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紙の本
2001/08/19朝刊
2001/08/24 22:17
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投稿者:日本経済新聞 - この投稿者のレビュー一覧を見る
族長の家に生まれ、二十七年間の獄中生活を送り、ノーベル平和賞を受賞、アパルトヘイト(人種隔離)体制廃絶後の南アフリカ大統領に就任——ネルソン・マンデラ氏は、今日の世界の政治指導者の中で最も個性的な人物の一人だ。
自伝『自由への長い道』(一九九四年)は世界的なベストセラーになったが、第三者の視点を加えて同氏の行動を各時代の政治状況の中に位置付けた本書も優れた評伝といえる。著者はマンデラ氏とも長年の知己である英国の著名なノンフィクション作家。邦訳では出獄から大統領引退までを取り上げている。
「国家建設にはブルドーザーを使うことも、羽毛のはたきを使うこともある」。感情的な攻撃ではなく理性に訴えることを体得したマンデラ氏は、弱腰との批判を退け、かつての敵との和解を追求して内戦の危機を回避した。一方で氏は「私たちは許すことはできても、忘れることはできない」と語る。著者はそこに、「道義的な優位の確立」を重視する練達した政治指導者の姿を見いだす。
メディアの活用法を悟ったマンデラ氏は柔和な笑顔を絶やさない。だが、「国民の父」になったために「家庭での父」になれなかった個人としての悲哀もあった。出獄後の離婚や再婚といったプライベートな側面も含め、人間像を描く著者の筆にはぬくもりがあり、「断固とした信念」と「本質的な誠実さ」が社会の変革を導くという全体のメッセージも明快だ。濱田徹訳。
(C) 日本経済新聞社 1997-2001
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