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紙の本
笑いと静寂no
2005/06/30 23:23
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る
狐と狸と人間の大戦争、それはちょっと言い過ぎか。過疎の進む山村である大青山、ここには古来から棲みついた狐がおったのだ。この村がどーんと一発当てたろうと作ったテーマパークをお助け申さんと、大古狐が一念発起で勇躍するかと思いきや、威勢ばかりでどんどん縦穴を深く掘って行く。破局的と呼んでもいいぐらいの深刻極まりない事態へと突入して行くのだが、一族の純真さからか、とぼけてほんわかとした展開のコメディになぜかなってしまうのだ。
狐の手の者に猫又というのがいる。猫だ。かつて古狐の娘のコンちゃんの婿にと思われたほどの有望な猫又がいたのだが、人間に生き変わって戻ってくる。
狐の失態に、狸やムジナがチャンスとばかりに騒動をたくらむ。地獄の鬼どもが(元)猫又を引き戻しに追って来る。関八州のお稲荷連合は苦い思い。
もうしっちゃかめっちゃかに、いろんな災難が同時多発に起きているのだが、もちろん一個の人間、あるいは狐、あるいは猫又が対処できる現実は一度に一面だけ、シーケンシャル処理しかできない。よって時間もゆったりと流れる。
いいではないか。古いものも、強いものも、いつかは滅びるのだ。
それぞれが、その時々にベストを尽くして、悔いが無ければいいのだ。
悔いが残っても、恨みが残っても、滅びれば安らぎだけが待っている。
人間(または狐、または猫又)とは、いったいどのぐらい孤独なものなのだろうか。愛する者の記憶があれば生きて(または死んで)いけるものなのだろうか。
笑いの中に寂寥感の漂う、不思議な不思議な活劇。
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