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地球と宇宙の境に生じる美しいみどりのひかりに、あの素晴らしい「よだかの星」を思い出すようなかたでした。
2010/02/09 00:43
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みどりのひかり - この投稿者のレビュー一覧を見る
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毛利さんはスペースシャトルが地球の夜の部分に来た時の様子を語ります。
成層圏の上空30~40Kmあたりには酸素原子、酸素分子、オゾン分子、ナトリウム原子などがあり、これらが昼の間に太陽の光を吸収して、エネルギーの高い状態になっていたのが、夜になって徐々にそのエネルギーを光として放出するため、うっすらと緑色に発光する。
この緑の光を見た時に、毛利さんは宮沢賢治の「よだかの星」を思い出します。
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ひとこえ鳴いて、最後によだかは高く高く夜空をまっすぐのぼっていきます。そして、いつのまにか燐光のような不思議なあかりにつつまれている自分を発見します。
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毛利さんらしいなと思います。というのも昔、毛利さんと、ある有名な物理学者がテレビで対談していました。その有名な物理学者が、音楽家(バイオリンやピアノの演奏者など)のことを、「あの人たちはたいしたことないんだ」と言ったのを、毛利さんはたしなめていました。そのときの記憶があったのでこの本を読みました。
地球と宇宙の境に生じる美しいみどりのひかりに、やはり、あの素晴らしい「よだかの星」を思い出すようなかたでした。
参考
宮澤賢治の「眼にて言ふ」堕落論・日本文化私観_岩波文庫_他二十二篇
他にこの本の中で印象に残ったのは、マランゴニ対流というものでした。宇宙では無重量状態になるので液体をあたためても対流はおきないという説があったのですが、私は起きるだろうと思っていました。そして地上での対流とは別な理由で起きるだろうと考えていました。私は密度の変化によっても対流はおきるだろうと考えていたのですが、マランゴニ対流は温度変化による表面張力の変化によっておこるというものでした。
あと、宇宙に、カオス(混沌)、と、コスモス(秩序だった宇宙)が同時に存在することを、それも フラクタル(大きいところと小さいところが似ている)現象としてあることを、実感して感じたことが書かれていました。このへんも素晴らしいですね。
スペースシャトルでの宇宙飛行士としてのことがたくさん書かれていましたが、私の好みとしては文学や絵画や音楽のことをもっと織り交ぜてくださった方がいっそう嬉しいのですが、ところどころにチラッと見せて下さっただけでも良かったです。
他にも印象的な文章があります。
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そして宇宙から地球や天体を観測する本質は、私たちをはじめとする生命が、どこから来て、どこにいこうとしているのかを探究する仕事でもあると思っています。
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この言葉は科学にとどまらないような気がします。方丈記の「知らず、生れ死ぬる人、いづかたより來りて、いづかたへか去る。」を思い出します。
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