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紙の本
光秀謀叛の真相に迫る!
2007/12/04 00:15
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:MtVictory - この投稿者のレビュー一覧を見る
この手の本で、これまでに読んだ中で一番、腑に落ちて、納得性の高い良書。
冒頭に書いているように「(従来の謀叛の真相の諸説にある)あらかじめ都合のよい史料だけで予定調和的に仮説を構成する傾向を排して、同時代の一次史料に基づいて客観的に検証し確定」したと、本書にかける著者の意気込みが伝わってくる。
第四章では「光秀のように優れた政治能力や軍事統率力によって、織田権力のなかに有力な地位と基盤を築いてきた大名が自分の感情だけを行動基準にするのはまずありえない」と断言する。謀叛の真相を個人の感情や性格のみで分析するのは限界があるのだ。それだけで推測するのは幼稚だとも言える。そこで著者は謀叛の背景に政治的要因や政治的背景を想定し、重視している。光秀と信長の間で、または他の同僚との間で何らかの利害対立や確執・抗争があった、としている。
第五章には四国政策の転換により、光秀だけが割を食う結果となったが、信長は光秀の不満と危機感を軽視した。それが変の油断となった、と結論付けている。光秀は政策転換の再考を信長に迫ったが撥ね付けられたのでは?と著者は推理する。家康の接待役を突如、免じられたのも彼に対する懲罰、そして中国出陣の命令も四国への関与からの排除のため、との推理は冴え渡っている(目から鱗とはこのこと)。
かなり意外だったのは、「最後に」でまとめられているように、謀叛の背景に三男・信孝の存在が大きいことを指摘している点である。私はこれまで信孝の存在を重要視していなかったから、なお更である。そして光秀は将来の展望を見出せなくなり、地位の低下も避けられぬと判断し、謀叛に飛躍あるいは、短絡した。
もし光秀が秀吉の中国攻めが時間の問題で確実な情勢だと知っていたとしたら(予想できたと思う)、四国が駄目でも、著者が最後に書いているように、次は「九州で軍功を挙げて失地回復を図る方途もあったのに」と私も感じた。「惟任日向守」と九州を意識した名前も持っていたはずなのに(自覚が足りん!)。最早、その心境になれる状態ではなかったのかも知れない(今風に言えばキレた?)。これが秀吉だったら開き直って、「一から出直しだ」くらいなことは言っただろう。そこが二人の違いなのかも知れない。
巻末に参考文献として列挙した史料、辞典・事典も数多く、著者の研究への力の入れようが分かるし、本書の精度の高さも感じられた。
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