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奇跡の子 みんなのレビュー
- ディック・キング=スミス (作), さくま ゆみこ (訳)
- 税込価格:1,650円(15pt)
- 出版社:講談社
- 発行年月:2001.7
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紙の本
限りなく美しいたましいの物語
2002/11/23 20:49
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投稿者:Chiara - この投稿者のレビュー一覧を見る
1920年代半ばのイングランド、羊小屋に捨てられた生まれたばかりの赤んぼうは、子宝に恵まれなかった羊飼いの夫婦に引き取られた。身体的にも知的にも明らかに普通とは違っていたその子を、両親はスパイダーと愛称で呼び、心から愛した。
この子に対する周囲の反応はさまざまだった。不愉快に思う者、無関心な者、そしてやさしい目を向ける者も。だが、スパイダーにとって何よりも幸運だったのは、愛情に満ちあふれた両親に見守られていたことだった。
やがて、スパイダーは動物の鳴き声をみごとにまねて、両親を驚かせる。それだけではなく、スパイダーは動物と心を通い合わせ、動物たちもスパイダーには心から信頼をよせるのだった。そんなスパイダーの存在は、周囲の人々に少しずつ変化をもたらしていく。
この本の表紙を見るだけで、涙があふれてきます。スパイダーの“たましい”の美しさと周囲の人々と動物たちのあたたかさに。
ディック・キング=スミスは農民、教師という経験を糧として、いのちに対するやさしいまなざしを、しっかり保っている作家です。この作品を通して、「障害イコールかわいそう」と思うことの傲慢さを、私たちにしっかり伝えてくれます。
紙の本
じーんと、きます。
2001/08/16 13:34
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投稿者:ヨングルト - この投稿者のレビュー一覧を見る
いつも温かいまなざしで動物たちを見つめ、笑って泣けるストーリーを届けてくれる、ディック・キング=スミス。本作では、そのまなざしは、スパイダーと呼ばれる男の子に向けられています。
生まれてまもなく、農場に捨てられ、羊飼い夫婦に育てられることになったスパイダー。理解力や言葉の発達が遅くて学校にも行けず、村の子供たちにいじめられ、農場でもたいした仕事は出来ないだろうと思われている。
やがて、戦争で農場の働き手が足りなくなると、スパイダーにも仕事が与えられるようになるが、そこでのスパイダーの働きぶりは……。
スパイダーを気遣い、深い愛情を注ぐ羊飼い夫婦、スパイダーのために仕事を考え、あたたかく見守る農場の人々、そして、たくさんの動物たちが、スパイダーをめぐる、農場での出来事を彩っています。
邪心のないスパイダーの、動物たちとの交流、ひたむきに仕事に取り組む姿、目の輝き、短い言葉、そのひとつひとつが、読む者の心の曇りを晴らしてくれるような気がしました。
「訳者あとがき」によると、スパイダーは、作者が実際に知っている少年をモデルとしており、作者自身、この作品には特に思い入れがあるそうです。
読み終わって、「いい本に出会えたなあ」と、思える一冊でした。
紙の本
音楽家・大江光さんのような<イディオ・サヴァン>が幸せに生きた記録を小説にした本。20年間農業に従事したという作家の表現は、どっしりした大地の土の香りが確かにする。
2002/01/07 13:31
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投稿者:中村びわ(JPIC読書アドバイザー) - この投稿者のレビュー一覧を見る
同じ作家の前作『ゴッドハンガーの森』は読書感想文コンクールの課題図書にもなった話題作だったし、金原瑞人さんという良い訳者にも恵まれていたというのに、手に取ったタイミングが悪かったせいか読みさしのままで終わっている。
家のあちこちに本を置いて、一度に10冊近くの本に手をつけながら読むという行儀の悪い読者である私は、その癖を何とか直すべきだと思っているし、そのために読みかけで放ってある本を敗者復活させる機会を丹念に拾っていくべきとも自覚している。
でも、講談社のこのヤングアダルト向けシリーズは『ザ・ギバー』も『穴』も楽しんだから当てにしているし、この本のタイトルと繊細な表紙の装画にも大いに惹かれたのでトライしてみた。予定就寝時刻を少し過ぎたものの90分ぐらいで読み終えることができた。総ルビではないけれど、読みやすい文章なので、小学校高学年ぐらいからの人でも読めると思う。
「自分って何?」とか「個性」について悩む、そのぐらいの年の子どもたちに、この本はきっと小さな勇気や自信を与えてくれるのではないかと感じた。
もう少し年上の人たちを出版側が対象に考えているのは、たぶん大戦間から第二次世界大戦が始まりだしたという時代背景のためかとも思う。
ちょっと話はズレるが、9・11のテロの後、ブレア英首相が、先の大戦で我々の父世代が米国に大変お世話になった。だから、米国と共に我々は戦う——といった主旨の発言をしていて驚いたのだけれど、ここには争いに対する良心的で健康的な思想がひとつ展開されていて、とても興味を惹かれた。その考えは、物語の主人公であるスパイダー少年が中盤で、落下する戦闘機にひどい目に遭うエピソードで顔を見せる。舞台は、スパイダーが農作業の合い間に利用する小さな小屋である。
彼の上長たるパーシー氏の頭をよぎる思いに胸を揺さぶられるのであるが、知的障害を持つスパイダーを常に引き立てながら仕事を与える彼のバイプレイヤーぶりは、このお話でとても印象深いものである。
さて、その知的障害であるが、「イディオ・サヴァン」という美しいフランス語を、私はこの本で初めて知った。嬉しい収穫である。この言葉は、終盤近くなってスパイダーやパーシー氏を雇っている農場主の妻が発するものである。「知的にはおとるけれど、特定の分野ではすぐれた力を見せる人のことを、そういうんですよ」。
羊の世話をするつましい夫婦に育てられた捨て子のスパイダー(幼児期の歩き方からつけられた愛称)は、他の子たちにいじめられたり、村の人たちの中傷に遭いながらも、愛情深い両親と、その仕事仲間たちに見守られて、学校には上がらないが、少しずつ農場の仕事を覚えて生活していくようになる。
そっくりの鳴き声で動物たちをリラックスさせたり、木彫りの動物たちを上手に作り上げることが彼のすぐれた力である。
人間の幸福はその人の内面にあるというようなことを述べたのは、アウシュヴィッツを生き延びた心理学者フランクル博士であったが、他者との相対的な評価では得られない、個人にとっての幸福というものの姿を描いた小説の一つが、この本である。
紙の本
1998年「スマーティーズ賞」受賞作!
2001/08/07 13:36
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投稿者:TABASA - この投稿者のレビュー一覧を見る
1926年3月のある日、イングランドの片田舎の農場に、ひとりの男の子が捨てられていた。生まれて間もないその男の子は、羊飼いのトム夫妻に拾われ、ジョン・ジョセフと名づけられた。
しかし、男の子は、せっかくつけられたジョン・ジョゼフという名で呼ばれることはなく、「スパイダー」という愛称で呼ばれた。
クモ(スパイダー)が這うように、ひどくぶかっこうに動き回るようすから、トム夫妻も、周りの人々も、彼が「ふつうの子」ではないことに気づき始めた・・・。
誰でもみな、その人なりに、喜びや悲しみ、怒りなど、さまざまな感情をもちながら、日々を過ごしています。鳥を追って、動物たちと戯れて、とても幸せな人生を送っているように見える「ふつうの子」ではないスパイダーであっても、それは同じこと。
豊かな感受性がもたらした歓喜と悲哀が心にしみる、感動の一冊。
動物物語を書かせたらNo.1!『ゴッドハンガーの森』の作者、ディック・キング=スミスの新たな境地を見る話題作。
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