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紙の本
実は、この本が出た頃、わたしはパソコンを家に置いていなくて、完全にPC馬鹿だった。だからこの本のタイトルをみてもピンとこなかったのだよ、ホント
2004/08/19 20:42
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投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
《杉並区で建築中の住宅で発見された中年の男の遺体。その三日前、男と援助交際を噂された女子大生が殺されていた。ネット上で告発しあう架空の家族たち》
誘惑光線キラッ、それが私にとっては「文庫、書き下ろし」と言う言葉。それに「宮部みゆき」の名前まで入ったら、もうフェロモンぷんぷんていうか、手を出さないでいることが難しい。おまけに値段が500円くらいで、300頁もあったら、申し訳なくて三つ指ついてお迎え申し上げます。これ実感です。
建設中の住宅で、男が殺されていた。名前は所田良介、46歳、既婚。妻の春恵は43歳、二人の間には16歳になる娘の一美がいる。春恵は結婚以来続く夫の浮気に、反発する気も失せてしまい、ただ日々を暮らすだけ。一美はそういう両親に怒りを覚え、口も利こうとしない。その父親が殺害された。しかも三日前には、良介と交際を噂された女子大生が殺されていた。
そして発見された意外な事実。良介はネット上で家庭を持ち、彼らに自分の家族の名前を付けて呼び合っていた。それが今では、ネット上の家族の間で「お前が殺した」という告発の言葉が飛び交う。現実の世界では、二つの事件の鍵を握る人物として、援助交際をしていた女学生に恋人を奪われた学生Aが浮かび上がる。そして警察の捜査はネット世界に及んでいく。その捜査にあたるのが、以前の『クロスファイア』事件で左遷させられた形の女刑事 石津と、『模倣犯』に登場した武上刑事。
『模倣犯』が出て半年も経たないうちに出版された著者初の文庫書き下ろし作品。そうなんだ、今どき珍しいなあ、やっぱりデビュー当時から売れていた人は違うなあ、と妙なところで感心。で、この作品、『模倣犯』とほぼ同時にアイデアが出て、並行して書いていたのだろうか。宮部は、あとがきで「作品の長さから、文庫の書き下ろしがぴったりだった」と言っているけれど、構成や、問い掛ける現代における家族や犯罪の奥にあるものへの問題意識は、長編に劣るものではない。ただし、主題はともかく、人物の掘り下げという点では、突込み不足の感がある。でも、この頁数なら仕方がないかもしれない。
ついでに書いておくけれど、本のカバーのパウル・クレーの作品が実に美しい。この小説の内容に合っているかどうかはとも角、久しぶりに美しい文庫を見た気がする。むかし、同じ出版社の文庫に、ねむの木学園の子供たちの画をたくさん使ったものがあって、頁をめくるのが楽しくて仕方なかったことを思い出した。小さな文庫には、クレーなどの小品がよく似合う。
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役割を演じる
2020/04/04 20:53
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
「ロールプレイング・ゲーム」を意味するタイトルに、見事に騙されてしまいました。ネット上であれ現実世界であれ、嘘と真実が混じっているのかもしれません。
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現実と虚構の狭間
2004/07/16 18:40
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投稿者:luke - この投稿者のレビュー一覧を見る
宮部みゆき「R・P・G」は初の書き下ろし文庫だそうです。「R・P・G」はご存じのようにロールプレーイングゲームの事です。ネットワーク上で疑似家族を楽しんでいたハンドル「お父さん」が殺されます。現実では「お父さん」は浮気者でして特に若い娘がお気に入りのようで。その一人、若い愛人も殺害されました。さて、犯人は? 動機は?
疑似家族の母親、娘、弟が取り調べを受けますが、その様子をマジックミラーで隣の部屋から実の娘が見ています。果たして3人の内の誰が犯人なのか?…と、なるわけですが、取調室のネット家族側には模倣犯の武上刑事、実の娘側にはクロスファイアの石津ちか子刑事がそれぞれ配置されています。豪華メンバーですね。
ネットワークコミュニケーションのある一面をついています。ネット家族なんて思いつかなかったけれど、有っても不思議じゃないですね。出会いから恋愛、そして結婚までたどり着いてしまうケースも少なくないようですものね。BBSやチャットで展開されるコミュニケーションには現実社会では語れない本音も入っているけど、やはり嘘もある。虚像なのに実像に見え、実像に見えるけど虚像。そんなネット社会を題材にしていますが、テーマは現実社会の事です。ネットで心が通じ合えるのに実社会で通じ合えないのは不幸な事です。豪華メンバーによる「R・P・G」です。読み終えたときに、意外な結末に感動し、何故?武上、石津の両刑事を登場させたか分かる事になります。裁判劇でも見ているよう。
紙の本
インターネットに一度でも繋いだことのあるあなたに。
2002/07/04 01:13
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投稿者:すまいる - この投稿者のレビュー一覧を見る
今をとくめくミステリー作家、宮部みゆきさんの文庫書き下ろし作品。物語はインターネット上の(ここと同じですね)擬似家族のひとりである「お父さん」が何者かに殺害されてしまうことから始まる。やがて、被害者がネット上で擬似家族を持っていた事を警察もつかむ。果たして犯人は擬似家族の誰かなのだろうか? 同時期に起こったもうひとつの殺人事件との関係は?
正直、予想以上に面白く、最後の最後に起こる「大どんでん返し」にも意表をつかれた。インターネットにはまっていればいるほど、よりいっそう楽しめる作品。そして、読書家であればあるほど、思わず「にんまり」としてしまう会話や登場人物。著者ほど本好きの気持ちがわかっている小説家も少ないのではないか? そして、そんな著者の作品を読める読者は幸せ者である。
紙の本
バランスのとれた作品
2002/03/19 13:42
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投稿者:真 - この投稿者のレビュー一覧を見る
宮部さんの作品にしては珍しく、大技のトリックが仕掛けられた作品なんですが、その「トリック」をどう捕らえればいいのか少し戸惑うかもしれない。果たしてこれはトリックに驚かされる本格ミステリーなのか、それとも「家族」を主題にした社会派推理小説なのか? 今より短くすれば、あのトリックが効果的になって、もっと驚けるし、長くすれば、家族の問題をもっと掘り下げられると思う。しかしその中間の長さで、本格ミステリと社会派を両立させているのは見事という他なく、非常にバランスの取れた作品だと思った。
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良質の舞台と同じ、再読の効く小品
2001/11/08 14:48
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投稿者:ERI君 - この投稿者のレビュー一覧を見る
伏線もしっかりしていて、こういった構成がかっちりしている作品は好みだ。よく出来た舞台劇のような作品で、それだけに、ある書評家が有名なミステリ劇のオマージュと指摘していたが、それが納得できる内容だ。でも、残念なことになんの舞台に対するオマージュか、私にはわからないが残念。
ある書評に、読み終わって、ロール・プレーイング・ゲームというタイトルになじまない内容だとあった。でも、ゲームとしてのR.P.G.を思うとそうかもしれないが、よく営業員研修などで、お客さんと営業員に分かれてR.P.G.をやる。そこまで考えると、このタイトルはいろんな意味が含まれていて、とってもうまく出来ていると思う。(宮引恵利)。
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最後までだまされたかった
2001/10/13 16:59
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投稿者:がんりょ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ちょっと悔しい。途中でトリックがわかってしまったのだ。それでも作者のストーリーテリングの力ともしかしたら違っているかなという期待で最後まで楽しめたが。
これ思いつかずに、最後に知らされたら気持ちよかっただろう。もう同様なものには2度とだまされないだろうし。ああ、無垢だったあのころにもどりたい。
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最後まで油断せず読むべし
2001/09/27 19:11
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投稿者:あつぼん - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルはロール・プレイング・ゲームの略で、コンピュータでのチャットを道具立てに使った文庫書き下ろし。社会問題? 世俗? をその都度取り入れてきた著者だが、彼女の手にかかればいわゆる電脳物になるはずもなく、人の心の動きを中心に据えた作品に仕上がった。もっと長くもできたはずだが、短くまとめた分、密度の濃い中編となった。「クロスファイア」の石津刑事と「模倣犯」の武上刑事の取り合わせもしゃれた人選ではあるが、それは読者にとってはおまけ。ストーリーそのもので十分引き込まれる。
一番のポイントは「最後まで読まずしてわかった気になるなかれ」犯人の目星がついただけでは話は終わらないところが普通の推理小説とは違う「宮部氏の推理物」。「やられた」と思ってもらおう。
読後感という点では、私は一言、「不思議」、だった。人間の揺れ動く強い感情が描かれているのに一方では電脳世界の無機質さが散りばめられたアンバランスな感じが引き起こしたのだろうか。
蛇足ながら、清水義範氏による解説も秀逸である。氏はおふざけ専門なのでいいかげんな解説になるのかと思えばどうしてどうして、本書を書くにあたっての著者の意図を聞き出して、しかもネタばれなしにきっちり書いてのけただけでなく、お得意のパスティーシュまでしっかり組み込んでの自己アピールには脱帽するしかない。解説から先に読んでもOKだ。
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初めて読みました
2001/09/21 12:43
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投稿者:ハビ - この投稿者のレビュー一覧を見る
初めて宮部みゆきさんの本を読みました。はまってしまいそうです。話の展開のテンポがとても良いと思いました。「ひょっとしたら…」と読みすすむ、こちらの心理をくすぐりながら結末へ向かっていきます。確かに人気作家の文庫で書き下ろしは印税的にはもったいないかもしれませんが、私のようにフアンになる人が増えればグー!?
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その落ちは読めませんでした。
2001/09/08 06:35
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投稿者:Okawa@風の十二方位 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「一人の会社員が殺害された。食品会社に勤め、妻と娘が一人。そんなごく平凡な生活の裏で、彼はネット上にもう一つの家族を持っていた。次々と明るみになるヴァーチャルとリアルの人間関係。迷宮の様に絡み合ったその糸をほぐすべく、捜査本部の武上と石津はある賭けに出る。その結果あらわれた真のアリアドネーの糸とは…」。
やられた…その落ちは読めなかったぜベイビー!といった感じです。
とにかく、最後の落ちの部分は、爽快感と言っても良いほどのどんでん返しです。まさか、あれがそうして、ああだったとは。最初の1/3で落ちが読めてしまうミステリーに辟易している方。これは買いです。ラストシーンも、「火車」があまりにもそっけなかったのに比べると、十分犯人の心情が表れる余韻に満ちたものになっています。
紙の本
本当に心の内を理解できた者は?
2001/09/04 21:38
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投稿者:藍桐 - この投稿者のレビュー一覧を見る
おそらくこのタイトルから想像される話とこの本の内容とは読んでみると違ったという人が多いのではないだろうか?少なくても私はかなり違っていた。
ロールプレイングゲームというくらいだから主人公や主な登場人物の年齢は十代から二十代前半だろうなどと勝手に想像していたし、ゲームが中心に回るのではないかとも勝手に想像していた。ところが、この話はバリバリのミステリーだ。予想とはかなり違ったが、それでも面白かったのだからやはり宮部みゆきという作家は凄いと再認識した。
物語自体は普通のミステリーとさほど変わりはしない。最後の最後まで演じている方を見せておいてどんでん返しというパターンもそう少なくないだろう。この話を他の話よりもより面白くしているのはそういったストーリーの仕掛けや物語の進め方のテクニックなどではなく、ただ純粋に事件を通して誰が誰を理解し、どう行動したかという一点につきるのではないだろうか?
殺された人物を一番憎んで殺したいと思ったのは誰だったのか?それほどまでに殺された男を憎んでいた犯人を真に理解できたのはたった一人のベテラン刑事だった。しかもその憎しみはあまりにも悲しく、そして憐れな憎しみだった。ただの憎しみはなく、理解できたのが身近な人間ではないというところに宮部みゆき作品の真髄を見た気がした。
これから読むという方は、是非作中の人物達の心の動きに注目して読み進めてもらいたい。