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スターガール みんなのレビュー
- ジェリー・スピネッリ (作), 千葉 茂樹 (訳)
- 税込価格:1,650円(15pt)
- 出版社:理論社
- 発行年月:2001.4
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紙の本
このシンプルな、それこそ子供が描いたようなカバー画のイメージそのままの暖かい世界が、ある日、突然崩れていく。あなたは、どちらに立ちますか、少女の方?それとも町の人?
2003/11/20 20:36
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ハリー・ポッターが引き金になったファンタジー・ブーム。同工異曲、個性の無い作品の洪水で、流石の私も娘たちも「そろそろ潮時かな」などと思い始めている今日この頃。とはいえ、『アバラット』『アースシーの風』みたいな巨匠の作品が混じっていたり、『ブレイブ・ストーリー』『パラソル』のような日本人の新鋭作家の傑作があったりと、目を離すことができない。それから、出版社の売らんかなの派手な宣伝に目を向けていると、その中に小粒だけれど、いいお話や、本当のベストセラーに相応しい内容のものがある。
この本、装丁は爽やか、手にしても軽い本だけれど、中味が予想以上に重い。読んでいくうちに楽しさが苦味に変わっていく、それが人生を感じさせるあたりは、本物。
ハイスクールに転校してきた少女は、自分のことをスター・ガールと紹介した。そんな少女は、町の全住民の誕生日をどこからか聞きつけては、一人一人にお祝いをする不思議な子だった。彼女は、いつでも天真爛漫に自分の心のままに行動する、それがとっても似合う自然児だった。
その少女に惹かれながら、気持ちを正直に伝えられない少年レオの心の矛盾。そうしたレオの気持ちを知ってか知らずか、楽しげに歌い踊る少女は、その天真爛漫な行動で次第に学校の人気者になっていく。そしてフットボールの試合での行動で人々の心を掴み、チアガールとなった彼女は相手チームまで応援してしまう。このあたりは、舞城王太郎『阿修羅ガール』でアイコの心を惹きつけた金田陽治を思わせる。
しかし、スポーツとはいえ相手を応援するような少女の優しさは、学校だけでなく、あれほど少女に優しかった町の住民たちにも受け入れられなくなっていく。それを見るレオの心の葛藤がテーマと言っていい。そんな町の人々の行動を尻目に、考古学者のアーチーは、いつまでも変わらず自分であり続ける少女を優しく見守る。
本当の優しさとは、勇気とは何か。理不尽としか思えないイジメ。愛校心を振りかざし、人を踏絵に乗せて裁こうとする人々。そう、戦争中で日本や海外で見られた、そして今でも見受けられる、善人面の陰に潜む悪意。アメリカで2000年に一番好きだった本に選ばれた作品だというのが分かる気がする。
子どもから大人まで幅広く読むことが出来る本だけれど、これをハリー・ポッターと絡めた宣伝文句で売るのは、失敗だろう。その内容は比較にならないくらい重い。そして、この本でも、主人公のレオは、またまた優柔不断、問題先送り、事なかれ主義、現実逃避型の少年である。このレオの姿こそが、この作品を凡百のファンタジーと分ける、といってもいい。
辰巳渚『捨てる技術』ではないけれど、何を捨てるか、何を大切にするかでその人が見えて来る。見えてしまうのが怖いから何もしない、そんな私たちを人はしっかりと見ている。レオが捨てたもの、スター・ガールが捨てなかったもの、あなたは何を捨て、なにを残します? ちなみに、夫と長女、次女はアーチーに高い点を入れた。私は、うーむ、やっぱり絞れない。
紙の本
今時胸にキュンと来るのに安っぽくないのです。
2002/04/27 17:19
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yama-a - この投稿者のレビュー一覧を見る
これは捨てたもんじゃない。
安物の少年少女向け小説のように見えるけれど却々結構イケる。
薬臭い「文部省推薦」の雰囲気もない。
「今年一番泣ける本」なんてとんでもない謳い文句のついているオグ・マンディーノ(帯を見ただけで手にとる気にもならない)の系列でもない。
スターガールという変な名前の奇妙奇天烈な転校生と主人公レオの淡い恋物語である。確かにややチープな感じのするお伽話ではあるけれど、結構キュンと来る。
何よりも、「徹底した個人主義の国」であると思っていたアメリカの若者でさえ、ついつい日和見主義になってしまって、こんなに悩んだりするのかと思うと、意外でもあり勇気づけられもする。いやあ、どこの国でも青春には悩みがいっぱいだ。
そう、基本的に青春小説のジャンルに収まってしまう作品なので、「青春がどうしたとかいう青臭い本は嫌いだ」という人には向かないかもしれない。でも、本当はそんな人にこそ読んでほしい。
ホントに、読んで損はないって。テリー・ケイの「白い犬とワルツを」みたいな、読んでげっそりする系統の本では決してないから。安心してスラスラ読めて、不思議に心に残る作品ですよ、これは。
紙の本
不思議な女の子
2016/02/29 21:08
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぽんぽん - この投稿者のレビュー一覧を見る
転校生の不思議な女の子スターガール。彼女に惹かれつつも周囲から浮くことを気にする少年レオ。彼の気持ちはわからないでもないですね。
紙の本
スターガールの無償の愛
2002/02/09 15:42
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:楓 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ハイスクールの転校生・スターガール・キャラウェイは不思議な女の子。白いドレスを着てウクレレを弾き、ランチタイムには誕生日の子の前で歌う。変人扱いされていた彼女だったが、いつのまにか学校中の人気者になっていた。
…しかし、ストーリーよりも、惹かれるのはスターガールの人間性や、その生き方だと思う。彼女は見返りを求めることなく、分け隔てなく町中のひとに愛をふりまく。まさに「無償の愛」。すべての人の喜びや悲しみを自分のことのように感じる彼女。それは、集団生活のなかではなかなか実践できない、人間の本来あるべき姿なのだと言う気がする。