- 現在お取り扱いが
できません - ほしい本に追加する
相対論の正しい間違え方 正 みんなのレビュー
- 松田 卓也 (著), 木下 篤哉 (著), パリティ編集委員会 (編)
- 税込価格:1,980円(18pt)
- 出版社:丸善
- 発行年月:2001.6
- 発送可能日:購入できません
専門書
- 予約購入について
-
- 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
- ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
- ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
- 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。
4 件中 1 件~ 4 件を表示 |
紙の本
いわば「相対論FAQ集」
2001/07/06 15:53
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:田口善弘 - この投稿者のレビュー一覧を見る
物理学が科学の王座を滑べり落ちてから久しい。そんな昨今に「物理の雑誌」を堂々と名のってしまう「パリティ」にはいつも感心してしまうのだが、さすがに物理が斜陽産業であることは正しく認識しているようで、パリティの連載から誕生する「パリティ ブックス」のタイトルの付け方もなかなか斜に構えたものが少なくない。「いまさら○○○?」と銘打って○○○に物理のある学問分野を入れて刊行される「いまさら」シリーズ、あきらかに「いまさら」シリーズのもじりである「いまこそ相対性理論」などなど、書名だけでも楽しめる(勿論、内容もなかなかすばらしいできばえの物が多いのはいうまでもない)。
さて、本書の題名もなかなか洒落ていて「正しい間違え方」と来た。勿論、間違え方に正しいものだとあるわけもなく、意図するところは「由緒正しい間違え方」と言うような意味である。著者の一人である松田卓也はメディア露出度も高く、きっと「相対論の間違いを見付けたので話を聞いてください」とかいう問い合わせも多かったのだろう。きっとそんな経験からこのいわば「相対論FAQ集」としてのこの本が編まれたであろうことは想像に難くない(実際、あとがきではとあるパソコン通信フォーラムでのこの手のやりとりの体験がちょっと触れられている)。
本書で扱われているのは主に特殊相対論である。特殊相対論は一般相対論に比べると数学的には平易な学問だが、これを完全に理解するのは難しく、教科書にさえ往々にして間違いがあるような分野だ。また、EPRパラドックスの例からも解るように量子力学とあわせて考えた場合にはいろいろ自明でないことが起きて来る。そういう意味からすると特殊相対論といってもなかなかあなどれない。
さすがに本書ではこれだけの命名をするだけのことはあり、有名な双子のパラドックスだけでも5通りもの解題を収録している。すくなくともこれだけは説明の仕方があるということだ。僕自身、大学に入ってすぐの特殊相対論の講義の後で教授に双子のパラドックスについて質問にいって「一般相対論を使わないと説明できない」とけんもほろほろに追い返された経験があるが、勿論、そんなのは嘘っ八である。くだんの教授は物理学会長を務めていたような御仁だから彼が本当の答えを知らなかったわけはないから、きっとていよく追い返されたのだろう。この本が当時あればそんな思いもしなかったのにと口惜しい。
本書を読むには、高校程度の数学をきちんと理解していることが必須だろう。簡単な本でいいから、まず、特殊相対論のちゃんとした教科書で勉強してから本書を読むと完璧だろう。あとがきに書かれているが、特殊相対論は間違っているという説はプロの物理学者の一部にもあり、決して荒唐無稽な話ではない。が、ほとんどの「間違っている」説はこの本で書かれている程度のことを理解していないために起きているのである。ぜひ、興味ある方々に読んで欲しい。
(田口善弘/中央大学 理工学部 物理学科 助教授 http://www.granular.com/tag/index-j.html)
<目次>
1 歴史編/2 同時の相対性編−ニュートンの時間とアインシュタインの時間−/3 光速度不変編/4 速度の合成編/5 エーテル編/6 加速度運動編/7 ローレンツ収縮編/8 一般相対論編/9 質量増加編/10 幾何光学編/11 双子のパラドックス編/12 科学的方法論編
4 件中 1 件~ 4 件を表示 |