冒険物が好きな子に
2018/09/24 00:29
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投稿者:こねこママ - この投稿者のレビュー一覧を見る
冒険物が好きな娘に購入しました。とても面白かったようで、もっとこういう本を小学校などで紹介してあげたらいいと思いました。
新版では2分冊になりお話がふえて登場したロングセラー。心なぐさめられる小さな奇跡のファンタジーの数々。カーネギー賞&国際アンデルセン賞。
2001/09/17 12:01
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投稿者:中村びわ(JPIC読書アドバイザー) - この投稿者のレビュー一覧を見る
旧少年文庫に収録されていたのは11編だが、新版では本書のほかに『天国を出ていく』が増えて2分冊となり、全部で27編に改められたと後付に断りがついている。
本を読むのが好きだし、読後感想を書くのは楽しいけれど、誰かに本を薦めるのは苦手である。自分が人に薦められたことのある本の当たり外れが激しいせいもあるかと思う。不特定多数向けに何か1冊というのならば、そのうち何分の1かの人が共感してくれるかもしれないから少しだけ安心だ。
小学校中高学年以上のお子さん向けに本を薦めるときには、アバウトで情けないのだけれど「岩波少年文庫を読んでおけばいいんじゃないですか」と言うことにしている。比較的安価だし、中規模の児童書売場がある書店なら置いていることが多い。図書館なら基本図書的な扱いだと思うから…。
少年文庫にもいろいろあるが、物語、ファンタジー系が好きな女の子ならば、この『ムギと王さま』が出てくることになる。大がかりなファンタジーではなく、現代の小さなおとぎ話集といった感じだから好き好きもあろうけれど…。活発でドライなタイプでも、女の子というのは案外この本に響くような「かけら」をどこかに持ち合わせているんじゃないかという願いを持って…。
何がおとぎ話的かというと、どこかの国や村や島が物語の舞台として設定されて、王様や小さな王女様、召使や貧しい少年少女、妖精、小人などが出てくる幻想豊かな内容だからである。
ヴィクトリア朝期に生まれ、正規の学校教育を受けず、芸術的な雰囲気の家庭で育ったという作家が、本に囲まれた部屋の片すみで、時おり午後の光が窓から射す様子を眺めながら、読んだり空想をふくらましていた。いかにも、そこから起ち上がってきた物語なのである。
自分の内に入りながらものを考えるとき、奇跡による救いを信じる気持ちが強くなっていくことはないだろうか。ある程度の年齢に達すれば、いかに敬虔な宗教の信者であろうとも「奇跡」というものは、起こらないから奇跡と呼ばれているのだということを察している。現実に起こるのは、奇跡と修飾されるものでしかないということに何とはなしに気づいている。
それでも奇跡を望む前向きな気持ちこそが事態を好転させていくから、人はときどき「奇跡のような話」がほしくなるのだと思っている。
村の畑のムギの穂と、どちらが長く金色に光りつづけることができるかを競ったエジプトの王の話が表題作「ムギと王さま」である。
昔すべての魚が海にすんでいたころ、何不足なく暮らしていた金魚が、世界のふしぎを見たいがために金魚鉢にすむようになったいきさつを描いた「金魚」、貧しい島を来訪してくれた女王を歓迎するあまり、島でたったひとつの美しいものである白いバラの木を使って水たまりをふさいだ少女が見た「貧しい島の奇跡」、若い王様が北と南と東への嫁取りのハードな旅の末、求め探していた妻を見つける「西ノ森」などが私は好きだ。
奇跡と言えば、石井桃子さんの訳も正しくそれである。
シンプルな物語にも深いメッセージが
2023/01/01 20:08
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
相反するふたりがお互いを受け入れ理解を深めていく、「巨人と小人」が秀作です。著者の代表長編でもある「町かどのジム」の、老人と少年の友情を思い出してしました。
大人が読んでも楽しめる
2016/03/10 18:55
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投稿者:もるたん♪ - この投稿者のレビュー一覧を見る
BSで石井桃子さんの特集をしていたので、手に取った。権力の横暴を感じる昨今だからこそ、表題作が響いた。14の小品のうち。特に印象的だったのは「おくさまの部屋」3.11を頭に浮かべずにはいられない「貧しい島の奇跡」作者の前書きも、自分と本との甘い子ども時代を連想させ、甘酸っぱい気分になった。わが子にも、どうか素敵な本との出会いがあってほしい。
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2年生の娘には味わい深すぎるのかまだわからない話が多い。私が愛してやまない『小さな仕立て屋さん』を読んでやったらやっと目をきらきらさせて聴いていた。1年前には途中で飽きちゃったのにね。『小さい仕立て屋さん』はどんでん返し、のまたどんでん返し、が素敵。貧しい少女が王妃さま・・・にはならない素敵さが大人になってようやくわかった。娘もきっと、ひとつひとつこの本の素敵さを見つけてくれると思う。
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「わたくしが子どものころ住んでいた家には、わたくしたちが『本の小部屋』とよんでいた部屋がありました。…」こう始まるこの前書きの挿絵は、独特で繊細な味わいのあるペン画のエドワード・アーディゾーニによるもの。壁一面の本棚から溢れた本がうず高く周囲に積みあがられた中で、一心に本に読みふける小さな女の子の姿。可憐で美しいファージョンの短編集の世界は、小さくともきらめく宝のようです。
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新しいおとぎ話という印象をもった。
繰り返しの技法など、昔話が持つ特徴をいかしつつも、型にはまりきってはいないように思う。
また、登場人物たちの感情も書かれているところが多々あり、昔話よりも個性があり生き生きとしている。
いくつもの異なった話が一冊の中に入っているので、いろんな雰囲気を楽しむことができた。
<小学校上級から中学校向き>
*****
リストに入っていたのは、文庫の方ではないのですが……!
よくよく考えるとどれも深い話ばかりでした。でも、あっさりと読んだ方が楽しめる気がします。
「小さな仕立て屋さん」が特にかわいかったです。ただ単に結婚してハッピーエンドではなくて、その過程できちんと恋をしてるなーという。おとぎ話チックな話しながらも、さみしさとかがにじみ出てて好きでした。人間っぽいのです。
でも印象的だったのは「七ばんめの王女」と「名のない花」
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この本、一つ一つの物語もキラキラしていてとっても素敵なんだけど、それよりなにより惹かれてしまうのは挿絵です。 どれ1つをとってもため息ものなんですよね~。 モノクロ(表紙は彩色されているけれど、それでも色数をぐっとおさえてある)なのに、色が浮かび上がり、静止画なのに空気や風が香り立つような感じ・・・・・とでもいいましょうか。
そしてそれにさらに輪をかけて素晴らしいのが石井桃子さんの美しい日本語です。 これにはもちろん著者であるファージョン自身の持っている品格・・・・のようなものも大いに寄与しているとは思うのですが、それを石井さんの甘すぎず、かと言って淡々とはしすぎない絶妙なバランス感覚で選び抜かれた日本語がさらに素敵なものにしてくれている・・・・・そんな素敵な短編集だと思います。
(全文はブログにて)
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おとぎ話の日常
児童文学にはあまり縁が無いが、良い児童文学は説教くささを隠した美しい物語のことだろうと勝手に思っていた。でも、その抽象的な「児童文学」が実際のものになったときどのような物語になるのか考えたことはなかった。実際どんなものであっただろう? エリナー・ファージョンの物語は、確かに王さまや王女さまがでて来て、木こりや言葉をしゃべる鳥達のいる世界を描いていて、おとぎ話の枠に入っている。しかしその物語自体は、村外れの忘れられた納屋にある秘密基地のように、楽しい場所である一方で何か見えないものが隠れているような不安感を与える。物語は密やかで無邪気なきれいさを持っているのだが、それは目をそらした隙にどこかに消えてしまいそうな気がするのだ。おとぎ話の日常、と言えばいいだろうか。不思議な世界の一日を切り取ったかのような短編なのだ。
あるいは、私のような大人にとっては、おとぎ話は昔の思い出を想起させるトリガーであり、この感覚はその思い出自体の儚さのせいなのかもしれない。懐かしい祖母のテーブルにのった紙風船や、父と馬に揺られて歩いた不思議な山道は、もはや何処とも知れない。つまり、子ども達のものは子ども達のところにあるべきであって、大人が紐解くものでは無いということだろう。
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エリナー・ファージョンのムギと王さまを途中まで読みました。mixiで面白いと紹介している日記があったので注文して買って読んでみましたが、二つ目の短編を読んでいる途中で飽きてしまいました。ストーリーがいい加減で、子ども向けとは言え、全く面白くありませんでした。日記で紹介されていたのが、7番目の王女の話だったので、これだけはあとで拾い読みしてみましたが、何を言いたいのかわからない物語で、子供にこんなしょうもない内容を読ませるから本に興味を持たなくなるのではないか、と思ってしまいました。
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本が大好きな著者の童話は、喧騒の都会とおとぎの瞬間が地続きで融け合って不思議なキラキラした読み心地です。表題作が好きです。レモン色の仔犬が可愛い!伝統的なお姫様の童話に意表をつくラスト。結構煙に巻かれたような。
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(もくじ)
作者まえがき
ムギと王さま
月がほしいと王女さまが泣いた
ヤング・ケート
名のない花
金魚
レモン色の子犬
貧しい島の奇跡
モモの木をたすけた女の子
西ノ森
手まわしオルガン
巨人と小人
小さな仕立屋さん
おくさまの部屋
七ばんめの王女
さし絵 エドワード・アーディゾーニ
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挿絵も何もかもたまらんです。
特に好きなお話は「ムギと王さま」「 月がほしいと王女さまが泣いた」「 金魚」「 西ノ森」「 七ばんめの王女」…って全部ええなあ。
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岩波少年文庫2071~ムギと王様,次がほしいと王女様が泣いた,ヤング・ケート,金魚,レモン色の子犬,モモの木をたすけた女の子,小さな仕立屋さん,天国を出ていく,ティム一家,十円ぶん,《ねんねこはおどる》~ 一番わからないのが最初の「ムギと王様」,次が2番目に出てくる「月がほしいと王女様が泣いた」,最後の短編に《》が付いているのかもよくわからないし「こ」が小さい理由も分からない。表紙の絵の説明も原本である"The Little Bookroom"にしないと理解できないぞ。自選短編集でカーネギー賞と第1回クリスチャン・アンデルセン賞をとったものらしいけど,良さが理解できません。何しろ,その頃生まれた赤ん坊がおじいさんになるくらいの年月を経ていますのでね。おっと,作者まえがきを読むのを忘れていたから,理解に苦しんだのかも知れないね
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色んなタイプの話があったけど、どれも良かった。
どの話も登場人物たちのやりとりが面白い。
『ヤング・ケート』『レモン色の犬』『貧しい島の奇跡』『モモの木をたすけた女の子』『西ノ森』『小さな仕立て屋さん』が特に好き。