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紙の本
2001年9月11日にアメリカで起きたテロ事件は、いま世界中を不安と恐怖のうずに巻き込んでいます。
2001/10/16 16:52
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投稿者:海青 - この投稿者のレビュー一覧を見る
2001年9月11日にアメリカで起きたテロ事件は、いま世界中を不安と恐怖のうずに巻き込んでいます。これももとは、信教のちがいが始まりでした。
15世紀末のスペイン・バスク地方ビトリアが舞台。
信ずる宗教のちがう人々——国教であるキリスト教を信じるスペイン人、国を追われ世代を経てもユダヤ教を信じて生きるユダヤ人、キリスト教に改宗したと見せかけキリスト教会に通いながらなおもユダヤ教を信じるコンベルソ(マラーノ)と呼ばれる人々。過酷な歴史の重さを潜り抜けて、それでも人々は助け合って生きていました。スペイン国王のお触れがでるまでは。———
何がそんなに楽しいのだろう。丘をおりてくるあいだ、少年たちは笑いどおしだった。
(中略)笑いはわけもなくこみあげてきた。それもそのはず、少年たちは15歳。みどりの風が、一輪の野のスミレが、陽気に飛びかうツバメが、春の到来を告げる季節だった。——
はじめの1ページで完全に著者の手の内に入ってしまう、心地よいリズムのある文。
あー 15才の少年たちの友情と成長の記だな、ファン、イサーク、フェルディナンドの。
ところがページをめくると、物語は思いもかけず次から次へと驚きのドラマを展開してゆきます。あの笑い転げた3人の少年を巻き込みながら。———
ユダヤ人に対するスペイン国外への退去命令。それが生んだ人々の疑心暗鬼の結末。ペスト発生。多くの身近な人々の死。そんななかで、信じていたキリスト教を捨てねばならないユダヤ人ファンの葛藤と決意。彼を支え、見守るそれぞれ立場の異なる2人の友。
そして国外追放の日がやってきます。追われる身でありながら、ビトリアの街をペストから死守したのはユダヤ人医師たちでした。
別れの時を迎え、スペイン人は云います。私たちにしてあげられることは?
そこでユダヤ人は云うのです。私たちの亡き兄弟たちが眠るユダヤ人の丘をずっとそのまま残していっていただけますか。—————
そして、この約束はどんなに時代がかわろうと守られたのです。460年後の1952年、1492年ビトリアを去ったユダヤ人の子孫との新たな約束が交わされるまで。
物語は今もってとても大きな重い課題を投げかけます。でも希望が見えます。綿々と続く人類の歴史のひとこまとして、そこに生きた人々の誠実さに、この約束が守られたという史実に心うたれます。ひとりでも多くの若者に読んで欲しい本です。
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