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紙の本
変化のない日常をつらつらと綴られているのが心地よい
2001/05/17 23:30
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:nory - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者が住んでいる佐世保市というところは、港と米軍基地のある小さな街である。私も訪れたことがあるけれど、本当にささやかで穏やかなところだ。この街で著者は、なにか劇的なことが起きるわけでもなく、かといって真摯に自分の内面と対峙しているというわけでもなく、淡々と小説を書きながら暮らしている。そんな変化のない日常をつらつらと綴られているのが、なんとも心地よい。
作家の生活はなにやら特別な出会いや、派手な事件でいっぱいのような感じがするが、佐藤正午氏に限っては、もしかしたら私たちよりも地味なんじゃないかというくらいの毎日を送っている。
しかし、みずから天職という小説家の仕事をする上で必要なものはすべて揃っているようだ。港が見える部屋、朝の一杯のコーヒー、ワープロ、辞書、お酒が飲める店、幾人かの友人。そして、何気ない会話や風景から小説のアイデアを生み出すことのできる感性。
すべてが東京中心に回っている現代で、こういうスタンスで創作活動を続けている人がいるというのは、地方に住む者にとってはとても心強いものである。といっても、著者はなにかこころざしがあってこの街に住んでいるというわけではなく、たまたま実家があって居着いているというだけに過ぎないのだけれど。同じ佐世保市出身の村上龍氏とは正反対のタイプで、それがまたおもしろいところだ。
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