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捕虜 誰も書かなかった第二次大戦ドイツ人虜囚の末路 みんなのレビュー
- パウル・カレル (著), ギュンター・ベデカー (著), 畔上 司 (訳)
- 税込価格:3,850円(35pt)
- 出版社:学研
- 発行年月:2001.11
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紙の本
盗聴器こそ出て来ないが
2023/01/01 23:01
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オタク。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「兵士というもの」に出て来るような盗聴器こそ出てこないにしろ、鉄十字章を叙勲されなかったり強制収容所の実像を知るなりして反ナチ感情を持った結果、イギリス軍に協力した水兵達を使ってイギリス側がUボートや魚雷などの情報を得ようとしている光景が出て来る。「兵士というもの」の監修をした人は「トレイシー」を読まないけれど、パウル・カレル嫌いが昂じて「捕虜」も読んでいないのか?第三帝国時代の所業や「バルバロッサ作戦」や「焦土作戦」でドイツ軍の戦争犯罪を触れないのは事実だが、この本や「砂漠のキツネ」では、それなりには触れているのだから。
何でも赤軍の捕虜になったドイツ兵は3分の1が未帰還だが、ユーゴスラヴィアで捕虜になった場合は4割方が未帰還との事。それだけドイツ軍がソ連やユーゴスラヴィアで戦争犯罪をしてきたから憎悪されて復讐されたと言える。そこを見落とすと「劣等民族」のスラヴ人の「アカ」がドイツ兵を不法に虐待したかと思ってしまうのは危険だ。
実際にこの本はユーゴスラヴィアでの出来事を「劣等民族」のオスマン朝支配に求めているのは、戦後のドイツで外国人労働者として住んでいるトルコ人への感情が透けて見えてくる。ユーゴスラヴィア政府はドイツ軍と対独協力者のみに責任を負わせて、パルチザン側の所業や「兄弟民族間」の憎しみには蓋をしたけれど、それが失敗したのは明らかだ。これもチトーというスターリンにすら物申す指導者のカリスマ性があっての事だ。
この本でユーゴスラヴィアでの出来事の主な語り手のゲルハルト・ヘンケ少将について書かれた事を読んでいないらしいパウル・カレルのファンのライターもいるけれど呆れてしまう。
アメリカ軍が「零時」直前に捕虜としたドイツ兵を虐待したのはマルメディがあって、ブーヘンヴァルトやダッハウを見てしまってから紳士的に扱えるのか、になってしまう。「百万人が死んだ」という本があるようだが、そうなるとドイツ軍全体の1割方が短期間に特定の地域で死んだ事になってしまう。
ダッハウ解放の際に捕虜にしたSS隊員を殺したアメリカ軍がエーリヒ・フォン・デム・バッハ-ツェレフスキーとカール・ヴォルフの両SS大将はそれぞれ責任を負うべき人物なのに、「零時」の後に協力したとかイタリアのドイツ軍の降伏交渉で裏取引でもしたとかなのか、戦犯裁判にかけなかったし、ソ連なりポーランドなりイタリアなり引き渡さなかったのかが理解できない。
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