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結構夢中で読んだ。人間の死に関わる監察医の仕事だけでなく、そこでの作者の体験をたくさん書かれていて非常に興味深い作品だった。
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44のコラムから成り立っている本。ほとんどのコラムの中で死者を語っている。
一貫して強調されているのは、「死者の人権」。死んだら人権もなにもないと考えがちだが、なぜ自分が死ななければならなかったか。遺族は死の原因を正確に把握したい。(保険も含めて)そういった願いを実現するのが、法医学の立場なのだろう。
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これは、フィクションではなく、ノンフィクションです。ミステリー作品ではありません。
元監察医で監察医務院長も勤められた、法医学者である著者の、有名な著作の一つです。
ハードカバーでは、なんと、増刷が80回以上!!それだけ、幅広く読まれているようです。
監察医務院を退官後に、検死・司法解剖などで関わってきた「死体」について、淡々と綴られています。
読者を怖がらせようという意図が無いのと、事実をサラッと書かれているので、文章を読んでいて怖くなることはあまりありません。
また、専門書ではないので、法医学の知識が全くなくても読書に差し支えることはありません。
現場検分で検死だけではわからなかったことが、司法解剖することによって浮かび上がる事実。
猟奇殺人と思われていたのが病死だったり、自殺偽装されていた他殺を見抜いたり、他殺を装った自殺だったり・・・
『司法解剖は「死体の人権を守る」ために必要』
本書の中で、繰り返し出てくる言葉です。
死体を生きているものとして扱い、その残されたものを汲み取り、事件の真相をさぐる。
その結果、事件の真相があきらかになっただけでなく、生命保険の適用内容が変わってきたり、遺族に思いが伝わったり。
法医学は予防の学問だそうで、闇に葬られそうな様々なものを明らかにすることで、社会秩序を裏から支えているのだそうです。
監察医制度はとても大事な制度なのに、大都市以外ではなかなか整備されていない状況とのこと。
犯罪抑止の観点からも、日本中にしっかり整備されるようになって欲しいです。
内容的には、過去の事件の内容なので時代が古いのですが、それほど気になりませんでした。
話の本質は、十分伝わってきたような感じがしたので。
来年から、裁判員制度が施行されます。
こうした監察医の仕事や司法解剖などを少しでも理解することで、より裁判に臨みやすくなるのかも、と感じたのでした。
【参考】 裁判員制度(最高裁) http://www.saibanin.courts.go.jp/
Q&Aに「死体の写真を見ることがあるのか」という質問がありました。
必要に応じて写真を見る可能性もあるそうですが、裁判員に負担の無い様に取り計らってくれるようです。
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司法解剖による、古典文学の検証。
芥川龍之介の『藪の中』目当てで購入。
こういう見方でたのしめるって、いい。
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元・東京都監察医務院の監察医である作者の本。
実際にあった事件等を交えて書かれており、今まで世間では名前だけしか知られていなかった監察医の詳細がかかれてます。作者自身の死者に対する思いが、とても素晴らしいと思いました。
個人的にオススメの項目は、“モナリザ”。あのモナリザは男だった!?という話を、監察医の視点で描きます。
そして、無言で死んでゆく人たちの声を聞ける役職の方々、全てに敬意を表したいと思います。
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検死の第一人者の筆者によるエッセイと創作短編。
食事時にはおすすめしません。
こういう方がいると、安心して死ねますね。
先生 文章うますぎです。
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「死」それも、個人的にはなんの関わりもない「他人の死」に関して、あれこれ言うのはどうかとも思うけれど、事件に際しての「解剖・検死」の重要性を伝えるための本としての役割。
そして本にすることにより「死者の無念」をより多くの人に知ってもらうため、犯罪への抑制力も加味されているような気がする。
大変な仕事なんだろうけれど、中学生の頃にこれを読んでいたら監察医を目指したいと考えたと思う。
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上野先生の代表作ですね。これは文庫版ですが、私はハードカバーで所有。平易で淡々とした文章がむしろ心に響いてくる。長年監察医として第一線で働き、声なき声を聞き続けた先生の話は、とても興味深いです。
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「事件の現場」的なものを期待すると肩すかしを食います。
連載記事だったせいか、個別のエピソードは短く、詳しくもありません。
本書は、あまたの事件に携わり、死を身近で見てきた監察医・上野氏の
生きている者に対するメッセージです。
そしてそのメッセージは、当たり前のように生きている私たちに、
不幸な事件を他人事と興味本位で見てしまいがちな私たちに、
人間の生と死について改めて考えさせるという意味で
非常に価値があると思います。
1点、残念なことを挙げるとしたら、
それがいつ頃の事件だったのかの記載がなかったことです。
各事件や当事者の背景には、その時々の社会状況が色濃く
反映されていると思います。事件に携わった著者の視点にも
影響しているでしょう。
筆者と世代が違うだけに、いつ頃の事件かを知り、
当時の日本の経済状況、社会状況、倫理観などを考えたり
それを今と比べたりできれば、筆者のメッセージを
より深く理解できたのではないかと思いました。
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シリーズでずっと読んでいます。どれも面白い。
死体を見る事で、生きている人間への愛を叫ぶような文章です。
犯罪を犯してはいけない、犯罪を見逃してはいけない、自殺なんて全く美しいもんじゃない、完全犯罪など成立しない。
淡々とした文章で、生きなさいと暗に熱く言われているような気がします。
監察医の少なさから、実は検死はほんの一部しか行われていない事実を頭に置いて読むと、何とも複雑な気分になります。
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著者が監察医として取り扱った、様々な異状死体について書かれたノンフィクション。
この本は大ベストセラーで、法医学を学ぶ人間は誰もが一度は読む本だそう。1日に出る異状死体の多さは以前にドラマか何かで聞いたことがあり驚いた覚えがあるのだが、今回は監察医制度というものが確立されていない地域が多く、今は東京や大阪等5都市でしか機能しておらず、地域差があるということを初めて知った。今作で語られているように、こんなにも死者から多様なメッセージが発せられているというのに、それを読みとる人間も制度もこんなにも不足しているなんて。真実が知られることなく埋葬された遺体が一体どれくらいあるというのだろう。でもやっぱり、生半可な覚悟じゃできる仕事じゃないよなぁ。
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著者は30数年間、監察医ひとすじで、定年退職を迎える。
「監察医」とは、病死ではない異常死体を検死することを専門にする医者。生きている患者を治療することはない。著者曰く、モノ言わぬ死者から、コトバを語らせる職業だ。
悪く言えば、死体を切り刻む仕事。しかし、その目的は死者の人権を守ることだ。死因を明確にすることで、死者も遺族も救われる。
そんな信念を持った著者が、携わった数々の検死について、時にユーモアを交えて振り返る。
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自分が絶対目にしない光景。
しかもその光景で、いろんな経験に基づいた話があって、
自分の経験とか、大したことじゃないけど、気付いたことを気付いたって思って、考えてみてるってのを書いてある本ってホント面白い!
いや、この人の話はすごい話なんだけど
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とにかくおもしろい!死体から声なき言葉を聞き、最期の瞬間に辿り着く。体の中から精神をひもといてく姿は実に興味深い
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再読だが相変わらず面白くて一気に読んでしまった。
以前読んだのは多分高校生の頃で、そのときは単純に面白かった。
今は、お母さんを亡くした乳飲み子の話や、お父さんを亡くした家族の話など、自分に重ねてしまったりして、じわりと恐ろしく悲しくなったりした。