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紙の本
知人の画家さんにこの本のことを教えたら、ずいぶん感謝されました。でも、彼女が読んだのは文庫版。この本ばかりは、絶対にオリジナル初版単行本ですよ
2006/06/08 20:18
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「漫画家で推理小説の古本のコレクターである著者が明かす古書集めの楽しさ、泥沼」趣味のエッセイ、というかオタクの激白というか・・・。徹底的に推理小説に拘るかといえば、官能小説も重要なコレクター・アイテムだという喜國の、喜びと苦悩にあふれる収集の世界です。
いい本なので、文庫化されていますが、個人的にはこれだけは圧倒的に単行本がいいです。造本もですが、今では珍しい箱入りですし、それ以外にも初版には様々な特典がついています。古本屋さんにいってでも、オリジナル本を手にすることを薦めます。
不勉強な私は初めてこの本を読んだ時、作者が漫画家であるとはまったく知らず、文中の挿絵は誰が描いたのかと思っていました。読み始めて、それが分かるのですが、それは喜國が古本のために欠けていた函を作るところで重要な意味を持ちます。函や帯があるかないかで値段が倍以上も異なる古書。それならと、喜岡はそれを自分で作ってしまうのです。
無論、贋作ではありません。むしろ創作に近く、箱に絵をつけるときは表紙などから復元もしますし、さらには本来函などが付いていない文庫などにも函を付けてしまうのです。そのために古書市で、作ろうとするサイズの函が付いた本を買う、というのは完全に贋作のテクニック。ただし、それに紙を貼り、オリジナルのデザインで絵をつけていくのは、アートですねえ、職業が生きています。
喜國が集めるのは、実は古本であって古書ではありません。その集め方が面白いです。そう、世にいる初版本のマニアではないのです。例えば江戸川乱歩の作品を集めるときは、全集であれば何種類でも集めます。勿論、文庫も、単行本も全て網羅。別に蔵書印が付いていても、構わないのです。でも、面白いのは、こういった集め方をする仲間が多いということ、これは意外です。
どちらかというと書誌を作る姿勢に近いのでしょう。仲間というか、先輩として出てくる作家たちも面白いです。なんとナッチーこと京極夏彦、アッピーこと我孫子武丸、マッシーこと山口雅也。書棚の作り方から本の整理の仕方、嫌いな作家の作品の扱い方から、古書店の実態、そして極めつけは、TV「ザ!鉄腕!DASH!」にならったポケミスマラソン。ゲーム感覚での古書店めぐりは手に汗握る迫力です。
巻末の古書仲間との対談も楽しいです。コレクターの世界というと、どちらかというと暗い印象を受けるのですが、対談者たちの笑顔がいい。自分の眠る姿の形の空間を除けば、全て本という古強者から、古書市といえば必ず列の先頭から十番目以内に並んでいるという仲間たち。結構お金をかけながら、楽しく心を通じ合う彼らが、ちょっぴり羨ましくなってきます。
といって、とてつもなく目新しい話まといえば、そうではありません。本好きならば誰もが一度は通る道の親しみやすさ。そこがいいです。京大のミステリ仲間たちが会話に沢山出てくるのは、いかに彼らが現在のミステリシーンの中心にいるかの証でもあるといえそうです。
紙の本
本好き、ミステリ好き、集め癖(?)のある方に大プッシュです
2002/06/03 18:54
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投稿者:川原 いづみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
2002年5月号のダ・ヴィンチの記事を見たのが、この本を読むきっかけでした。
濃く、そして熱いです。今すぐ古書店へ行こう!ってな衝動に駆られます。気分はすっかりトレジャーハンター。読み終わったら、とっても古書に詳しくなったかのような錯角に囚われてしまう。
本好き、ミステリ好き、集め癖(?)のある方に、強ーくお勧めします。古書の世界をろくに知らない人でも(私もそうです)、本に対する愛情、情熱、登場する人たちの一風変わったキャラクターを楽しめるはず。
脳内にあふれる快感、味わってみませんか?
紙の本
爆裂!大人パワー!!!
2002/04/22 22:34
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投稿者:植尾亜衣 - この投稿者のレビュー一覧を見る
喜国雅彦と言えば、青年誌でフェティッシュなギャグ漫画を連載し続けるロッカー作家だ。彼が探偵小説マニアだということは、ファンなら先刻承知のはずだ。そんな喜国雅彦が古本にまつわるエッセイ集を出した。これを買わずしてなるものか。
今時函入り、著者検印つき、更には月報まで挟まっている(初回限定版)。装幀からしてこの凝りようだ。作者のこだわりがビシバシと感じられる。肝心の内容も、まさに本棚探偵の名に恥じない活躍ぶりを見せてくれていてニンマリしてしまう。山口雅也、京極夏彦、安孫子武丸、有栖川有栖…など、ミステリファンにはお馴染みの面々が「お仲間」として登場するのもまた楽しい。
私自身は稀少本としての古書に関心はないのだが、年数を経るに従ってコレクションの対象が「本の内容」から「本そのもの」へ移っていく作者の心理は大変興味深い。大人の財力を使って容赦なく趣味に走るとこういう結果を生み出すのだな、と妙に考えさせられる一冊である。
紙の本
ニヤニヤすること請け合い
2002/05/11 17:43
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:katu - この投稿者のレビュー一覧を見る
古本蒐集にどっぷりと浸かってしまった漫画家・喜国雅彦の古本蒐集にまつわるエッセイである。函・帯・月報・著者検印(初回配本分のみ)など装幀も凝りに凝りまくっている。
乱歩邸を訪れる話から始まって、推理作家・我孫子武丸家の段ボールに詰まったままの蔵書を本棚に並べにわざわざ京都まで行く話、角川の「横溝正史文庫」を全部集める話などなど、本好きなら必ずやニヤニヤしてしまうだろう。函欠けなら自分で函を作ってしまうし、豆本まで自分で作ってしまう器用さには驚いた。
なかでも私が一番面白かったのは「ポケミス・マラソン」だ。刊行点数1,600を超えるご存じハヤカワのポケットミステリを1日に何冊ゲットできるかという挑戦である。但し、ゲームだから実際に買うわけではない。あちこちの本屋を回って、本に付いている番号をいくつチェックできるかの勝負なのだ。タイムリミットは午前零時。果たして喜国雅彦はポケミスをいくつゲットできたのか。それは読んでのお楽しみだ。
本書は、全ての本好きにオススメである。
紙の本
本探し、今日はどこまで行ったやら
2002/02/28 22:15
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投稿者:小池滋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者の喜国雅彦さんの名前は、知る人ぞ知るだが、初めて見たという人も多いことだろう。漫画家と肩書きがつけられることがあるが、そんなことはどうでもいい。著者について何の予備知識もなしに、ともかくこの本を読むことをおすすめしたい。
いや、読む前に、本そのものの造りをじっくり眺めてごらんなさい。近ごろ珍らしい装丁だ。固い堂々とした箱。これも頑丈な表紙。おまけに巻末の奥付(おくづけ、と読む)には検印紙まで貼ってある。それって何のこと? とおっしゃる方は、ともかく実物を手にして、じっくり見て下さい。
これだけで、もうある程度おわかりかと思うが、著者は大変な愛書家、本のコレクターである。「本の虫」なんて言うのでは追いつかない。その人が『小説推理』に3年間連載したものを一冊にまとめたのが本書である。
雨ニモ負ケズ、風ニモ、雪ニモ負ケズ、東ニ古本市ガアルト聞ケバ、ナレヌ早起キヲシテカケツケ……
同じ本でも「幻の版」というのがある。カバー、箱、帯(腰巻と呼ぶ人もいる)がついているかいないかで、価値が段違い。このようにして集めた本(探偵小説と官能小説がコレクションの99パーセントを占めるとか)で、自宅は横になって寝るスペースさえない。自分の本棚の造りや本の並べ方に頭をしぼる──どころか、他人の家の本棚のことまで気になって落ち着かない。
本棚探偵の究極の大冒険は、現実にない本を作ってしまうこと。ニセ札づくりではなくてニセ本づくりだ。「ニセの1万円札を作るからバレる。だったら3万円札を作ればいい」というわけで、ありもしない箱を自分で作ってしまう。ありもしない豆本を作る。
巻末の特別座談会「喜国雅彦を古本世界に引き込んだ悪い人たち」がまたスゴイ。古本屋のおやじの品定め──「古本屋、やや難有りの人ばかり」の名川柳で幕が閉じる。 (bk1ブックナビゲーター:小池滋/英文学者 2002.03.01)