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紙の本
見る世界の日常生活図鑑
2001/10/23 22:16
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:岡埜謙一 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「写真記」シリーズと名付けられた大型企画の1冊。同シリーズはこれまで「野鳥記」「昆虫記」「蛾蝶記」など7、8点発行されている。写真集や図鑑というこれまでの枠にとらわれない斬新な構成で、いずれも、内容、デザインともにすばらしい出来栄えだ。
本書は「見る世界の日常生活図鑑」ともいうべき内容で、まず日常生活を大きく「働く・動く」「学ぶ・遊ぶ」「着る・飾る」「住む・くつろぐ」「食べる・飲む」「町・村の風景」「人間」に分けている。この大テーマをさらに、「道掃く人 掃除をする」「槌打つひびき 鍛冶屋」「カバンの中身 教科書と学用品」「紳士になる 床屋さん」といった、100以上の小テーマに分け、世界のあらゆる国の、それこそありとあらゆる日常生活が登場する。
旅をして何が一番面白いか、何が一番印象に残るかといえば、やはり人々の何気ない日常生活の様子だ。服装、食べ物、住まい、乗り物・・・。どの写真を見ても、その国に住む人たちの日常生活の臭いがプンプン伝わってくるが、後進国、開発途上国と呼ばれる国々の方が、被写体としてはよりすばらしいものがある。先進国は日本が一番いい例だが、アイデンティティがだんだん希薄になっているからだ。顔を隠してしまえばどこの国もよく似ている。
本書には2150点もの写真が掲載されているが、それ以上に驚くのは、そのテーマの数だ。写真家・小松義夫氏は、これだけのテーマを創造し、常に頭に詰め込みながら毎日被写体と相対してきたのかと考えると、写真家の「業(ごう)」に圧倒される思いだ。常にテーマ(志しと言いかえてもいい)を持って撮影するか否かが、真の「写真家」と単なる「カメラマン」との分かれ道になるのだろう。
日常生活を切り取った写真には、人物がまたふんだんに登場している。じつは本書の写真で一番すばらしいと思うのは、これら登場人物の表情である。皆、自然な表情をうまくとらえているし、とくに子供たちの笑顔がいい。小松氏は笑顔を引き出すのがとてもうまい写真家だ。それにしても本書の5,000円という価格は、著者の労力と内容を考えると、お気の毒といいたくなるほど安い。(岡埜謙一/フリー編集者兼動物里親 2001.10.24)
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