紙の本
人から勧められて
2017/09/29 10:50
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投稿者:あられ - この投稿者のレビュー一覧を見る
「猫をテーマにした小説」を探していたところ、人から勧められて読みました(本を貸してもらいました)。『明け方の猫』と『揺籃』の2編が入った一冊です。
『明け方の猫』は、たいへんおもしろく読みました。そもそもこの本を私に勧めてくれた人とは、猫が「にゃあ」と言うたびに、「細かいニュアンスが聞き取れなくてごめんね」と思う、という話をしていたのです。年をとって、パサパサした感じになってきた猫のたたずまいの描写なども、とてもよかったです。
もう1編の『揺籃』ですが……すみませんが好みに合わなかったというか、あの長さの小説で最後まで読めなかったのは初めてかもしれません。文体やストーリー(ストーリーがあるのかないのかわからないくらいのストーリー)は嫌いではありませんが、その「意識の流れ」で持って回ったように描き出されていることが結局は鬱屈したマッチョイズムでしかないと感じられ、横須賀線に乗ったところでうんざりしました。
「女が男に見せている」のではなく、「女はそこに立っているだけであり、男が一方的に(時にはじろじろと)見ている」のであるという認識を、この小説の主人公くらいの年齢の男の人が獲得することは、そんなに難しいことなのでしょうか。
それとも私がうんざりした箇所のその先に、「自分が勝手に見ているのだ」という認識の獲得にまつわる物語があるのでしょうか。
いずれにせよ、心の底からうんざりしたのでその先は読まないまま、「猫の話はおもしろかった」と、「は」を強調して、貸してくれた人に本を返しました。
帰途、野良猫と遭遇したときに、「彼ら・彼女らも私たち人間のぶしつけな視線に、『何見てんだよ』と思ってるかもしれないな」と思いました。
でも私は、猫が自分の姿を私に「見せている」とは思いません。私は、私が一方的にじろじろと猫たちの姿を見てにやけていることを、知っています。
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夢ってなんでこう、全体として受け身なんでしょうか。逃げたり、追いかけたり、落ちたりそういう能動的なことももちろんありますが、それはそれで、なにかそういう能動さえ、全体としては受動というかさせられているという気持ちになりますよね、夢は。
それを、保坂さんが書くとこういう小説になって、何がおもしろいかは読んでいるときにしか感じないのだけれど、とにかく幸せな時間が流れる気がします。
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5月24日読了。保坂和志の短編2本を収録。猫になってしまった夢を見ながら現在・未来へ思考を伸ばす表題作と、駅前へ出かけた記憶に思いをめぐらすうちに過去・現在へと思考が錯綜する「揺籃」という2編は、書かれた時期は違うようだが作者が後書きで言うとおり、対になっているかのよう。表現が過去形でないこと、文章が常に次へ次へという方向へ向かっており「・・・してしまった」というような、過去へのグズグズした思い・不幸の気配といったものを感じさせないのが読んでいて面白い。徹底的に観察し、それを再現すること。テーマもストーリーもどんでん返しもなくても、それで小説は成立するものだ。
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現代版"我輩は猫である"とでもいうべき、保坂和志の"明け方の猫"を読みました。
夏目漱石の作品は飼い猫の姿を通して世相を語るのが主題でしたが、今作は、主人公は猫になった夢を見ていると自覚している状態で話が進みます。そして、猫としての立ち振る舞い方を習得することで猫と人間の知覚の違いを自覚するうちに、夢や死といった世界の有り様について冷静に思考にふけっていく様子が淡々と描かれます。
猫の動作や立ち振る舞い方に関する描写は非常に丁寧で、本当に自分自身が猫になった気分にさせられますし、作品では最後まで夢は覚めることがないため、そもそも本当に今の状態は夢の中なのかという疑念も頭をよぎるため、読後はかなり不安定な余韻がありました。
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途中で辞めようかと 何度も思った。
人間の思考を持ちながら 猫になるという設定。
面白くなくもないが なんだか まどろっこしかった。
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保坂さんの作品で、
初めて、うーんイマイチと思った 1 冊。
「明け方の猫」は倒叙式の夢オチ?ちょっと違うか。
「揺籃」は実験作?よくわからなかった。
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装丁が気に入って借りてきた。文章難しい。これはひょっとしたらと思って作者紹介を読んだら、芥川賞作家だ。やっんぱし。文章難解で読了できず。
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表題作と「揺籃」の2篇収録。
「揺籃」…現在と過去、真実と虚構がシームレスにつながり奇妙な世界へ読み手を連れていく。
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う~ん…感覚的な読み物といった感じですねぇ…まあ、保坂さんの小説は皆そんなようなものか…社畜死ね!!
ヽ(・ω・)/ズコー
表題作は作者の想像というか、妄想というか、そんなものなので、特に興味を持って読む、ということはできませんでしたかねぇ…もし自分が猫になったら~みたいな感じで物語は進んで行きます…社畜死ね!!
ヽ(・ω・)/ズコー
1980年頃に書かれたもう一つの短編は最初は割と興味深く読んでいたのですけれども、いきなり場面が飛ぶし、結局よく分からないまま読了……といった感じでしたね…感想に困る作品でした、さようなら…。
ヽ(・ω・)/ズコー