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紙の本
第1級のエンターテインメント
2001/04/01 00:20
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投稿者:喜多哲士 - この投稿者のレビュー一覧を見る
北原尚彦といえばシャーロックホームズ。ホームズといえばビクトリア女王治世下のロンドン。その作者がロンドンを舞台にするときたらもう水を得た魚である。
ロンドンの名物といえば、霧。その霧が緋色に染まる時、帝都が怪異に襲われる。凶暴化する動植物たち。無生物は生命を得、平穏な家庭が血塗られる。日本から留学していた画学生牧野義雄は親友のジェニングスとともにその正体を突き止めようとする。そこへ現れたのが奇妙な日本人南方熊楠。さらに秘密の鍵を握る女性シルヴィアも加わり、大英博物館を出発点に禁じられた呪法の謎解きが始まる。
特筆すべきはロンドンの存在感である。作者は、豊富な知識を土台に19世紀末の帝都を再現してみせた。そして、執拗なまでに描かれる怪異。次々とアイデアを繰り出し、読者の目をひきつけていく。ファンタジー色の濃いホラーではあるが、根幹にある整合性はやはりSFのセンスから来るものだろう。
アイデア、人物像、展開、構成、そして全体を貫くトーンと、どれをとっても第1級のエンターテインメントとして楽しめる1冊である。
(喜多哲士/書評家・教員・童話作家
http://www4.justnet.ne.jp/~tetsuji-kita/)
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