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世界探偵小説全集 33 真実の問題 みんなのレビュー
- C.W.グラフトン (著), 高田 朔 (訳)
- 税込価格:2,750円(25pt)
- 出版社:国書刊行会
- 発行年月:2001.1
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紙の本
このキリコを思わせるカバー画は影山徹、で中味はごっつい法廷推理。叢書中一、二を争う出来かも。ちなみに娘さんは、あの
2004/05/25 20:37
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
《なりたての弁護士ジェス・ロンドン。義兄ミッチェルからの依頼が引き起こす混乱が、彼への殺意に変わるとき》
血ってのは、怖いね。いや、実物の血っていうんじゃあなくて血筋ってことだけど。もう一年以上前の話だけれど、銀座の画廊を覗いたことがある。無名の新人作家展だと思って気楽に会場を覗いたら、いるは、いるは。車椅子のご老人やら、若夫婦、子供。驚くくらい。何だろうって思ったわけね。で慌てて知り合いの画廊さんのところに行った。「あれって何?」と聞いたら、有名も有名、親子三代にわたって日本画壇の頂点に座り続けた巨匠の直系、ひ孫さんだという。うーむ、血だね。血。ドラキュラの呟きが聞こえる。
弁護士の卵であるジェスは、同じ事務所に勤める義兄ミッチェルから仕事の代理を依頼される。それは土地取引に絡むもので、書類を指定された時間に提出すれば、巨額の利益を得られるというものだが、都合がつかないという。わけもわからず、準備だけはしたものの、最後にミッチェルの用事がなくなって、ジェスの準備は空振りに終る。
そのミッチェルはジェスの姉のマーセラと新しい家に引越しをするという。送別のための盛大なパーティも終わり、一人自分のアパートに向かうジェスだが、忘れ物に気付き、姉の家に引き返す。彼が義兄の家で見たものは、妊娠した姉に対するミッチェルの理不尽な暴力だった。怪我をした姉を病院に行かせた後、ジェスは怒りのあまりミッチェルに殴りかかる。翌朝、自宅で目覚めたジェスが知ったのは義兄の死だった。
姉のマーセラの犯罪かと疑う警部補リッチモンド。一度はジェスが依頼され、結局は義兄が提出したとされる書類の紛失。発生した莫大な損害。事務所からの解雇。殺人の容疑で逮捕されたジェスは、裁判では弁護士を頼まず、自身で弁護をするみちを選ぶ。逮捕される寸前にジェスの心を捉えたウィゲンズ嬢との恋も絡み、裁判は予断を許さぬ展開を見せる。
この作品は1950年のもの。時代からして、E・S・ガードナーのペリー・メイスンを意識したはずだ。ともかく、読んでしまう。国書刊行会の刊行する推理小説の古典シリーズのうち、一二を争う面白さと言ってもいい。法廷推理と簡単に書いたけれど、もっと奥が深く、倒叙ものと言ったほうが合っている。
ちなみに現在、ミルホーンシリーズで人気の作家スー・グラフトンはC・W・グラフトンの実の娘だそうだ。教えられて初めて姓が同じことに気付く。あの画家の時と同じだ。流れる血に気付かない、やはり私は吸血鬼になれないんだ。チッ!
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