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椎名林檎の求め方
2001/06/05 19:51
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投稿者:伊藤竜太 - この投稿者のレビュー一覧を見る
表現するアーチスト自身と、商品化されたアーチストを求める大衆との間の需要と供給の関係は、時としてアーチストに多大な負担を強いる。本書の最終章に記されているように椎名林檎も、自らが志す表現とただマスコミに煽られただけの大衆のギャップの中で、形骸化されたオモチャとして消費されて行く危険と隣り合わせで活動を行なっている。
だが、単に悪いのは大衆ではない。アーチストの音楽性を育てきれないレコード会社や、彼らを取り巻く社会の環境、道徳観の衰退や教育の誤りなど、原因は奥が深い。
本書ではそうした根深い問題を視野に入れつつ、ライヴ実況中継的描写を通じてわかりやすく、椎名林檎というひとりの女性の立場を通して見た音楽界と日本社会の現状を感じさせ、その中で葛藤しながら変化と成長を続けていくひとりのアーチスト「椎名林檎」の姿を、人間的に描いている。ただの流行ものの「商品」としてではなく、ひとりの人間としてアーチストを見守り、アーチストと聴衆が一緒になって育っていくという関係性を日本の聴衆は持つことを許されないのか。そんな想いに悶々としながら本書のページをめくって行くうちに、椎名林檎という人がいとおしくなってくる。
いま「腹の子」とともに新たな人生のステージへと踏み出そうとしている林檎が、母として、負けることなく表現者としての成長を続けて行ってくれればいいと想う。椎名林檎の今後を見守ることが、日本の音楽界の将来を占うことになるかもしれない。
(伊藤竜太・フリーライター)
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