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これは子供向けの絵本だろうか…
色々なものを突きつけられたような気持ちになりました。こんな感じの人間模様とか、ありそう…。
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片方の目が見えない茶色のイヌ。森の火事で羽が焦げてしまい飛べなくなった黒いカササギ。優しい心根のイヌは、カササギを背にして、藪を抜けユーカリの林を通り、青空いっぱいの草原を走りぬける。 カササギは叫ぶ「飛んで!もっと飛んで! 私があなたの目になるわ。あなたは私の羽になって!」やがて、妬みや恨みと寂しさをあわせもつ狡猾な目つきのキツネが現れて・・・。厳しい自然界で生き抜こうとする、傷ついたもの同士の心の交流を描く『ぶたばあちゃん』の絵本作家マーガレット・ワイルドとロン・ブルックスによる斬新な大人向け絵本。
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(中1の息子が書きました)
カササギとイヌは無二の親友。
カササギは片目の見えないイヌの目となり、イヌは飛べないカササギの羽となり、
お互いに助け合ってきた。
しかしそこにキツネが加わると、何かが狂い始めます。
まるで人間の本性を見ているかのような、不思議な作品です。
ちいさなえほんや”ひだまり”さんセレクト、
10才までに読みたい”こころが豊かになる110冊”より。
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きつねが登場する物語を色々と探して読んでいますが、これまで出会った中でも、どう解釈したら良いか迷うきつねが現れました
登場するキャラクターは、片目を失った犬、翼を失ったカササギ、そしてキツネ
失ったもの同士が支えあって一心同体となって暮らしていたところに、ある日キツネが現れてふたりの仲を羨み、妬んで、裂く話です
心理テストにこういう内容のものがあった気がする
愛し合う2人の男女がいて
男が病気になってしまい
医者に助けを求めると女の身体を要求する
女はそれに応じるが、病気が治った男は貞節を失った女を責めて別れた
悪いのは誰か? というようなやつ
この作品では、上記の心理テストの中での、女が医者に身を任せた直後に相当する場面で話が終わるので、男である犬がどういう反応をしたのかは定かではないのですが、この物語の犬のキャラを鑑みるに責めたりしない、ただ悲しみそう
いやむしろ、女に相当するカササギはもう犬には会えない、死亡する可能性が高い
そのくらい、キツネはふたりの仲を徹底的に裂いた
恐ろしく悪どいキツネと言えます
この物語を心理テストに用いるなら、最も悪いのはキツネだと自分は回答します
しかし、最も感情移入出来るのは誰か? という質問でも、やはりキツネと回答します
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この絵本におけるきつねはメフィストフェレスなのかもしれない。誘惑する悪魔として。快楽の代償を支払わせようとする者として。
しかしそれだけでは説明のつかない、言いようのない悲しさが、轟々と吹き荒れるような何かが本作にはある。
それは例えば書き殴ったような荒っぽい色の落とし方であったり、閉じたはずの傷跡がじゅくじゅくと化膿してしまったような赤色の使い方であったり、きつねの何を考えているのか絶望的なほどわからない金色の目だったり、そういう荒廃した、虚無感に似た何かだ。
子どもが手書きしたような読みにくい文字、縦かと思ったら逆さまに書かれることもある文章の配置の仕方、それらが血の通ったエモーショナルな手触りを確かに読み手に与えていくにも関わらず、最後にたどり着いた場所に見えていた暖かみは蜃気楼かのようにスッと消えて無くなってしまう。
そんな突き放され方を、つまりカササギが感じた「過ちを犯してしまった」という感情を、痛々しく私たち読者は味わうこととなる。
わかりやすく思い浮かぶ比喩があるとすればこれらは「不倫」や「絶交」なのだろうが、何よりもきつねが最後に残した「これで、おまえもあのイヌも、ひとりぼっちがどんなものかあじわうことになるだろうさ」という台詞と、静寂の中で響く遠吠えが頭から離れない。
この感情は何なのだろう。哀しさだろうか。孤独を感染させた背徳的な喜びだろうか。わからない。わかりたくない。感情とはなんてやっかいなものなのだろう。
一度壊れた関係を修復することは、いちから始めることより難しいことを私はしっている。
だから、カササギがこれからたどる道が険しく辛い道なのだと、そのことは、そのことだけはわかっている。