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紙の本
とても身近で怖いミステリー
2001/12/28 20:51
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かったん - この投稿者のレビュー一覧を見る
あまりにも身近な、マンションというシチュエーションで展開されるストーリーに、思わずゾクゾクしました。マンション内で繰り広げられる事件と、新しい夫婦のあり方、そしてコミュニティのあり方など、一つのストーリー展開に、あまりにもたくさんのテーマが隠されています。
もう一度、自分、そして夫婦、家族、そしてコミュニティを振り返るにも考えさせられる本です。でも、ミステリーであることをお忘れなく。
紙の本
リストラから「主夫」となった主人公が遭遇するご近所の事件
2002/01/30 22:15
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:直塚和紀 - この投稿者のレビュー一覧を見る
昨今の不況から倒産やリストラが相次ぎ、日本国内は未だかつてない失業率の高さだ。しかも日を追うごとにアップしている。誰しも他人事とは言えない状況だ。職を失ったお父さんたちは職業安定所(その名前通りの機能を果たしているか問題だが)に通ったり、友人知人親族のつてを頼り再就職に躍起になっているのだ。だがそのお父さんもしくは旦那さんの中に再就職先を「家庭」に決めた人は一体何人いるのだろうか。いわゆる「専業主夫」である。
草薙雄大は社内の派閥闘争に巻き込まれて職を失う。会社のために身を粉にして働き続けた結果がこれである。ただ雄大、というよりは草薙家にとって幸運だったのは共働きで子供もなく、しかも妻である鮎美の方が稼ぎがよかったこと。だから明日から一家が路頭に迷うことはない。だが今まで働き続けた会社からの仕打ちと、失業してもさほどウチの経済に影響がないことに気づいた雄大は、ひどく落ち込んでしまう。そして落ち込んだ人間のたどる道として王道の「酒に溺れ、日々パチンコにかまける」生活に浸る。
そんな生活パターンを送っていた一ヶ月と七日目。朝目覚めた雄大は、見るも無惨に腫れ、痣だらけになった顔と体に驚く。どうやら泥酔していたところを集団に襲われたらしいのだ。見かけよりははるかに傷は浅く、大したことはなかったのだが。
この一ヶ月の自分の有様を振り返り反省した雄大は、鮎美の前でもう一度再起を誓う。その時、鮎美の口から思いも寄らぬ言葉がでた。「お願い、家庭に入ってください」。この言葉を聞いたときから雄大の周りでは不可解な出来事が相次いで起こる。
主夫、ゴミの分別、夕食の買い出し、自治会。どう考えてもミステリとは縁遠い、リアルな日常である。しかしこれらの要素が重なっていくうちに事件が起こり、謎は深まる。日頃、ご近所の奥様たちがどんなことをしているのか、どんな思いを持っているのかまるで知らない旦那さんたちには、耳が痛い現実かもしれない。だからこそぜひ世の男性諸氏にこそ読んでもらいたい。身に覚えのある人はちょっと痛いくらいリアルに感じるかもしれないが。 (bk1ブックナビゲーター:直塚和紀/ライター)
紙の本
あなたも、どこかで恨みを買っているかも?
2001/11/30 01:18
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投稿者:山村まひろ - この投稿者のレビュー一覧を見る
草薙雄大は会社での勢力争いに敗れ、失業。幸い妻の鮎美の収入も多く、生活には困らないが、不況の中で新しい仕事も見つからず、呑んだくれたあげくオヤジ狩りにあってしまう。
そんな中、マンションに不審な事件があいつぎ、やがて鮎美が誘拐される。誰にも迷惑をかけず生きてきたはずの2人だったが、思わぬところで恨みを買っていたことが判明し、今までの生き方を問われることに。はたして、犯人は? そして、事件の裏に何が?
お互いの自由を尊重し、必要以上に干渉しあわない新しい形の夫婦像をめざした2人。でもそれって夫婦と言えるのだろうか? 社会の中で、生きて行くことって、本当はどういうことなんだろう? この物語は、さまざまな問いかけを次々にぶつけてくる。
雄大が、部屋の中でくすぶったまま退屈な毎日をすごす、詮索好きでミーハーな専業主婦…という否定的な目でしか考えられなかった「主婦」が事件のキーを握る、異色のサスペンス・ミステリー。
主婦の私にとっては溜飲が下がる想いの一冊でした。
初出「うたたね通信社」
紙の本
内容紹介
2001/10/10 09:03
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:bk1 - この投稿者のレビュー一覧を見る
専業主夫なんて男の仕事じゃないと思っていた。
失業した雄大は共働きの妻に主夫になってくれと頼まれヤケになるが、オヤジ狩り、放火、誘拐と様々な事件で成長する。