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堕天使は地獄へ飛ぶ みんなのレビュー

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みんなのレビュー7件

みんなの評価4.2

評価内訳

  • 星 5 (2件)
  • 星 4 (3件)
  • 星 3 (1件)
  • 星 2 (0件)
  • 星 1 (0件)
7 件中 1 件~ 7 件を表示

紙の本

『ブラック・ハート』に比肩する傑作

2003/06/17 17:10

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:旅歌 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 ロス市警のハリー・ボッシュ刑事を主人公とするシリーズも本作で六作目。過去五作では『ブラック・ハート』がシリーズ最高作だと信じて疑わなかった。しかし、シリーズ六作目にして、とうとう『ブラック・ハート』に比肩する作品が登場した。ノン・シリーズも含めて平均点の高い作者の作品群の中でも、密度の濃さ、読み始めたら止まらないリーダビリティの高さ、緻密な捜査ぶり、時代性、物語の設定などなど、どれをとっても一級品の傑作だ。

 戸惑ったのは、一時の感情に流されず、噛んで含めるボッシュ刑事の大人ぶりというか成長ぶり。いつの間にか部下ふたりを持ってチームを率いている。一匹狼じゃないのだ。実は変わらず孤独なんだけど、ボッシュが諌める側に回るなんてね。あの切れるような内面を露出させたボッシュも良いけど、こっちのボッシュもかなりイケてる。ラスト間近、「正義」を翻弄する「政治的判断」に打ちのめされつつ、ボッシュは抑えきれない衝動に突き動かされる。そして、堕天使の羽ばたく音を聞いたボッシュの正義。決意。これを読まずして、ボッシュの後続作品は絶対に語れないだろう。

 ロス市警と係争中だった人権派黒人弁護士エライアスが殺害される。誤認逮捕と取り調べ中の暴力沙汰(ブラック・ウォリアー事件)の公判を間近に控えた警官が犯人かと上層部は色めき立つ。このデリケートな事件の捜査責任者に任命されたボッシュは、あろうことか仇敵の内務監査課刑事をチームに加えることを強要される。市警上層部の「政治的判断」の枷を嵌められつつ、「正義」を貫くため精一杯巧みに泳ごうとするボッシュ。しかし、先のロドニー・キング殴打事件とO・J・シンプスン裁判がロス市警に与えた影響は半端ではない。捜査の妥当性、証拠の正当性をとことん求められるのだ。手順に拘る姿はとても奇異なのだが、確実に悪を葬り去るためにはしかたがない。ロス市警の現場の捜査員は手かせ足かせを嵌められ、不自由な捜査を強いられる。もちろん、ボッシュも同じだ。

 更に、ブラック・ウォリアー事件の元となった、少女誘拐殺害事件の真相解明に乗り出したボッシュが味わう八方塞がりのジレンマ。更に更に、事件が引き金となってマイノリティの鬱積された不満が噴出する。暴動寸前のロス。十重二十重の袋小路でボッシュは「正義」と「政治的判断」の狭間で揺れる。まだまだ、細かい枷はいろいろある。ときには枷を味方にし、ボッシュの捜査は冴え渡る。この「政治的判断」を苦渋ながらも受け入れるボッシュの姿が、ボッシュ大人説というか成長説の根拠。捜査を盾に迫るアーヴィングに屈するのは、やっぱり悪を憎むが故なのだ。

 最初の一ページを読んだが最後、あっという間に物語に引きずり込まれ、一ページたりとも退屈させられることがない。未曾有の密度の濃さだ。ボッシュ・シリーズにつきまとっていた、ボッシュの内面を掘り下げる内向的な雰囲気が払拭され、警察小説本来の捜査に重きを置いたのも好感が持てる。もしかしたら、作者の内面に何か変化があったのかもしれない。まあ、そんな邪推は捨て置いて、シリーズ愛読者は当然のこととして、今までボッシュ・シリーズを敬遠していた人も、別の理由で読んだことのなかった人も、ともかく、一度手に取って欲しい。

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紙の本

クレージーな社会に真当な生き方を貫きたい男の、ハードボイルドな格好悪さが泣かせる。

2001/10/22 20:52

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:螺旋 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 市警の過剰な捜査活動がマイノリティーの鬱積した怒りに火をつけ、一触即発の緊張感が高まりつつあるロサンゼルスの真夜中に発生した殺人事件は、市警の権威を失墜させ、同時に過去のロス暴動並みの騒乱を引き起こしかねない因子をはらんでいた。当局は自らの公平中立性を明らかにする必要から、政治的配慮に基づいた新チームを編成し、捜査に投入する。
 ハリー・ボッシュの最新作「堕天使は地獄へ飛ぶ」は、事件発生から状況設定までを簡潔にテンポ良く描写する導入の巧みさで、一気に物語に引き込こんでくれる。更に、市の喉元に突きつけられた時限発火装置にも等しい事件の究明、という貧乏くじをつかまされ、不穏な空気に満ちた街に、内務監査課の仇敵との呉越同舟を命じられたボッシュは、どこを向いても八方塞がりのこの難局にどう立ち向かうか、という牽引力の強い展開で、ぐいぐい読ませる。
 これまでの作品で、過去の心理的な不良負債の処理を終えたものの、ボッシュの私生活は、相変わらずすっきりしない。しかし、感傷は抑えられ、ボッシュの目線が事件にストーレートに向かって、全体的にすっきりした印象を受ける。物語の中心には、いつもながら豊かな今日性に裏付けられた犯罪が据えられ、と同時に、事件の背景への迫真的な書き込みが、作品に密度と緊迫感を与えている。
  人権の尊重、人道への配慮は、市民に安全と権利を保証するが、一方では、捜査手段の制限や、訴追手続きの複雑化を招き、結果的に一部犯罪者を野放しにもしているという現実的な問題を、人権に抵触しない手続き優先のため捜査が滞るというサスペンスとして提示し、人種間の対立によって生まれた不安感が作品のトーンを決定付けるといった具合に、ロスを取り巻く時代の相、空気感のリアルな描出にコナリーはいっそう力をそそいでいる。まさに、そこがこのシリーズの魅力でもあるわけだが、とにかく面白い。
 同僚からは「人間性に信頼を置きすぎる」と揶揄されながらも、ひたすら公平さと正義とを見い出したくて、不撓不屈に犯人を追い詰めるだけの孤独な警官。しかも今回は手抜かりもあって、金田一耕助ばりに犯人に出し抜かれもし、そのためカタルシスの弱さではシリーズ屈指だが、リアリティーは高い。
  事件は究明され、真相は明らかにされなければならない。しかし、決して明らかにされぬ真相もある。全てはれ、「政治的に正しい」利用がされるのだという苦味を飲み込むボッシュの姿に、クレージーな社会にあって、真当な生き方を貫きたいとこだわり続ける男の、ハードボイルドな格好悪さが全開する。

"∫∬螺旋式∬∫","http://member.nifty.ne.jp/RASEN/index.html"

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紙の本

ハリー・ボッシュ第6弾は、コナリー独自のL.A.に注目すべし

2001/12/20 22:16

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:里見孫壱 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 普通、小説の主人公はそれほどその行動に不安を与えないものである。だがマイクル・コナリーの看板シリーズ・キャラクター、ハリー・ボッシュはどうも違うようだ。このボッシュ、毎回冒頭から読者を不安に駆り立てる。
 デヴュー作『ナイトホークス』ではドールメイカー事件で独自に行動したためハリウッド署に島流し。『ブラック・ハート』の時はドールメイカー事件の捜査に不備があったとして訴えられ、『ラスト・コヨーテ』では上司を殴ってカウンセリングを受けている次第。
 『ラスト〜』で積年の懸念事項だった母親の事件が解決したため、ボッシュもまた違った方向に進むのかと思わせたが、今回の『堕天使は地獄へ飛ぶ』は再び本来のボッシュに戻った、そんな印象を抱かせた。

 今回も冒頭、前作で結婚した妻が帰ってこない不安にさいなまれているところから話は幕をあける。そこに、L.A.市警副本部長アーヴィングから電話がかかってきた。エンジェルズ・フライトで死体が発見されたので至急急行せよというのだ。本来ならボッシュのチームが担当する管轄でもなければ、当番でもない。不可思議な思いを抱いて現場に駆けつけたボッシュたちを待っていたのは、L.A.全体を揺るがしかねない殺人事件だった。
 死体で発見された黒人弁護士ハワード・エライアスは、人権弁護士として市警本部をここ10年間で100回以上も訴え、その半数以上を勝訴して名を馳せていた。折りしもエライアスは、市警強盗殺人課に虐待されたと訴え出た男の訴訟を手がけていたのだ。犯人は何者なのか? 街の不穏な動きは時間がたつごとにきな臭くなり、連日のマスコミ攻勢がそれに拍車をかける。ボッシュの懸命の捜査は、この事件を解決に導けるのか?

 かつてシリーズ2作目の『ブラック・アイス』でボッシュにL.A.観を語らせていたが、今回はそれに正面から取り組み、コナリー独自のL.A.を書いた点でも注目したい。L.A.を舞台にした作家にジェイムズ・エルロイがいるが、ハリー・ボッシュの生い立ちは、エルロイをモデルにしているとされる。ならば今回はコナリーからエルロイへの返答とも読める。この機会に、エルロイの『ブラック・ダリア』に始まるL.A.4部作と、コナリーのハリー・ボッシュ・シリーズを合わせてお読みになれば、裏L.A.史のとりこまちがいなしである。 (bk1ブックナビゲーター:里見孫壱/ライター)

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2017/11/12 17:46

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2019/03/31 22:22

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2020/02/03 09:34

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2022/12/23 11:05

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