紙の本
三人の子供を芸術家に育てた千住家の母の記録。バイオリニスト真理子の誕生までの母娘の苦労がよくわかった。
2002/02/22 10:29
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:サニー - この投稿者のレビュー一覧を見る
かわいらしいバイオリニスト千住真理子は、いったいどう誕生したのだろう。年齢にしては深みのある絵を描く日本画家博。作曲家明。三人は兄妹というが、いったいどのように育ったのだろうか。
この本は三人の母が、夫との出会いから三人の子供の子育てを書いた記録である。芸術家に育てようとしたわけではなく、結果的に三人が、芸術の道を歩むことになった過程がよくわかった。父親のしっかりした姿勢が、印象的であった。バイオリニスト誕生までの苦労には、胸がつまるおもいである。
親の介護、夫の看護、死を迎えるまでの苦労は、最近父を看取ったばかりなので、誰にとっても大変なことなのだとあらためて思った。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
千住博さんの絵が大好きで、千住真理子さんと同じヴァイオリンを勉強してるので購入して読みました。千住文子さんは「将来こんなお母さんになれたらいいな〜」と思い、私の憧れです。ご兄妹の、目標に向かってひたむきに努力する姿には感動すら覚えます。「努力は報われる」という事をこの本で教えられ、不安でいっぱいだった受験前とても支えられました♪
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
歌手でもなく画家でもなく、デザイナーでもなく学者でもなく、なにかに感動して想いを馳せて、教養を深めてたくさんの本を読んで、新聞を読んでいろんな経験をつんで、涙の数だけ深い人間になって、一体私はどうするつもりだろうか。2007年の夏、自分が旅行に出掛ける理由をさがして旅行に出掛け、そこで見つけたのはエネルギーを得ること。一生懸命さがして見つけた答えだから、自分にとってかけがえのないものだけれど、やっぱり自分の小さい器に思うところがあった。千住文子氏も研究者で、きっとたくさん勉強をしていた人だけれど、ひょんなことから鎮雄氏と出会い、博氏、明氏、真理子氏という著名な家族に囲まれる。私がうらやましいと思うのは、もちろん外向けがバツグンな家族に囲まれていることもあるけど、なにより、女としての幸せが、化学者としてだけではなく、自分の感じたこと、感動したことを活かせる対象を家族に見いだせたことが、何よりもうらやましいと思うし、自分もそうありたいと思うことのできた作品です。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
以前にTVで紹介されて存在を知った、千住3兄弟。
兄弟全員を立派に育て上げたコツとは・・・・
最初は、ご自身も医者家系、旦那様は工学者。
これは素材そのものから、恵まれていたのでは・・・・・・
と、思っていたが、読み進めていくうちに、そうではない事実にぶつかった。
文子さんは、家族に対して、献身的、従属者でよい。と、思うほどに自分ではなく、家族の為に奔走している。
折にふれ、旦那様と教育方針を打診し、若い芽を摘まないように、そして、会話の一部にも、子どもたちを良い言葉で育ててきたのがかいま見られた。
土台は、ゆるぎない家族愛。信頼。
どの兄弟も、自分の道を選んだなら、痩身するほどの努力っぷり。
才能も、努力なしでは花開かないものを感じた。
才能を天賦のものと考えてきたが、一線で活躍する人は、人並み以上の事をしているのだと、納得させられる1冊だった。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
薬品開発者であった著者と当時療養所から復帰したばかりの千住鎮雄氏との出会いから結婚、3児の出産、父母の死、二男一女の子育てと巣立ち、夫の死までを描いたもの。
三人の子育てに奔走する文子氏の描写が印象的。
特に小学生でヴァイオリンの「プロデビューしてしまった」末娘真理子氏関連に奔走する文子氏の描写はまさに
戦いである。真似したら間違いなくぶっ倒れるなと思いながら読んでいた。
あとがきに曰く「別段違った事をした訳ではない」とのことだが、医科学者の父、経営工学者の夫の人脈だったり積み上げてきた教養だったりが相当に反映されたうえでの奮闘であり、一般家庭にとっては相当の運が無ければ着手すら不可能ではないかというのが感想。
本書では夫・鎮雄氏の家庭内でのORワーカーぶりも記述されている。家の中は「小箱を柱や壁に留め、その中に必要な資料が一目瞭然に分類されるように」していたり、必要事項は口頭ではなく全てメモで渡しあっていたという。また出産立会時においてもデータ取りをしていたそうだ。
鎮雄氏は、子供が机の裏やら壁・柱などの一面に落書きをしてもいっさい止めないどころか興味をもって観察していたとのこと。自発的な行動にストップをかけないようにとの心遣いであろうか。