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紙の本
「老いをよく生きるとは、目標をもちそれに向って一生努力すること、それが長生きの秘訣。」
2001/02/15 18:15
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投稿者:井出彰 - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本はあと15年もすれば、4人に一人は65歳以上の高齢者によって占められるという。一体どうなるんだという不安がつのってくるが、ともかく覚悟と準備はしなければいけない。ということなのかどうなのか分らないが、昨今では「老人力」とか「シルバーライフ」とか「ゴールデンプラン」などという言葉が盛んにいわれるようになってきた。
この本は、後期高齢者というのだそうだが75歳以上の、いわば老人中の老人。けど今なお元気いっぱいで活躍している15人の人に登場してもらって、その生活ぶりを紹介している。しかし、15人は朝早起きし、食事には何と何を食べ、こんな健康法をしていて、こんな薬を飲んでいる、といった共通の事柄があるというわけではない。千差万別、みんなバラバラだ。あるいは個性的だと言いかえた方がいいのかもしれない。
例えば、89歳になる聖路加国際病院の元院長で、今なお現役のお医者さんを続けている日野原重明さんは、二日間で神戸・大阪・小倉・出雲に移動しそれぞれの都市で講演し、夜の9時に東京に戻るといったような強行日程は日常茶飯事。普段の日も、早朝5時まで勤務に追われることも珍しくなく、二時間ほど仮眠して7時に出勤することもザラにある。1週間のうちに最低1回は徹夜するし、土日も休みなし、という。
84歳になる特許王の伴五紀さんにいたってはタバコは一日80本は吸うというヘビースモーカー。大好きなコーヒーは砂糖を五杯も六杯もいれて何杯も飲む。タバコが身体に悪いのは当たり前だが、東京の空気のほうがなお悪い、と笑う。もちろん不摂生がいいというわけではない。82歳で医学博士の幡井勉さんもいうように、好きなものを無理に止めない方がいい、ということらしい。何が何でも肉や酒は駄目、菜食だけに徹するというような意固地になる必要はないという。
しかし、こんな豪快な人ばかりではない。あの「赤い夕〜陽が、テラスを染めて♪」の舟木一夫の「高校三年生」の作詞家の丘灯至夫さんは、むしろ子供のときから身体が弱かった。虚弱体質で遠足や修学旅行、運動会に参加したことがない、という。だからこそ身体には気をつける。弱さが武器になる。そういえば、この世代の人たちは、戦争をくぐり抜け様々な逆境に出会ってきた。そんな体験がバネになっている。あらゆる知識をしぼり出し工夫をしながら生き抜いてきた。それを後の世代の人たちに伝えようとしている。
だから、それは画一的なものではない。身の丈にあった、自分で自分に合う方法があり量がある。人生、どうしなければいけないかというよりも、何を目標にいっしょ懸命に生きるかということらしい。そのことが、結局自分のためと、他人のためと、世の中のためとが一体となって充実感を生むということか。好きなことに夢中で生きるところにストレスはない。老いをよく生きるとは形より内容、量より質ということらしい。張りのある人生、それが第一。目標をもって、それに向って一生努力する、どうやらそれが長生きの秘訣らしい。 (bk1ブックナビゲーター:井出彰/『図書新聞』代表002001.02.16)
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