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モーツァルト最後の年 みんなのレビュー
- H.C.ロビンズ・ランドン (著), 海老沢 敏 (訳)
- 税込価格:3,630円(33pt)
- 出版社:中央公論新社
- 発行年月:2001.2
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紙の本
最晩年のモーツアルトは何をしていたのか?最後の日は?克明な資料にもとづく「アマデウス」の真実。
2001/03/19 15:15
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投稿者:廻由美子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
1980年代にやってきたピーター・シェーファーの「アマデウス」、とりわけ映画は大成功を博し、ヴォルフガング・アマデウス・モーツアルトは一躍時代の寵児となり、それまでのクラシック界のチャンピオン、ベートーヴェンを倒し、モーツアルトの笑い声は世界中の人々の耳に焼き付いた。
映画「アマデウス」の功績は大きい。それまでクラシックなど聴かなかった人達、ロックにしか興味のなかった若者達がモーツアルトをファースト・ネームで呼ぶようになり、彼と彼の音楽を愛するようになったのだ。
しかし同時に「アマデウス」の功罪も決して少なくはなかった。あの映画とモーツアルトの人生とはほとんど何の関係もない。1985年、すなわち「アマデウス」が封切られた直後に、この本の著者であるランドンは、ロンドンの「ザ・サンデー・タイムス」に長文の「アマデウス」評を載せた。映像という圧倒的な手段で世界中の観客の脳裏に「アマデウス像」をインプットし、本物のモーツアルトを吹き飛ばしかねなかったその頃の状況にメスを入れようとしたのだろう。そしてその数年後、ランドンは歴史家としての威信をかけて反撃を開始する。その第一弾が本書の刊行であった。
映画「アマデウス」によって新たにモーツアルトの賛美者がふえたことは、別に悪いことではない。むしろクラシック界にとっては歓迎すべきことであろう。その人々を含めたモーツアルトの友に、映画とはちがった天才作曲家の晩年の真実を伝えること、同時代に書かれた真正な記録にもとづく報告をすること、それがランドンの意図であったと思われる。
もちろん「アマデウス」のように、お金と才能をふんだんにかけたエンターテイメント作品は、この資料をひも解くような本を読むよりもはるかに心地よいだろう。しかし、真実に限りなく近いモーツアルトの姿は、小説的な作り話よりもはるかに小説的であり、映画のアマデウスよりももっとアマデウス的であるのだ。 (bk1ブックナビゲーター:廻 由美子/ピアニスト 2001.03.19)
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