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紙の本

ゼルダについて私が知っている二、三の事柄

2001/06/11 12:17

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:服部滋 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 「たしかに私たちは、グローリアやサリー・キャロルやニコル・ダイヴァー(いずれもフィッツジェラルドの作品中の女性)のことほどゼルダ・フィッツジェラルドについては知らなかった」。だからナンシー・ミルフォードは、ゼルダを求めてディープ・サウスへ1000マイル以上もの旅をして『ゼルダ—愛と狂気の生涯—』(邦訳・新潮社)を書き上げた。

 そしてぼくたちは、フィッツジェラルドの傑作が『ウェスト・エッグのトリマルキオ』でも『高く跳躍する恋人』でもなく、『グレイト・ギャツビー』というタイトルになったのはゼルダのサゼッションによるものだ、ということを知り、20歳でスコットと結婚し、ジャズ・エイジの「フラッパーの女王」と称されて夜ごとどんちゃん騒ぎに明け暮れ、飛行士と恋愛して自殺未遂をし(スコットはスコットでティーンエイジャーの女優と恋に落ち)、やがて精神に失調をきたし、長篇小説『ワルツはわたしと』を書き、病院の失火で48歳で焼死した——ことを知ることになった。

 だけど、ぼくたちはゼルダの何を本当に知っているというのだろう。

 このゼルダの作品集(長短編、戯曲、エッセイ、スコットへの手紙、それに絵画が口絵としてカラーで収められている)の序文で、作家のメアリー・ゴードンはこう書いている。「わたしたちはいったいどうして、スコット・フィッツジェラルドについ肩入れし、ゼルダ・フィッツジェラルドには作家という安定した地位を与えようとしないのか?」
 あなたがゼルダに関心を抱くのは、スコットの妻だからではないのか? ゴードンはぼくたちにそう問いかける。
 「いったいどうして、かれは本物で、彼女は本物であったわけがない、と思うのか? いったいどうして、彼女の作品を夫の作品から独立したものとして検証するのがひどくむずかしいのか? いったいどうして、おなじ伝記的な素材のつかいかたのちがいを楽しむのではなく、どっちがすぐれているかと考えずにはいられないのか?」
 (この「おなじ伝記的な素材」とは、『ワルツはわたしと』と、スコットの『夜はやさし』のこと。スコットは、自分の書きつつある小説をゼルダが盗んだと激しく非難した。スコットへのゼルダの謝罪の手紙も本書に収録されている。)

 このゴードンの序文はとてもすぐれたものだ。「古典主義者とロマン主義者の美しく整然とした混合」であるスコットの作品に対し、整然としてはいないがゼルダの作品には「飛翔は高くてワイルドで、断片の謎めいた魅力」がある。シュルレアリストの手法を取り入れたゼルダの作品は、スコットよりも「はるかにモダン」で、ジョイスやガートルード・スタインにつらなるものだという。
 (ちなみに村上春樹は『ザ・スコット・フィッツジェラルド・ブック』で、『ワルツはわたしと』について「体のバランスを崩したまま、ほんとうの気持だけでライト前にボールを持っていく野球のバッターを思わせる」と書いている。気迫、ですね)

 だからぼくたちはこの作品集によって、ようやくゼルダ——『バビロン再訪』のヘレンではなく——と出合うことになるのだ、作家ゼルダ・フィッツジェラルドに。(『ワルツはわたしと』は、かつて『こわれる』(晶文社)のタイトルで邦訳刊行されたが、このたび同じ青山南の手で全面的に改訳された。ゼルダへの並々ならぬ思い入れの感じられる気迫の改訳である)。
 「愛しています——いつものあなたを」。あなた あなた あなた あなた あなた‥‥と60回もあなたがつづく手紙にはちょっとあてられてしまったです。 (bk1ブックナビゲーター:服部滋/編集者 2001.06.09)

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2013/06/04 13:39

投稿元:ブクログ

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