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岡本太郎が撮った「日本」 みんなのレビュー
- 岡本 太郎 (撮影), 岡本 敏子 (編), 山下 裕二 (編)
- 税込価格:1,540円(14pt)
- 出版社:毎日新聞社
- 発行年月:2001.4
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紙の本
書きながら、こんなに興奮した本はない。「つきもの」としての岡本太郎に、乗り移られた編者によるシビレ本
2001/06/15 22:18
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投稿者:片岡直子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
編者二人の対話や文章を読みながら、つい、「あなた、本人じゃないくせに」とか、突っ込みを入れたくなる。そんな欲望がふつふつと沸いてくる分、熱中する。
読んでいると、「ああ自分はまだやってないな」という気持ちになってくる。おそらくそれは、岡本太郎さん本人に、別の熱病者の力が加わった本書の仕業なのだろう。
読んでいるうちに、うおぉっと叫びたくなる。あまりにオリジナルだから、全ての人に乗り移る。編者のオカモトタロウ振りに負けず、読者の自分までがタロウになる。
けれど、ここでただ乗り移られてしびれているだけでは、情け無い。自分のなかの、オリジナルを、炸裂させなければ。自分も動き出さねばならないことを知る。
どこへ行っても、本質だけを掴んでくる。斜めのショットが面白い。実は、私も写真を撮る時に、ついやってしまう構図。それから、横だったり縦だったりする、小さなコマ写真。行ったことのあるところばかりだけれど、この40年は、それまでのどの40年よりも、日本を変えてしまった。それを、他のどの写真からよりも、ありありと突きつけられる。
本書を、ぐわっと広げて読んだ。両手でわしわしと掴んで広げて読むのが相応しいと思った。この写真の世界に、裸で飛び込んでゆけたらと思う。
オカモトタロウに入り込まれた編者たちの言葉遣い、筆致にも圧倒される。ここのところ、大きな存在について、書く行為について、考え続けている。手元に、『自分の中に毒を持て』(青春文庫)もあるのだけれど、この、いちいちすごい人について、書くという行為が、どういう意味を持つのか。それを考えている。
写真を見ていても、それから本書の著者による文章を読んでいても、どうしても立ち止まってしまうのが、岡本太郎本人の文章の引用で、それならば、原典にあたれば良いということになるのだけれど、細切れにしながらも、人目にさらすことにより、何度でも、「岡本太郎」を再生し、差し出すことには、なり得るし、それはそれで、効果的なことだ。
伯母に連れられて大阪の万国博覧会に連れていってもらった私にとっては、やはり、岡本太郎といえば、まずは造形の物凄いのをやったひとという印象。そんな頭に飛び込んでくる、夥しい数の迫力ある写真群。そして、際立ってくる言葉群。何より40年前の日本に、日本人の姿に、正確に、あるいは、実際以上に、打ちのめされること、請け合いだ。
残された人の仕事は大変だ。そんなに言わなくても、彼の天才は分かっているよとも、言いたくなる。しゃべれば、正確な太郎像が、歪んでいってしまうので、もう口をつぐんだ方が良いのか、それとも、熱病に浮かされ、しゃべりつづけた方が良いのか。黙った方が良くても、つい、しゃべってしまうのが、岡本太郎愛なのかもしれない。 (bk1ブックナビゲーター:片岡直子/詩人 2001.06.16)
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