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天空の遺産 みんなのレビュー
- ロイス・マクマスター・ビジョルド (著), 小木曽 絢子 (訳)
- 税込価格:990円(9pt)
- 出版社:東京創元社
- 発行年月:2001.9
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文庫
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紙の本
敵国で陰謀に巻きこまれたマイルズが、美女を守るため、探偵として活躍
2001/09/26 22:15
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ヒラノマドカ - この投稿者のレビュー一覧を見る
敵国セタガンダ帝国皇太后の葬儀のため、従兄のイワンと共に母惑星エータ・セタを訪れたマイルズ。惑星バラヤーの貴族・ヴォルとしての単なる外交訪問だったはずなのに、惑星に到着した途端、謎の老人の襲撃に遭う。マイルズは侵入者が残した奇妙な棒を手掛かりに、上司には内緒で、闖入者の正体を突き止めることを決意する。しかし、その裏ではセタガンダ帝国を揺るがす巨大な陰謀が渦巻いていたのだ。バラヤーの名誉と、自らの身分の安全と、ホート貴族の超美女を守るため、マイルズは探偵役を買って出るが……。
マイルズ主役の長篇としては、5年ぶりの新刊。作品内時系列では『戦士志願』『ヴォル・ゲーム』の2年後にあたる。宇宙はなし、傭兵隊もなし、軍もなし、アクションは控えめの謀略サスペンス風探偵小説である。
今回は、かつてバラヤーと20年にわたる戦争を経験したセタガンダ帝国の、謎に満ちた社会や文化が明かされる。特にセタガンダの発達した遺伝子工学が、既に「文化」である様が面白い。より優れた子孫を残すことは勿論、無性の従僕を作り上げたり、芸術の手段としても普通に活用されている。社会的にも科学的にも後進的で、昔ながらの偏見や道徳観を根強く残すバラヤーとは対照的だ。
そのバラヤー人でありながら、自由なベータ人でもある文化の混血児マイルズの目を通して、社会固有の道徳観の対立を描く時、ビジョルドの筆致は特に冴え渡る。時には辛辣な皮肉も交えながらも、常にユーモアと好奇心に満ちていて、既存の価値観にとらわれないマイルズの案内だからこそ、読者もありのままのセタガンダを楽しめるのだ。
さらに、今回は社交界が舞台とだけあって、美男子イワンがその大モテぶりを遺憾なく発揮。その脇で事件解決のために奔走するマイルズとの漫才も健在だ。振りまわされる上司も、相変わらずお気の毒。
久々の期待を裏切らない1冊。この続きも早く読めますように……。
(bk1ブックナビゲーター:ヒラノマドカ/ざぼん http://www.bea.hi-ho.ne.jp/madoka/ 2001.09.26)
紙の本
興味深いセタガンダの文化
2001/09/27 18:46
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あつぼん - この投稿者のレビュー一覧を見る
宿敵セタガンダの皇太后の葬式に従兄弟イワンとともに派遣されたマイルズ。ところがそこで陰謀にまきこまれ、計らずもバラヤーとセタガンダの双方を救う活劇に乗り込むことになる。
美しく神秘的なセタガンダの遺伝的上位種族の女性も登場し、話に大きく絡んでくる。マイルズの恋愛とも何ともつかない憧れの感情も今までの作品との色合いの違いの一端をなしている。
とにかく、今回はあくまでヴォルコシガン卿としての立場の話で、セタガンダがどんな星系か、どんな文化を持っているのかという、今までほとんど説明のなかった外世界の話を中心に据えて話が展開していく。冒険的な話はほとんどないものの、独特の奇抜な文化、神秘的なセタガンダ女性が繰り返し活写され、それが本書の最大の読みどころとなっており、話が進むにつれだんだんとこの世界が頭に入っていくようになっている。
と書くと、外伝的な作品かと思われてしまうが、全くそんなことはなく、実は今回の淡い恋愛感情は(すでに洋書で出ている)マイルズのロマンス話が絡む "Komarr" "A Civil Campaign" へのちょっとした前振りではないかと睨んでいる(ちょっと深読みしすぎか?)。
おなじく洋書で出ている、こちらはまさしく外伝(マイルズは登場せず、また別の星の文化を描いている)作品 "Ethan of Athos" に関連する話にもほんの少しだけ言及されるが、日本語版が出なければ関係ない話か…。
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