紙の本
なつかしい空気
2009/09/13 11:45
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:想井兼人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
-花火-
このタイトルにあるように、本書はある花火の風景を切り取った写真集です。川内倫子は本書で木村伊兵衛賞を受賞しました。
1頁目は花火が始まるのを待ちわびている人々のバックショットから始まります。それはこれから頁を捲っていく読者の気持ちを高ぶらせる効果があるような気がしました。そして、様々な花火を顔が切り取られていきます。
スローでシャッターを切ったことで、花火で空が白く染まった肉眼では拝めない特異な風景。
花火は空を赤く染めることもあるようです。
また、建物のガラスに映った花火。この写真は、花火を見上げる人たちの様々な表情が主役です。
花火のもとへ自転車をかけさせる人々。急ぐ人たちの気持ちは、花火に囚われているのでしょう。
車のライトが白い線として延びる向こうにポンと開いた花火。
夜の世界もいろんな光が溢れている現在においても、花火の光は特別な存在です。この写真集はそんな特別な花火をさらなる存在に昇華させたと言えるかもしれません。
人工の光たちに彩られた頁に間にそっと入れられた稲光。一瞬の煌めきを放つ天然の光は、花火の一瞬とは違う静けさがあります。ただ、一瞬というその特徴には、花火と共通するものがありそうです。
本書は、多くの人たちが子どもの頃から見てきた風景が収められています。花火を見る、そのことの空気感、高揚感もしっかりと切り取られていると感じます。たまに頁を捲ると、ほっとする。そんな1冊です。
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見にいくまでのどきどき感とか、たまたま見れたときのせつない感じとか、帰り混むからそろそろ行こうかとか、来年は一緒に見れるかなとか。
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花火の季節限定で見たくなる本。花火が好きだけど、いつも仕事やらで見逃しちゃってる人向けっていう本。誰だか知らないけど装丁した人、良い仕事してます。
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「世界の中心で愛をさけぶ」の表紙写真を撮った、川内倫子さんの写真集。華やかに打ち上がって、一瞬で消える花火。非日常の花火と、いつも隣り合わせの日常。楽しいようなせつないような、花火の夜。
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川内さんの写真を初めて見たのが、何かの雑誌に載っていた花火だった。子供の頃に行った花火大会の空気、人の熱気と夏の夜の湿気消えていく火の粉、それらが紙面上に展開して、ものすごくキレイだと思った。こういう写真が撮れるのがうらやましくて悔しくなる。
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もともとの花火好きがもっと好きになりました。
花火そのもの、花火を見てる人達、独自の雰囲気が彼女らしさですね☆
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ドイツだったかな?で夜道を歩いてると花火があがったそうです。撮りたかったのにフィルムがすでになく断念。帰国後それなら思いっきり花火ばっかり撮ってやろうじゃないかとあちこちで撮影された花火の作品集。
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虹だったり、海だったり、富士山だったり、花火だったり、
見た瞬間に圧倒されるような感じになれるもの
そういうものにとても興味があります
普遍的な魅力を感じます
物事に理由をつける必要なんてどこにもないんじゃないか
そういう考えが肯定されたような気分
この写真集はシンプルで素直な感じが好み
花火を見ているヒトがいっぱい入ってるのもいい
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空で一瞬の花開く瞬間を美しく、優しく、切なく写してる。
夏場にみるのもいいんだけど、冬が始まると感じるとなんかたまらなく眺めたくなるんだよね。
やっぱ好きだなぁ、この人の写真。
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夏休みなので、花火の写真集を入れてみました。
一見プロが撮ったようには見えない写真が良いです。
なぜその一枚を選んだのか、考え込んでしまいます。
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花火の写真はもともと一瞬を切り取るものですが、この本の写真は特に、「一瞬」という印象を強く受けました。綺麗だというよりは、爆発しているような、でも美しい、そんな印象です。
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うん、花火。そのまま、花火を題材にして。ボケブレな感じを、僕はこの人にあまり持っていなかったので、ちょっと意外性もあった。(11/8/2)
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2001年発表。
大阪、千葉、群馬、神奈川、東京、競馬場、温泉街、川べりなど 花火が打ち上げられるところなら、どこでも駆け巡った。
夏の夜風、土手を走る子供の足音、露店から漂う林檎飴の甘酸っぱい匂いと、美しくそこはかとない悲しみ。
花火の向こうに写真家は何を見たのだろうか。
淡い色調で撮られた日本各地の花火をモチーフにした美しく儚い写真集。
第27回木村伊兵衛写真賞を受賞。
今や押しも押されぬ人気写真家となった川内倫子(かわうち・りんこ)さん。
これがデビュー作とは思えないほど
唯一無二な感性がどの写真からも窺えます。
鮮明に写された綺麗な写真ではなく、露出が合ってないものやブレてるもの、意図的に邪魔な電柱が真ん中に入っていたり、
クレジットなんてなくても川内さんの写真だとすぐに分かる
その夢見るような幻想的な世界観。
高速を走る車の中からやホテルの窓から、住宅街の隙間からなど
日常のささやかな景色と共に 様々な視点からの写真が収められているので、
実際にたまたま花火を目撃したかのような感じで
切なさと甘酸っぱい感覚が蘇ってきます。
濃い藍色に沈む夜空。
アーケードに連なるちょうちんの灯り。
少しずつ遅れて響く花火の音。
浴衣を着て着飾った人。
子供に肩車をする人。
笑いさざめきながら幾度も空を見上げる人。
見上げる空にいつ花火が開くかという期待感に満ちた人々の明るい顔。
高揚感で繋がった大勢の人々。
花火ってもちろん綺麗だけど、
僕はそれを見にくる人たちにも
注目してしまいます。
美しいものを見ようとしている人たちの表情って
すごく心を打つんですよね。
光輝いてはパッと散っていく花火だけど、
まばたきをした瞬間、官能的とも言える宴は終わりを告げる。
でも祭りのあとの寂しさって、
なんか切なくていろんなものが凝縮されていて心惹かれます。
自分の好きなROLLING STONESの歌詞でもあるけど、
人生は路上のカクテルパーティーのようなもので、その喧騒の中で 人はずっと生きていくことはできない、いつか宴は終わるってやつです。
そんな刹那な輝きや儚さを味わえることも人生そのものだなぁ~って思うし、
僕が花火や祭りが好きな理由のひとつです。
あと花火を見ると切なくて形にできないものが映像として浮かび上がってきます。
特に思春期の…(笑)
いつもは見慣れてるハズのクラスの女子が急に綺麗に見えて妙にドキドキしたり。
夜のプールの思い出とか、
そのプールに浮かんだ歪んだ月とか、
花火の匂いとか、綿菓子の甘い香り、
ドキドキしてなんとも言えないあの高揚感。
花火のある景色は
心の深いところで自分の中の 『核』となって
僕を支えてくれています。
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花火はバイプレイヤー。
花火が打たれた街並みと空気、愛でる人々が主役です。
どの写真も、即座に過去になる、刹那な夏を現しています。
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5/28は花火の日
花火が打ち上げられるところならどこでも駆け巡った……
花火の「瞬間」を示す一冊。