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塩野七生 「海の都の物語」ヴェネツィア共和国の通史
ヴェネツィア の千年の歴史を振り返り、戦争の英雄がいないのに、なぜ千年の長い間を生きのびたのかを紐解いている。
著者は、ヴェネツィアの私企業のような国家経営観に目付けしている。カリスマ的英雄で彩られるローマ史と比較すると、ヴェネツィア史は 地味であるが、その地味さが生きのびた理由であるとする論調
ヴェネツィア の国家経営の特性
*宗教やイデオロギーの違いに重きを置かず「はじめに商売ありき」の商業至上主義
*初めから自給自足を諦め、不足の経営資源は交換する〜自給自足を目的とすると 植民地主義に進む
*国家の意思決定において、マクシミンルール(最悪の結果が最もましなものを選ぶ)を採用する
*共和国政体により国家の組織力を高める
宗教と距離を置き、ローマ教会の圧力を排除しつつ、自国の組織力強化のため、政治のプロ階級を育て、議員の終身制や世襲制に取り組んだ ヴェネツィアの民主主義の取り入れ方は 興味深い