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紙の本

昔は昔、今は今

2001/11/28 15:59

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:小田中直樹 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 柳田国男の民俗学っていわれても、『遠野物語』も読んでないし、民俗学と民族学の違いもわからない僕には、ちょっと遠い存在だ。しかも、物心ついたときには高度成長期も終わってたから、日本の民俗とは縁遠い気分だったし。でも、仕事で外国に行ったりすると、ふっと「やっぱり日本人だなあ」って感じるときがある。自分ではわからないけど、どこかで日本の民俗を引きずってるんだろう。そんなことを考えながら、自らも民俗学者である谷川さんが柳田を論じたこの本を読んだ。ここで谷川さんは、おもに柳田の著書『海上の道』を取り上げながら、柳田の研究を解説し、その背後にあった彼の問題意識を浮き彫りにし、それが現代を生きる日本人にとってどんな意味を持つかを論じた。
 この本のメリットは次の二点にある。第一、柳田の研究の全容を明らかにしようと試みたこと。柳田は、普通の日本人である「常民」の日常生活に共感し、日本中の山や海を駆けめぐり、方言(民俗語)や民間伝承や古書を収集しては分析し、総合的な「日本人の学」を意味する「新しい国学」(二〇三、二三二ページ)を作り上げようとした。そんな巨人の業績を丸ごと捉えるのは、とても大変なことだろう。谷川さんは、日本人は遠い昔と死後の世界をともに他界と捉え、民族渡来の問題と死後の世界の探求とを重ね合わせて考えてきたこと、そして柳田もこの「二重の他界観」(一七六ページ)を重視したこと、この二点に着目し、他界観を切り口にすれば、時間や空間や領域を超えた柳田の研究の全体像に接近できるはずだと主張し、実践する。山人の運命、家船の機能、沖縄の独自性、種籾の意味、そういった一見ばらばらにみえるテーマがこのキーワードによって結び付けられ、柳田の研究の輪郭が姿を現しはじめる。
 第二、柳田の問題意識を簡潔にまとまったかたちで指し示したこと。柳田は、常民の民俗慣行を分析すれば日本人の総体験がわかり、総体験がわかれば日本人の意識の底がわかり、意識の底がわかれば日本人の思想を自立させる手がかりが得られる、と考えた。谷川さんによれば、柳田は「常民の過去……から近代の意味を問い直そうとした」(二二六ページ)のだ。神は細部に宿りたまうって言葉があるけど、普通の日本人の日常生活習慣を分析することによって、近代っていう時間的にも空間的にも領域的にも巨大な対象を再検討するというのは、なんと壮大なスケールだったことか。
 そのことはわかった上で、しかも民俗学にも柳田にも素人だけど、僕はこの本にいくつか疑問を感じた。二点に分けて説明しておこう。第一、この本で紹介された民俗学の方法は、魅力的だけどきわどい感じがする。たとえば、今の民俗慣行を分析すれば昔のことがわかるって考えてるようだけど、歴史的な変化は考えなくていいんだろうか。日本の古代社会を知る手がかりを沖縄に求めてるようだけど、時代錯誤の危険はないんだろうか。いにしえの昔から「日本」があったことを前提にしてるようだけど、九州と北海道を簡単に比べていいんだろうか。「細部」を「壮大なスケール」に結びつけるためには、力技も必要だけど、それだけじゃ足りないと僕は思う。
 第二、谷川さんは、柳田や民俗学が明らかにした「共同生活を前提として成り立っている社会が昔は存在していた、という事実は、現代の孤立した個人の集合にすぎぬ社会の袋小路を脱出するのに、なにがしかの手がかりを与えるのではなかろうか」(二二一ページ)っていうけど、僕はそうは思わない。個人が孤立してる現代、共同生活があった過去、このイメージは、どちらもあまりにも貧弱だ。今だって色々な人間関係があるし、昔だって孤独な人はいたに違いない。むしろ昔は昔、今は今なのだ。[小田中直樹]

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紙の本

自らの思想を新鮮にコンパクトな形で表現

2001/08/30 19:24

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:水原紫苑 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 民俗学──私たちの生きているいのちの根の豊かさを見出す学問というように思っていたが、なかなか扉を叩いて中を覗いてみる勇気は出なかった。柳田国男・折口信夫の二人の巨人ののち、現在の民俗学の泰斗といわれる著者谷川健一の鬱然とした世界についてもおそれをもっていた。
 だが、最近の谷川健一は、岩波新書で、自らの思想を新鮮にコンパクトな形で表現する仕事を始めている。『日本の神々』『日本の地名』(正続)いずれも、学問の集大成であると同時に、新しい視点を将来に向けて開いている。
 『柳田国男の民俗学』では、〈常民〉を稲作の民としかとらえきれなかった柳田への批判を率直に述べながら、感官や感情のすべてをもって対象に肉迫しようとした柳田への畏敬も明らかに示している。柳田が戦前の皇国史観などとは別物の、日本人の誇りを求めつづけた思想家だということがわかるのだ。(水原紫苑/歌人 2001.7.10)

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2020/11/02 22:24

投稿元:ブクログ

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