりの作風を思い浮かべるむきもあるだろう。たしかに読ませるしまじめな力作だとは思うけれども、分厚い描写を積み重ねているわりには小説的な感興に乏しかったのも否めない。たとえば『ジグザグ・ガール』のマーティン・ベッドフォ−ドのような、洗練された語り口や印象的な人物造形といった小説的技巧が備わっていればまた違ったろうと思う。終盤で明かされる真相も想像のとおりで(というか、この舞台設定ならこれしかないだろう)、まったく意外な点はなかった。ちなみにこの真相はアガサ・クリスティのいくつかの作品を想起させる。そういう古典的な話を現代英国風の重層的な物語に組み入れているのが売り、ということになるでしょうか。

http://www.geocities.co.jp/Bookend/1079/

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紙の本

ミステリーコーナーより

2001/01/18 21:07

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:吉野仁 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 これまで、女性警官と男性心理分析官のコンビが活躍する「殺しの儀式」(CWA賞受賞作)のシリーズなどが邦訳されているマクダーミドだが、本作は独立した1作である。
 三十数年まえ、イギリス中部の寒村で、ひとりの少女が消えていなくなる事件が起きた。やがて警察は、犯人をつきとめる……。
 この小説は2部構成となっており、文庫本にして700ページ以上あるうち、なんと第1部だけで500ページも費やされている。この大胆な構成がひとつの大きな読みどころだ。
 なにしろ、この手のサスペンスではありがちな容疑者の出現など、警察捜査、法廷審理をめぐる作品として、きわめて凡庸な展開のまま話は進んでいく。もちろん、事件の全貌や特殊な村と村人たちの姿が丹念に描かれており、けっして退屈するわけではない。
 しかし、結末まで読むと、繊細にして大胆な作者の企みに驚かされるだろう。なるほど彼女の最高傑作と呼ぶにふさわしい大作だ。

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2010/05/16 21:25

投稿元:ブクログ

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2018/06/03 00:06

投稿元:ブクログ

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